日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した今年7月の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年同月比16・8%増の268万2千人となった。夏季休暇のシーズンを迎えて旅行需要が高まり、中国、韓国、台湾、香港の東アジア4市場が好調で、全体としても堅調に推移した。これまでの最高値だった昨年7月の229万6千人を上回り、1カ月当たりで過去最高を記録した。
市場別では、中国、韓国、台湾、香港の訪日客が、1カ月当たりで過去最高を記録した。ビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の重点20市場では、東アジア4市場のほか、米国、豪州、シンガポール、フィリピン、ベトナム、フランス、ドイツなど11市場が7月として過去最高だった。
韓国は44・1%増の64万4千人。格安航空会社(LCC)を中心に、関西、新千歳など各地への新規就航や増便が大幅な伸びにつながった。ただ、伸び率には、昨年4月に発生した熊本地震の反動を考慮する必要がある。
中国は6・8%増の78万800人。伸び率は今年2月から1桁が続いているが、すべての市場を通じて1カ月当たりの過去最高の訪日客数を記録した。継続的な訪日プロモーションや査証(ビザ)の発給要件の緩和に伴って個人旅行や家族旅行が増加した。
台湾は12・5%増の44万6600人。訪日クルーズの催行、地方のチャーター便の運航などが需要を喚起。台風の影響で落ち込んだ昨年からの反動もあった。香港も27・1%増の23万4600人で、航空路線の拡充などが追い風となった。
東南アジアは、休暇の日数、時期の変動がマイナス要因となった市場がある。タイは7・4%減の5万6700人で、祝日に絡む連休が昨年より短かったことが影響。インドネシアは12・3%減の2万3400人、マレーシアは13・5%減の2万1600人で、ともに断食明け大祭の休暇時期の移動で減少した。他の市場は、ベトナムが32・9%増の2万4700人、フィリンピンが20・7%増の2万4500人などと増加した。
アジア以外では北米が2桁の伸び率で、米国が10・0%増の12万9400人、カナダが15・1%増の2万6400人となった。欧州は、フランスが7・9%増の2万9100人、英国が6・4%増の2万6300人、ドイツが7・0%増の1万5500人など。豪州は4・3%増の3万400人だった。いずれの市場も継続的な訪日プロモーションの成果などで堅調に推移した。
今年7月の訪日外国人旅行者数を市場別の構成比で見ると、東アジア4市場が78・5%で、前年同月に比べて1・9ポイント上昇した。東南アジア6市場とインドの構成比は合計6・8%で前年同月比1・0ポイント減。欧米豪9市場の合計は10・7%で同0・7ポイント減となった。
今年1~7月累計の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年同期比17・3%増の1643万9千人となった。主な市場の累計は、中国が6・7%増の406万3千人、韓国が42・8%増の404万人、台湾が7・1%増の273万5千人、香港が25・2%増の131万8千人、米国が13・3%増の82万6千人、タイが7・4%増の58万8千人など。