一般社団法人雪国観光圏は8月4日、企業と地域が協働して資源の可能性を掘り起こす共創型ワークショップ「ゆきむろLabo 2026」を開幕した。2026年8月から2027年1月にかけて、新潟県・雪国観光圏エリアと東京を舞台に全6回のプログラムを展開する。
「雪は厄介者」から「恵み」へ――雪室の思想をビジネスに応用
プログラム名の「ゆきむろ(雪室)」は、雪を資源として活かしてきた雪国の知恵の象徴だ。
雪国観光圏はその理念について、「かつて雪は、暮らしを閉ざす厄介者でした。雪国観光圏は、その雪に向き合い『恵み』と捉え直すことで、雪国という概念を刷新してきました」と表明している。
同じ発想の転換をビジネスにも適用するのが、このプログラムの核心だ。自社や事業のなかに既にある資源――歴史、技術、土地、人との関係――は、社内の常識の内側からは見えにくい。だからこそ「あえて現地へ」。企業と地域が膝をつき合わせ、異質な知恵に触れながら、そこにある資源の可能性を一緒に掘り起こしていく場として設計されている。
観光庁委託事業「第2のふるさとづくり普及推進事業」における実証事業としての開催。主催は一般社団法人雪国観光圏。

全6回のプログラム構成――10月から翌1月まで
プログラムは各回単体または通しでの申し込みが可能だ。料金は各回ごとに異なり、参加費に交通費・宿泊費・食事・懇親会費は含まれない。
説明会・テーマ勉強会(8月4日・無料・オンライン)
8月4日19時から20時半、オンラインで無料の説明会・テーマ勉強会が開催された。今期プログラムの概要と各テーマを理解する場で、申し込み者には後日アーカイブ動画が共有される予定。2026年9月30日まで配信予定のアーカイブ無料視聴チケットも提供されている。
#01「文化の力」アカデミー 基礎編(10月27日〜28日・新潟県南魚沼市)
10月27日(火)10時〜18時、28日(水)10時〜13時の1.5日間で開催。参加費5,000円〜。会場は新潟県南魚沼市のryugon(予定)。
雪国観光圏が積み上げてきた地域文化のビジネス資産化をもとに、ブランドマネージャー・CMOのフジノケンが体系化した「文化の力」フレームをもとに、資源の読み解き方・活かし方を解説。地域での実践者によるビジネス展開例も紹介される。DAY1のみの参加も可能だ。
#02「文化の力」アカデミー 実践編(11月26日〜27日・新潟県南魚沼市)
11月26日(木)10時〜18時、27日(金)10時〜13時の1.5日間。参加費5,000円〜。会場はryugon(予定)。
「文化の力」フレームの視点で資源を読み解いて活かす方法を学びながら、参加者自身が推進したい事業を地域との共創によって展開するための糸口を探る実践的プログラム。DAY1のみの参加も可能。
#03 帰る旅プロジェクト編(12月7日〜8日・新潟県南魚沼市)
12月7日(月)10時〜18時、8日(火)10時〜13時の1.5日間。参加費5,000円〜。会場はryugon(予定)。
2022年スタートの「帰る旅プロジェクト」が生まれた現場を視察し、都市部の企業×地域の共創メソッドを学びながら、関係人口を活かした新たなビジネスアイデアをともにディスカッションする内容。DAY1のみの参加も可能だ。
#04・#05 スノーピクニック×雪上ビジネス相談の会(2027年1月8日・12日)
1月8日(金)と12日(火)、各10時〜16時の単日開催。参加費各5,000円。会場は南魚沼市または湯沢町(予定)。
大自然でのフィジカルな体験が思考と関係性をほぐす趣旨のもと、真っさらな雪原でスノーピクニックを楽しみながら、主催者・参加者が膝を交えてビジネスアイデアや課題感を語り合う「雪国発・未来型アクティビティ」と位置づけられている。#04と#05は同内容で、日程の合う回に参加する形式。
#06 振り返り・フォロー会(2027年1月15日・東京)
1月15日(金)18時〜20時半。東京都内会場(場所未定)で開催し、一部オンライン配信を予定。
今期のセッションを経て、ゆきむろから持ち帰った気づきや育てたいアイデアを主催者・参加者と分かち合い、次につなげる場。後半は懇親会を予定している。
なお、#01〜#05の現地セッションはオンライン参加およびアーカイブ配信なし。
登壇者・ファシリテーター
全回を通じてホスト兼メインスピーカーを務めるのは、一般社団法人雪国観光圏代表理事であり、株式会社いせん・株式会社龍言の代表取締役も兼任する井口智裕氏だ。1973年新潟県湯沢町生まれ。旅館の4代目として家業を継ぎ、2005年に「越後湯澤HATAGO井仙」を大幅リニューアル。2008年に雪国観光圏を立ち上げ、2013年に一般社団法人化して代表理事に就任した。2019年には古民家ホテル「ryugon」を開業。2021年には第13回観光庁長官表彰を受賞。著書に『ユキマロゲ経営理論』がある。
