【MICE特集2026】旅館・ホテル、地方におけるMICEの可能性 東武トップツアーズ 地域活性化の契機に 


生駒氏

 東武グループの東武トップツアーズ(本社=東京都墨田区)は、インセンティブ旅行や視察旅行、会議、イベント、周年行事、社員研修など、幅広いMICE事業を手掛けている。入社以来、企業のMICE提案に携わってきた東京法人東事業部第1営業部アシスタントマネージャー・リーダーの生駒拓未氏に、最新の動向や地方での開催事例などについて聞いた。

 ――近年のMICEの動向について。

 需要は回復しているが、開催方式には変化がみられる。これまでは東京や大阪に社員を集め、1カ所で開催する案件が多かったが、コロナ禍を経て、オンライン配信や中継が定着したことで、開催方式の選択肢が広がっている。

 先日、全国に工場を持つ従業員800人規模の企業の周年行事で、全国6カ所に設けたホテル会場を中継でつないで実施した。全国に拠点を持つ企業にとっては、移動や宿泊にかかる費用を抑えられることもメリットといえるだろう。

 また、企業規模や業種を問わず、新入社員研修の問い合わせも増えている。しかし、時期が桜シーズンと重なるため、インバウンド需要の増加や宿泊単価の上昇で、希望する条件での実施が難しくなっているのが現状だ。

 ――最近取り扱った開催事例について。

 近年は、日常とは異なる環境に身を置いて実施する「オフサイトミーティング」の開催地として地方が選ばれることも多い。

 あるグローバルテクノロジー企業では、サーキットに隣接する富士スピードウェイホテル(静岡県)で、マネージャークラスの社員約30人を対象に、1泊2日の研修を実施した。サーキット内でのカート走行体験や温泉など、その地域ならではの要素を取り入れ、日常から離れてリフレッシュしながら、新たなアイデアを出し合う場となった。


研修プログラムの一つ、サーキット内でのカート走行体験(富士スピードウェイ)

 グローバルエンターテインメント企業の研修旅行では、長野県軽井沢で秘境の滝を目指すリバートレッキングを実施した。電波が届かない山奥で、自然を舞台にしたミッションやクイズに取り組み、参加者同士のチームビルディングを図った。

 学びを組み込んだ事例もある。自動車販売会社の視察旅行では、長崎県・五島列島で浮体式洋上風力発電所を視察したほか、自治体から地域振興の取り組みについて説明を受け、意見交換する機会を設けるなど、地域への理解を深めるプログラムを実施した。

 ――旅館の活用については。

 コロナ禍以降円安などの影響で海外への渡航費が高額になっていることから、この機会に改めて日本の魅力を再発見しようという動きもみられる。グルメや温泉を楽しむだけでなく、その土地ならではの文化体験などを通じて、地域の魅力に触れたいという相談も増えてきた。当社では「日本を元気に!」をテーマに、地域の活力を日本全体の活力につなげる取り組みを進めている。こうした当社の強みを生かし、移動や宿泊だけでなく、地域ならではの体験プログラムまで一元的に提案できることも、MICEにおいて地方や旅館を活用するメリットの一つだと考えている。

 ――旅館・ホテルや施設側に求めることは。

 自然景観や歴史、文化、食など、地域が持つコンテンツを生かし、その場所でしかできない体験を提供できることが、旅の目的地を選ぶ上でも大きな魅力になる。

 実際に、コロナ禍で客足が遠のいていた地域を旅の目的地に設定し、その土地ならではの体験を取り入れたことで参加者の間で話題となり、地域の魅力を知ってもらうきっかけにつながった事例もある。

 旅館やホテルには、宿泊や宴会といった施設そのものの機能だけでなく、地域の事業者や自治体などと連携し、その土地ならではの体験や過ごし方を一緒につくっていただけると、私たちとしても企業に提案できる選択肢がさらに広がる。そうした地域全体での受け入れが、MICEを通じた地域の活性化にもつながっていくと考えている。


生駒氏

 
 

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