JAL再建、旅行各社も動向注視


 日本航空(JAL)の新体制が1日発足した。新たに会長に迎えた京セラ創業者の稲盛和夫氏を中心に据え、企業再生支援機構の支援下での経営再建が本格始動する。再建計画内には「不採算路線からの撤退」「高効率の小型機への機材変更」が掲げられているが、具体的な時期や対象路線は未定。JAL便を使ったツアー商品などを販売する旅行各社にとっては、しばらくの間、不安交じりの様子見が続きそうだ。

 路線整理について同社はこれまでも、09年度下期以降、関西空港と北海道各地を結ぶ便はじめ、すでに18路線の減便、運休を決定、実施してきた。このうち信州まつもと(長野県)、神戸(兵庫県)の両空港については2010年上期中に地点撤退する予定だ。

 路線整理が与える商品造成への影響について、商品造成に大きくかかわる基幹路線が対象となっていないことやANAなどの他社便への移行で対応可能なことから、「大きな影響はない」というのはKNTと日本旅行。日本旅行は、利用路線が減便、運休された場合にも経由便や周辺地区の路線を使った商品造成などで対応する方針。JTBはコメントを避けた。

 各社が企画旅行商品への波及は少ないと話す一方で、トップツアーは教育旅行などへの影響を指摘する。「北海道道東方面への修学旅行は飛行機利用がメーン。これまでの運休により、すでに旅行計画の変更など、影響は大きい」(国内旅行部)。400人規模の修学旅行では、機材縮小により2隊に分けて移動するなどの対応を迫られている。現状では影響はないという阪急交通社も、「供給座席数が減れば単価が上がる恐れもある」と懸念する。

 再建計画では、2012年度までに国内線を09年度比で12路線減らす。基本的には不採算路線が対象とみられるが、1日に会見した稲盛会長は、「不採算路線でも飛ばさなければならない路線はある。経営体力が許す限りは公共性も重視したい」との考えを示しており、どの路線が対象となるかは分からない。

 いずれにせよ具体的な路線計画が判明しない限り、対応の仕様がないというのは旅行各社共通。今はただ、路線整理の具体的内容を気にしつつも、2012年度の修学旅行の受注など、今年下期以降の営業活動を粛々と進めるしかないのが現状のようだ。

 
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