運輸総研
一般財団法人運輸総合研究所(略称:運輸総研、JTTRI)は3月24日、インドおよび欧州に新たな海外事務所を2026年秋頃に開設すると発表した。インド・デリー(予定)に「インド事務所(仮称)」を、ベルギー・ブリュッセル(予定)に「欧州事務所(仮称)」をそれぞれ設置する。開設に向けた準備はすでに東京の本部にて開始している。

インドを「第三極」と位置づけ
運輸総研は、インド太平洋地域における日本の重要なパートナーとしてインドの存在感が高まっているとし、インド事務所の設置目的について「南アジア地域の官民関係者との人的ネットワークや信頼関係を構築し、質の高い研究調査と連携・協働を行うこと」と説明している。
会長の宿利正史氏は、インドへの姿勢について次のようにコメントしている。
「インドを『東南アジアの延長』ではなく、米国・中国と並ぶ『第三極』として位置づけ、モディ政権が推進するモビリティ戦略を含む公共交通、物流、海事・港湾等の交通インフラをはじめ、海事産業、海上保安、運輸安全、脱炭素化、人的交流・観光といった広範な分野で研究調査、情報収集及び情報発信を行うとともに、インドを中心に南アジア地域との連携・協働を行うため、『インド事務所(仮称)』を新設することといたしました。」
欧州は「先進的取組みの調査拠点」に
欧州事務所については、交通運輸・観光や環境分野において世界を先導する欧州の動向を多角的に調査・分析し、得られた情報・知見を日本の関係者へ共有するとともに、日本の政策・研究成果を発信して相互理解の深化を図ることを目的とする。
宿利会長は欧州事務所についても次のように述べている。
「欧州は、自由や人権、法の支配といった普遍的な価値を共有する戦略的パートナーであり、国際規格の策定などで極めて強い影響力を持っています。域内共通政策を主導する欧州連合、加盟各国、英国における公共交通・モビリティ、経済安全保障の観点からの海運、脱炭素社会の実現で先行する鉄道回帰と水運を含めたインターモーダル・ロジスティクス、そして持続可能な観光など、その先進的な取り組みは多岐にわたります。新設する『欧州事務所(仮称)』を通じて、これらの動向を多角的に調査・分析して日本の関係者の皆様と共有するとともに、日本からの情報発信を通じて相互理解を深め、双方の交通運輸・観光の持続的発展に力強く貢献していく所存です。」
既存2拠点との連携でグローバル体制を構築
運輸総研はすでに、1991年(平成3年)に開設した米国・ワシントンD.C.の「ワシントン国際問題研究所(JITTI USA)」と、2021年(令和3年)に開設したタイ・バンコクの「アセアン・インド地域事務所(AIRO)」の2拠点を海外に有している。
今回のインド・欧州への新設により、海外拠点は計4拠点となる。東京本部と各海外事務所が一体となった体制で、関係国・機関との信頼関係向上と交通運輸・観光産業の相互発展に貢献する構えだ。
ワシントン国際問題研究所は35年間の活動経験・知見・人的ネットワークを活用し、交通運輸・観光分野の新たな政策動向、技術開発、イノベーションについての情報収集・調査・分析を担ってきた。アセアン・インド地域事務所は設立5年でアセアン・インド地域に同研究所の取り組みを根付かせ、各国政府・関係機関から一定の認知を獲得。現在は複数国に共通する課題の横断的な整理と、各国政府等との継続的な協力関係の深化に取り組んでいる。
新設の背景 SDGs意識した「世の中の役に立つ」研究
運輸総研は、設立の理念として「学術研究と実務的要請の橋渡し」を掲げ、交通運輸・観光分野において「世の中の役に立つ」「使いものになる」研究調査や政策提言を行ってきた。
その使命を果たすにあたっては、持続可能な開発目標(SDGs)を意識しながら国内外の最新情報や知見を積極的に取り込むことが不可欠であるとし、従来の考え方にとらわれない新たな着眼点による先駆的な研究調査・政策提言と、国際的な連携・協力の強化に取り組む方針を示している。
国や地域の枠を越えた人・モノの移動の活発化や、地球温暖化などの地球規模課題が顕在化するなかで、交通運輸・観光が果たすべき役割をグローバルな視点で捉え、最新の情報・動向を多面的に調査・分析していくことが求められているとしている。
新設事務所の概要
| 名称 | 設置場所 | 開設時期 |
| インド事務所(仮称) | インド・デリー(予定) | 2026年秋頃 |
| 欧州事務所(仮称) | ベルギー・ブリュッセル(予定) | 2026年秋頃 |
事務所の所在地等の詳細については決定次第、同研究所から案内されるとしている。
運輸総合研究所の概要
| 項目 | 内容 |
| 名称 | 一般財団法人 運輸総合研究所(略称:運輸総研、JTTRI) |
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門3丁目18番19号 UD神谷町ビル |
| 代表理事・会長 | 宿利正史 |
| 理事長 | 和田浩一 |
| 所長 | 屋井鉄雄 |
| 専務理事 | 奥田哲也(ワシントン国際問題研究所長、アセアン・インド地域事務所長) |
| 職員数 | 国内(本部)79名、ワシントン国際問題研究所12名、アセアン・インド地域事務所8名(2026年3月1日現在) |
同研究所は1968年10月に財団法人運輸経済研究センターとして設立。1991年に米国ワシントンD.C.に「ワシントン事務所」(現ワシントン国際問題研究所)を設置し、2016年6月に現名称へ改称。2021年4月にはタイ・バンコクにアセアン・インド地域事務所を設置した。日本財団の助成を受けて活動している。




