中田女将
千葉県の天津小湊温泉にある旅館「宿中屋」は毎年のように館内リニューアルを実施し、商品力を高めている一方で、強固な会員ネットワークを構築している。宿泊者に占めるリピート率は約30%で、顧客との信頼関係が経営の基盤となっている。
2024年リニューアルオープンの客室、4階「海辺の町」と、5階「浪漫の歌」は、宿自慢の城崎海岸へと広がる開放的な眺めを楽しめるソファ席を設置。窓辺には城崎の源泉の湯を掛け流しで提供する半露天風呂を設けた。同年には4カ所ある食事処のうち、「渚」「浜辺の物語」に加え、ロビーラウンジをリニューアル。ロビーには、地元陶芸家の作品などを展示するセレクトショップも設けている。
定評がある料理は、南房総の新鮮な魚介を用いた「磯会席料理」を提供。季節感を重視し、前菜は年に7~8回変更。この時期は、秋の食材やまつたけご飯などで旬を演出している。
旅館の魅力である季節感、行事感を大切にした館内イベントも充実。月の半分ほど実施する館内コンサート「音楽とジャズの夕べ」は、午後8時から約30分間の開催。バイオリンやサックス、エレクトーンによる生演奏が好評だ。
現在、「夜のちょうちん散歩」を開催中だ。夕暮れ時にほんのりと灯るちょうちんを手に、海辺を散策する。9月から開催のハロウィンイベントは、宿中屋の敷地内にある「隠れかぼちゃ」を三つ探して写真を撮影するとプレゼントを進呈する。11月中旬からはクリスマスイベントを実施する。
これらは、同館スタッフが主体的に企画。非日常の体験を提供することでリピーターの獲得につながっている。同館友の会「花縁日」の会員数は9千番台に達し、コロナ禍の際に発売した将来の宿泊チケット「みらい宿泊券」の販売は好調に推移した。
「顧客の皆さまからの支援に支えられていると実感した」と女将の中田淳子さん。年に3~4回のDM発送なども通じて、「お客さまとの絆を育む取り組みを継続しています」と話した。

中田女将

オーシャンビューの露天風呂付き客室




