日本政府観光局(JNTO)はこのほど、地方自治体や観光事業者などの賛助団体・会員を対象とする第10回インバウンド旅行振興フォーラムを東京都内で開いた=写真。訪日外国人旅行者1千人の誘致に向け、市場の動向などを解説した。
訪日市場全般の現状と展望について、JNTO海外プロモーション部の小堀守部長が説明。東日本大震災や原発事故からの回復状況では、シンガポールを除く東南アジアや台湾は順調で、韓国や香港、欧米、豪州も改善がみられ、伸張期に移行していると指摘した。
回復が遅れ、成長が足踏み状態にある市場としてシンガポールと中国を挙げた。シンガポールは原発事故に伴う風評被害が長引き、団体企画旅行や家族旅行が低調。中国は尖閣諸島の問題が影響。ただ、中国は個人客への影響は比較的少なく、団体客の落ち込みも底を打ち、回復が期待されている。
インバウンド環境の変化には、円高の緩和、オープンスカイ(航空自由化)やLCC(格安航空会社)の就航拡大、情報通信技術の多様化などを指摘。情報発信について小堀部長は「プロモーション手法に工夫が必要。地方自治体などの情報発信ではJNTOのウェブサイトやSNSも活用を」と呼びかけた。
フォーラムの冒頭にはJNTOの松山良一理事長があいさつし、重視する取り組みに(1)質の向上と量(すそ野)の拡大=富裕層・中間層の取り込み、リピーター確保(2)受け入れ態勢の整備促進=インターネット接続のWiFi環境や海外カードに対応したATM(現金自動預け払い機)の普及(3)MICE(国際会議など)の拡充—を挙げ、「オールジャパンの態勢でプロモーションに取り組み、1千万人を実現したい」と述べた。
海外事務所長らによる市場別の説明や個別相談会も行われた。