消費者投票による世界的評価ガイド誌「ZAGATSURVEY(ザガット・サーベイ)」の日本での出版、販売事業を行うCHINTAI(東京都港区、石川貴社長)は来年3月、初めての地方版ザガットとして、長野県版ザガットを発刊する。日本版では初めて宿泊施設の評価ガイドを掲載。観光客がTPOに合わせた宿選びができるようにし、観光素材の豊富な長野の魅力を発信する一助としたい考えだ。
「ZAGAT NAGANO」は、観光客の利用を意識した内容で、ザガットが得意とするレストランガイドのほか、宿泊施設の評価ガイドも掲載する。巻頭には、長野の食材やそばなどの名産品をカラーで特集する32ページのガイドがつく。「テキスト中心のザガットにあって、カラーでの観光地特集ページは世界でも珍しい」とCHINTAI・ZAGAT事業室の高田明彦室長。
ザガット・サーベイは1979年にアメリカで創刊した消費者アンケートに基づく評価ガイド誌。世界88都市のガイドを発刊している。日本では07年にCHINTAIがザガット社と契約。現在「東京のレストラン」「大阪・神戸・京都のレストラン」を出版しているが、地方版は長野版が初めて。村井仁同県知事をはじめとする長野県側の強い働きかけがきっかけとなり、豊富な観光資源や魅力的な食素材など、年間延べ9千万人が訪れる同県の観光に関するポテンシャルの高さをザガット社が評価したことから発刊が決まった。
発刊に向けた消費者投票はウェブ特設ページで、9月23日から11月2日まで行う。現在アンケート対象施設として掲載されているのは、レストラン360軒、宿泊施設155軒。アンケート調査では、リスト外の施設も評価できる。ガイドへ掲載されるのは、調査対象施設の約8割程度となる予定だ。調査投票の参加者には、完成したガイドブックを1冊贈るほか、抽選で40人に「長野県原産地呼称管理制度認定品」を贈る。
同書の発刊に向け長野県と同県経営者協会は、調査対象施設のリストアップ作業などに積極的に協力する。「消費者満足の向上、観光事業者のサービス改善、インバウンド振興の面から今回の発刊は期待が大きい。『観光立県長野』の活性化につながれば」と同県観光企画課の大井潤課長。英語版の出版も今後強く求めていく方針だ。
ザガットでは今後も、同シリーズの魅力あるコンテンツとなりうる地方があれば、積極的に地方版ザガットの出版を進める考えだ。
18日会見した村井仁県知事(左)と石川社長