日本政府観光局(JNTO)がこのほど発表した2016年9月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比19・0%増の191万8千人となった。9月としては過去最高。クルーズ船の寄港増加、航空路線の拡充に加え、韓国の秋夕(旧盆)、中華圏の中秋節などの休暇があり、訪日旅行は堅調だった。
9月の訪日外客数は、これまでの9月の最高値、15年9月の161万2千人を上回った。ビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の重点市場のうち、ロシアを除く19市場が9月の過去最高となった。
韓国は42・8%増の43万600人。熊本地震の発生(4月)以降で初めて40%を超える高い伸びを示した。航空座席の供給量増加、訪日プロモーションの実施が、秋夕などの旅行需要を呼び込んだ。
中国は6・3%増の52万2300人。中国を中心とするクルーズ船70隻以上が寄港し、訪日客数を押し上げたが、台風の影響でキャンセルが出たため、中国の9月の伸び率としては1桁にとどまった。
台湾は14・7%増の34万7500人。中秋節の休暇が昨年より長い4連休だったことがプラス要因。香港は13・6%増の13万900人。外国旅行のオフシーズンだが、中秋節の3連休などが訪日需要を押し上げた。
東南アジアでは、スクート航空やタイ・エアアジアXなどのLCC(格安航空会社)が好調だったタイが30・0%増の4万4700人、学校休暇にイスラム教の祝日や建国記念日が重なったマレーシアが21・6%増の2万5900人だった。
アジア以外の市場では、米国が26・9%増の9万6800人。米国人のアジア方面への渡航者数が増加傾向にある中、ナショナルジオグラフィックトラベル誌と共催した写真コンテスト(8月)など、継続的なプロモーションが訪日意欲を喚起した。
このほか豪州が18・4%増の4万1100人、英国が8・8%増の2万4700人、カナダが24・8%増の2万2100人、フランスが13・2%増の1万7300人などだった。
1~9月累計は前年同期比24・1%増の1797万8千人となった。市場別では、中国が前年同期比30・5%増の500万7千人に達し、過去最高を記録した15年の年間値499万4千人をすでに上回った。
訪日外国人旅行者数は、速報値では10月30日に16年1月からの累計が2千万人に達した。