JATAが、東北復興へ「道プロジェクト」開始


案内板除幕式に出席した吉川副会長(中央左)と小林八戸市長(中央右)

案内板除幕式に出席した吉川副会長(中央左)と小林八戸市長(中央右)

 日本旅行業協会(JATA)は、環境省が東北地方の太平洋岸地域に設けるトレイルコース「みちのく潮風トレイル」への協力を通じて、東北復興を支援する「JATAの道プロジェクト」を開始した。本部役員や会員旅行会社の社員ら約70人が青森県八戸市・階上町で10月24、25日、道標の設置などみちのく潮風トレイルコースの整備を行ったほか、トレイルを活用した旅行商品の造成に向けて地元関係者と意見を交わした。

 みちのく潮風トレイルは、環境省が東日本大震災からの復興に貢献するために取り組む「グリーン復興プロジェクト」の一つ。コースは青森県八戸市蕪島から福島県相馬市松川浦までを結ぶ約700キロで、現在、蕪島から岩手県久慈市小袖海岸までの約100キロと福島県新地町福田から松川浦までの約50キロが開通している。コース設定にあたっては地域住民の意見も取り入れ、自然はもちろん、人々の暮らしや文化も感じられるような道にしている。

 JATA活動初日の24日は階上町エリア。みちのく潮風トレイルはその名称通り海岸沿いのコースが中心だが、階上町エリアでは標高740メートルの階上岳山頂を経由する。参加者は8班に分かれ岳を登り、慣れない手つきで穴掘り器やスコップなどを用いて計33の道標を立てた。

 宿泊先の八戸のホテルでは、地元関係者と意見交換。来賓の小林眞八戸市長は「震災からの復旧に頑張っているなかで、JATAのプロジェクトを立ち上げていただいた。それぞれの会社で、いろいろな旅行商品を作ってもらえると期待している」と歓迎した。階上町の久保和子副町長は「観光振興につながる、プロの視点からの適切なアドバイスをいただきたい」とJATAの協力を求めた。

 2日目は、コースの視察、体験を目的に、北の起点となる蕪島を訪問。蕪島はウミネコの繁殖地で、毎年2月下旬から8月上旬にかけて約3、4万羽が飛来する。その後、自然ガイドの案内で、葦毛崎展望台からうみねこラインの岬までの海岸沿いコースを歩く。地元住民が定期的に清掃活動を行っているため、ゴミはほとんど落ちていない。

 種差海岸駅前には案内板を設置。今回の団長である吉川勝久JATA副会長・国内旅行推進委員長(KNT—CTホールディングス会長)や小林八戸市長、岡本光之・環境省国立公園課長らが除幕式を行った。

 JATAの道プロジェクトは、「新しい東北観光」の実現を目指し、2014年度から20年度までの間に千人が参加し、全区間を整備、視察する計画だ。吉川副会長は「これから7年間でみちのく潮風トレイルをソフトの面で売っていきたい。旅行業界は隠れた観光資源を発掘する力、それを磨き上げる力、いわゆる『目利きの力』がある。着地のニーズと発地のニーズを融合する力もある。これを第一歩として、旅行商品の企画・造成、販売、送客に努めていかなければならない」と意欲を燃やす。

案内板除幕式に出席した吉川副会長(中央左)と小林八戸市長(中央右)
案内板除幕式に出席した吉川副会長(中央左)と小林八戸市長(中央右)
 
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