6月の訪日外客数は、前年同月比31.9%増の90万1千人となり、6月として過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)が7月24日に推計値として発表した。1〜6月累計は、前年同期比22.8%増の495万5千人で、上半期の実績として過去最高。下半期も同程度の伸び率を維持できれば、政府が目標に掲げる年間1千万人を達成できる。
6月として過去最高を記録したのは、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インド、フランス。台湾と香港は月間の実績としても過去最高となった。
韓国は前年同月比39.0%増の21万1500人。女性層、家族層、富裕層といったターゲットごとにメディアを通じて実施したビジット・ジャパン事業の情報発信が奏功。また、JNTOは「訪韓日本人の減少で韓国発航空券のプロモーション運賃が設定され、それが訪日旅行への誘因となった」と指摘した。
台湾は同80.6%増の22万7千人。JNTOによると、訪日旅行の需要が高まり、ツアー料金が値上がり傾向にあるが、引き続き訪日旅行者数は増加している。
このほか香港は同69.0%増の7万4700人と好調。東南アジアも伸びており、シンガポールが同64.2%増の2万1700人、タイが同50.6%増の2万500人などとなった。
中国は同21.4%減の9万9千人。日中関係の冷え込みから、団体観光旅行が低調だった。
上半期の1〜6月累計では、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、オーストラリア、フランスが過去最高を記録した。
今年は、下半期も上半期の伸び率22・8%を維持したとすると、年間で約1026万人に到達する。7月24日の定例会見で観光庁の井手憲文長官は「1千万人が視野に入ってきている」と述べ、「7月からビザが緩和された東南アジアは、この機会を逃さず、プロモーションに取り組む必要がある」と指摘した。
中国の需要回復へ 継続的に取り組み
中国市場は、昨年秋以降、尖閣諸島の問題の影響で低迷している。ただ、井手長官は「終始一貫、手を緩めず、継続的に(回復に)取り組んでいる」と強調した。団体観光の低調の一方で個人観光はほぼ前年並みの水準に戻っているとも指摘した。
中国向けのプロモーションでは、6月21〜23日の北京国際旅行博覧会に日本ブースを出展したほか、同21日に北京市内で観光庁、JNTO主催の日中観光交流の夕べを開催。中国国家旅游局の協力の下、中国の旅行会社などから100人が参加した。
6月20〜23日には上海市で、経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)と連携して、一般消費者向けのイベント「日本観光展」を開催し、日本酒の試飲、三味線のステージなどを交えながら訪日観光の魅力をPRした。