日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は22日、「経営フォーラム」を東京で開催した。「宿泊業界との新たな連携の在り方と課題」をテーマにして開かれた分科会では、提供在庫に関する考え方など旅館・ホテル経営者から意見を聞いた。
フォーラムの全体テーマは「交流大国への挑戦—担い手としての旅行業の役割」。冒頭、田川会長はフォーラムのプログラムを紹介し、「会員各社の経営にとって有意義なものになってほしい」と期待した。来賓の観光庁、田村明比古長官は、急増する訪日外国人旅行者について触れ、「観光は大きな輸出産業に育ってきた。これから成長戦略の柱として、さらなる高みを目指していくことが大事だ」と強調した。
分科会「宿泊業界との新たな連携の在り方と課題」は、JTBの今井敏行取締役旅行事業本部長がモデレーターとなり、旅館・ホテルの3人、旅行会社の1人をパネリストとして進められた。
旅行会社への在庫に対する考え方について、ホテルおかだの原洋平・取締役営業部長は「結果的に旅行会社が売れずに、集客できないことがないよう、お互いに物事を言い合えるぐらいの健全な在庫数がベスト」と指摘。春茂登旅館の根本芳彦社長は「買い取りなら非常にありがたい」と語ると、滝の湯ホテルの山口敦史社長も「お金の流れが発生して初めて仕入だ」とこの意見に同調した。
旅行会社に何を期待するのかについても質問。山口社長は「地域にある旅行会社の支店がDMC的な役割を担ってくれたら」、根本社長は「一番お願いしたいのは、行政と連携した地域振興だ」、原取締役は「旅行需要の拡大を一緒にやっていきたい」と述べた。日本旅行の吉金嘉洋取締役常務執行役員は「われわれ旅行業の利益の根幹は宿泊券をいかに売っていくか。引き続きウイン&ウインの関係をよろしくお願いしたい」と強調した。
このほかフォーラムでは、横浜市の林文子市長による基調講演「人に寄り添うリーダーシップ〜すべては共感と信頼から〜」なども行われた。
宿泊業界との連携を探った分科会