JTB協定旅館ホテル連盟(小田禎彦会長、4300会員)は、日本旅館の「おもてなし」の質を高めるための資格・検定制度を立ち上げる。来年3月までに制度実現への道筋を付けたうえで、旅館3団体などが主導する旅館業界全体の資格・検定制度へと移行させる方針。第1回の試験は来年6月下旬〜7月下旬に実施する計画だ。
名称は「日本の宿 おもてなし検定」。資格取得に向けた教育・支援プログラムを構築することにより、応対スタッフの士気とサービスの向上に資するのが目的。接遇を中心とした業務サービスの基準化による人材確保・育成、また、国際競争力のある観光地の形成にもつなげたい考えだ。
昨年9月に検定制度ワーキングチームが始動し、会合を重ねて骨格作りを進めてきた。今年11月28日には検定実施の組織「日本の宿 おもてなし検定委員会」が旅館3団体の会長も加えた8人をメンバーとして設立され、旅館業界全体の資産にするための基盤を整備。委員長に小口潔子・日本旅館国際女将会名誉会長が、委員長代行には小田JTB旅ホ連会長が選ばれた。
ほか委員は佐藤義正・国際観光旅館連盟会長、佐久間進・日本観光旅館連盟会長、佐藤信幸・全国旅館生活衛生同業組合連合会会長、松坂健・西武文理大学サービス経営学部教授、山下芳夫・JTB旅ホ連専務理事、長島秀孝・日本観光協会常務理事。これまでのワーキングチームはテキストの開発などを担当する。
検定は、新入社員から入社3年目で到達するレベル「初級」、5年目から中間管理職が到達するレベル「中級」、おもてなしのプロフェッショナルレベル「上級」の3段階。試験はウェブ上で行う。
来年1月下旬のプレ試験を経て、6月下旬〜7月下旬に第1回初級試験を実施。10年には中級試験も予定する。
初級用テキストはすでに完成しており、JTB旅ホ連会員に無料配布された。テキスト内では「施設・設備」「料理」「接遇」「周辺の環境」を旅館が提供する4大商品としたうえで、旅館のおもてなしを「4大商品を(1)お客さまの立場に立って考え(2)お客さまの望むものを(3)お客さまの望む時と場所で(4)心を込めて提供する──こと」と定義する。
検定の初級公式テキスト