旅行会社の社員約千人が3、4日の1泊2日で東北6県を訪れ、観光地などの現状を視察した。東日本大震災で被害を受けた東北地方の復興を支援する、日本旅行業協会(JATA、菊間潤吾会長)の「行こうよ!東北」プロジェクト。各会員旅行会社は、視察で得た情報を生かし、今後、旬の魅力ある新商品を企画し、東北への送客に努めていく。
JATAが総勢約千人という大規模なプロジェクトを国内旅行に関して行うのは初めて。参加者は121社・935人。このうち現地からの参加者などを除いた約800人は3日朝、東京から東北新幹線を利用して東北入りするためJR上野駅に集合。出発式で菊間会長は「旅行会社の社員が実際に東北の今の状況を目にしてもらうことが重要だ」と支援プロジェクトの意義を説明した。
視察は日帰りコースも含む県別の28コースに分かれて実施した。宮城では気仙沼や松島、福島では大内宿や東山温泉などを訪問。菊間会長も青森の浅虫温泉・八甲田コースに同行した。
商品造成担当者ら35人が参加した岩手県「世界遺産の平泉と遠野 語り部ガイドとめぐる釜石」コースでは、まず平泉文化遺産センターを見学。一行を歓迎した平泉町の菅原正義町長は「通常はこの時期、観光客がほとんどいないが、お客さまがたくさん来ている。世界遺産効果はすごい」と人気ぶりを話した。その後、中尊寺、毛越寺を見学した。
宿泊先の花巻温泉郷・ホテル志戸平では懇親会が催された。地元側としてあいさつした岩手県県南広域振興局経営企画部の岩間隆部長は「冬の岩手も素晴らしい観光資源があることを知ってほしい」と要望。また、ホテル志戸平の久保田浩基社長は「東北観光博という枠組みがなくなっても、着地型商品を作るプログラムをぜひ続けてほしい。まだまだ岩手県はじめ東北はきびしい状況だ」といっそうの商品造成と送客を依頼した。
翌4日は、震災で被災した大槌町役場を視察。釜石市の観光ボランティアから説明も聞き、復興現場の現状を知る。釜石市・釜石大観音も訪れた。全行程を終え、新花巻から東京に帰着した。
3日に行われたJR上野駅での出発式