日本政府観光局(JNTO)が17日に推計値として発表した今年7月の訪日外客数は、前年同月比19.7%増の229万7千人となった。1カ月当たりの訪日客としては、今年4月に記録した208万2千人を上回り、過去最高を記録した。夏季休暇の旅行シーズンがピークを迎える中、航空路線の拡充やクルーズ船の寄港増加、訪日プロモーションが需要を喚起。特に中国は、クルーズ船の大幅な寄港数増加などですべての市場を通じて初めて1カ月間で70万人を超えた。
ビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の重点市場では英国、ロシアを除く18市場が7月として過去最高。このうち中国と香港は1カ月間の過去最高を記録した。
中国はクルーズ船の寄港増加、個人客の堅調な需要によって26.8%増の73万1400人となった。香港は16.3%増の18万4600人で、航空路線の成田、関西、高松、鹿児島への新規就航、石垣や新千歳への増便がプラス要因となった。
韓国は30.0%増の44万7千人。好調な海外旅行市場を背景に訪日プロモーションが奏功した。熊本地震で運休していた仁川—福岡線の再開、日韓路線の新規就航や増便が追い風になった。
台湾は9.8%増の39万7千人。円高の進行に伴う相対的な旅費の値上がり、航空会社のストライキの影響による路線の減便などで伸び率は1桁にとどまった。
東南アジアでは、タイが18.2%増の6万1300人。特別公休日の設置などで7月16日から5連休となったことで旅行機会が拡大した。このほかインドネシアが4.6%増の2万6700人、マレーシアが25.3%増の2万5千人、フィリピンが24.0%増の2万300人など。
アジア以外では、米国が19.8%増の11万7600人、豪州が14.6%増の2万9100人。豪州はカンタス航空のブリスベン—成田線、全日空(ANA)のシドニー—羽田線の就航がプラス要因となった。
英国は6.2%減の2万4700人で、昨年7月に山口市で開催されたボーイスカウト世界大会に英国から約4千人が参加した反動でマイナスとなった。フランスは21.1%増の2万7千人、ドイツは4.7%増の1万4500人だった。
九州のインバウンドへの熊本地震の影響についてJNTOは「一部の市場で九州方面の団体旅行の販売が振るわいなど影響は残るものの、好調を取り戻しつつある。7月後半からは韓国などで『九州ふっこう割』を活用した旅行商品の販売も始まったことから、これらの効果も含め、引き続き注視していく」としている。
出国日本人数は9%増の143万人
JNTOが発表した今年7月の出国日本人数(推計値)は、前年同月比8.9%増の142万7千人だった。前年同月の実績を2カ月連続で上回った。1〜7月の累計は、前年同期比4.5%増の933万9千人となった。