GWの国内旅行、昨年に比べ動き活発化


日並びの良さが追い風に 旅行会社
 今年のゴールデンウイーク(GW)休暇は5月2〜6日の5日間が一般的だが、「平日を6日休むと最大16連休まで可能で、仕事や家族の都合に合わせて長期の休日が満喫できる」とJTB。同社調査によると、国内旅行人数(4月25日〜5月5日)は前年比2.9%増の2140万人となり、2年ぶりに増加する。高速道路料金の値下げや定額給付金の支給などもあり、観光業界の期待も大きい。旅行会社や観光地の旅館組合、観光協会などに手ごたえを聞いた。【国内旅行動向取材班】

 KNTは4月から始めたキャンペーン「笑顔にっぽんキャンペーン スマイル四国」が好調で、5月の四国方面商品は前年比20%増と大きく伸ばしている。また、中部発商品も好調。5月の北海道商品の同18%増をはじめ九州商品も伸ばしている。一方、東京発商品は前年に比べ低調。「長く休める人は29日発での海外旅行に流れているのでは」と同社広報はみる。  

 阪急交通社のGWの販売状況は、3月24日現在、人数ベースで前年比約10%増。「この時点では海外旅行は約50%増なので、それに比べると(国内は)大きな伸びではない」と言う。好調な方面は北陸、甲信越、関東、中四国で、20〜50%増となっている。沖縄、九州はほぼ前年並みだが、北海道が苦戦。「定額給付金やETC割り引きの影響は特に出ていない」としている。  

 「現状、人員はほぼ前年同期ペース」というのはクラブツーリズム。景気低迷の影響がある半面、日並びが昨年よりも良いことが追い風になっている。日帰りバスツアーが好調で、人員ベースで10〜40%増となり「手軽な日帰りが支持されている」と分析。特に、「この時期は善光寺御開帳がバスツアーの主軸で、これと絡めてのコース設定となる中部、東海、信越、北陸方面が好調」。遠距離では四国、九州が前年を上回るペースで推移している。  

 一方、定額給付金やETC割り引きなどの影響については「多少はあるだろうが何とも言えない。ただ、(給付金の)給付時期が行楽シーズンに当たることから、旅行需要全体へはいい影響があることを期待したい」としている。  

 トップツアーは人員ベースで前年比5%減だが、方面別では東北方面が前年比120%増と好調。「15人以上のグループを対象にした割り引きなどが奏功している」(同社広報)。また北海道、中四国、九州方面とも2ケタの伸び。3月までは鈍かったが、4月以降は回復傾向、5月は前年を上回っていると明るい兆しもある。しかし「ロング商品よりも近場商品、出張プランでもビジネスホテル利用など安い商品に流れており、景況への不安感がうかがえる」と言う。  

 ANAセールスは人員ベースで前年比10%増。北陸方面が41%増、沖縄方面が34%増。東北、関西、関東・甲信越方面も10%程度の伸び。  

 JALツアーズは企画募集型商品が人員ベースで前年比2%の伸び。特に北海道方面が33%増と大きく伸ばしている。

宿泊予約、間際化顕著 温泉・観光地
 温泉組合や観光協会によると、ゴールデンウイーク(GW)の宿泊予約動向は、ピークとみられる5月2〜4日を中心に各地で満室が出ている。しかし、予約の入りが例年以上に遅いという感触を持つ地域も多い。ピーク期間前後の出足の鈍さも目立つ。昨年夏以降の景気後退で、平月の宿泊実績が厳しい地域も少なくないため、間際に予約が集中するにしても、関係者には気がかりな予約状況となっている。

 各地とも2〜4日を中心に予約が入っている模様だ。「2〜5日が例年通り満室」(愛媛・道後温泉旅館協同組合)、「2〜6日が満室。4月29日前後も混雑が予測される」(大分・由布市商工観光課)。

 ただ、宿泊予約の動きが例年より遅いとする地域が多く、個人・グループ客の動向は見えづらい。山形・天童温泉協同組合は「2〜4日は混み合っているが、10日現在、満館の施設はない。予約の間際化が進んでいるようだ」とみている。

 この他にも「予約が詰まってくるのは20日過ぎあたりではないか、という声も旅館からは出ている」(北海道・登別観光協会)、「出足が鈍く、先行きが見えないほど」(福島・磐梯熱海温泉旅館協同組合)などの感触が聞かれる。

 景気後退の影響で平月の宿泊実績が落ち込む地域が多いだけに、GW予約の出足の遅さに不安感もある。「ピーク以外の日も間際には埋まってくると期待しているが、どの産業も景況が良くないだけに、GW以降のことを含めて気がかりな流れ」(石川・山代温泉旅館協同組合)。

 一方で、今年は高速道路料金のETC割引、定額給付金などの好材料がある。特に高速代の割引については、「安・近・短の旅ばかりでなく、高速道路を利用して気軽に遠出できるようになる。宿泊旅行への効果も出るのではないか」(愛媛・道後温泉旅館協同組合)などの期待が大きい。

 大型イベントなどにより客数増加が期待される地域もある。7年に1度の善光寺御開帳(長野・長野市、4月5日〜5月31日)では、周辺地域への宿泊が見込まれる。湯田中渋温泉、志賀高原、北志賀高原がある山ノ内町観光連盟は「25日、1〜4日を中心に部屋はほぼ埋まってきている。しかし、平日が盛り上がってくれないと、期待したほどの伸びには達しない」。

 NHK大河ドラマ「天地人」の放映により、ドラマの舞台、新潟や山形への注目度は増している。しかし、誘客効果はこれからの様子。新潟・越後湯沢温泉総合案内所は「13日現在、GW期間に満室が出ている日はない。予約の間際化が顕著」。山形・小野川温泉旅館組合は「2〜4日は例年通り満館だが、『天地人』効果はまだのようだ。むしろ低料金の宿泊プランを求める問い合わせなどに景気低迷の影響が感じられる」と話している。

 
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