#01・#02・#04・#05のスピーカーを担当するのはフジノケン氏。一般社団法人雪国観光圏ブランドマネージャー・CMOおよび株式会社N37代表取締役。1969年生まれ。広告会社でクリエイティブディレクションに従事した後、2007年に新潟県津南町へ移住。雪国観光圏のブランドマネージャー・CMOとして16年間ブランド戦略を主導し、ジャパンツーリズムアワード大賞(2018年)を受賞。その実践から「文化の力フレーム」(5つの資源×7つの作用)を体系化した。2020年に株式会社N37を設立している。
#01のスピーカーとして、津南町教育委員会文化財保護統括監・雪国観光圏雪国文化研究ワーキンググループ座長・國學院大学兼任講師の佐藤雅一氏も登壇予定。1959年新潟県三条市生まれ。1993年に國學院大學文学部史学科を卒業後、津南町教育委員会の文化財専門員・学芸員として雪国の埋蔵文化財や民俗文化の調査・保護に長年携わってきた。2012年より雪国観光圏の雪国文化研究WG座長を務め、地域に眠る文化資源の掘り起こしと発信を牽引。2014年からは苗場山麓ジオパーク推進室長も兼務する。
#03のスピーカーは、株式会社リクルートじゃらんリサーチセンター客員研究員・帰る旅研究会共同代表の北嶋緒里恵氏。2003年にリクルートへ入社。『じゃらん』編集デスクを経て、じゃらんリサーチセンターで観光による地域活性化プランニングを担当。2022年1月に雪国観光圏と共同で「帰る旅プロジェクト」を立ち上げ、観光庁「第2のふるさとづくり」プロジェクトと連携して推進中。同プロジェクトは「ジャパン・ツーリズム・アワード2024」審査員特別賞を受賞している。
#01〜#03のファシリテーターを担うのは、リージョナルリング株式会社取締役・観光DXプロデューサーの木立徹氏。1981年生まれ。2015年より観光DX・インバウンド分野の新規事業に携わり、これまで200以上の公共事業に参画。国や東京都の観光まちづくりアドバイザーも務める。2025年4月よりリージョナルリング株式会社でデータ領域から観光地域の支援を行い、新潟県観光協会のインバウンドカレッジではコーディネーターを担当。YouTubeチャンネル「観光の深い森」のプロデューサーでもある。
なお、講師・ファシリテーターは予定であり、追加・変更になる可能性があると主催者は明示している。
想定参加者と3つの価値
プログラムが想定する参加者は、セッションによって異なる。
#01・#02「文化の力アカデミー(基礎編・実践編)」では、地域密着型のビジネスを行う全国各地の企業から都市開発・金融機関まで、地域の「文化」をビジネス軸に据えたい人々を対象とする。具体的には、歴史ある老舗企業の経営層・次世代リーダー、地域・土地の文化的資産を活かす地域密着型企業・団体(食品・飲料・工芸・アパレル・化粧品・日用品などの製造業、宿泊・観光業、自治体・DMOなど)、都市開発・設計担当者、チェーン系ホテルの新規開発担当者、金融機関関係者などが挙げられている。
#03「関係人口×地域経済循環」では、「帰る旅プロジェクト」が生まれた雪国観光圏で実証の場を探す新規事業担当者、ベンチャー企業、地域経済循環を学びたい自治体・DMOの方々を対象とする。
ゆきむろLaboから生まれる価値として、主催者は3点を掲げる。第一に「異質な知恵が思考の壁を壊す」こと――都市のロジックが通じない雪国の現場で自社の常識をいったん手放すことで、自社に既にあるものを捉え直す眼が生まれるという。第二に「『共につくる』経験が事業を育てる」こと――答えを教わるのではなく、地域の人々とともに対話し資源の新しい活かし方を考えることで、共創力とジャンプ力を養うとしている。第三に「地域との『関係性』が次のビジネスの種になる」こと――起業人材自身が関係人口として自ら獲得した継続的なつながりが、新たな事業・商品・価値創造の土壌となるとする。
雪国観光圏と帰る旅プロジェクトの実績
主催の一般社団法人雪国観光圏は2008年設立、2013年一般社団法人化。新潟・群馬・長野3県7市町村(魚沼市・南魚沼市・湯沢町・十日町市・津南町・みなかみ町・栄村)が連携する広域DMOだ。2017年に観光庁より日本版DMO(地域連携DMO)として正式登録認可を受け、2021年度には「重点支援DMO」に選定(全国197法人中19法人)。ジャパンツーリズムアワード大賞(2018年)、第13回観光庁長官表彰(2021年)など受賞多数。ブランドコンセプトは「国境の長いトンネルを抜けたもう一つの日本」で、宿の品質認証「サクラクオリティ」、食の認証「雪国A級グルメ」など独自の観光品質基準を構築・運用している。
「帰る旅プロジェクト」は2022年1月、一般社団法人雪国観光圏と株式会社リクルート(じゃらんリサーチセンター)が共同で立ち上げた。観光庁「観光白書(令和7年度)」に事例掲載。観光庁「第2のふるさとづくりプロジェクト事業」と2022〜2025年度にわたり連携し、「ジャパン・ツーリズム・アワード2024」審査員特別賞および「Peatixコミュニティアワード2025」拠点コミュニティ賞を受賞している。
会場・アクセス
#01〜#03は新潟県南魚沼市のryugon(六日町温泉・予定)が会場。東京駅から上越新幹線で約1時間半、越後湯沢駅下車。JR上越線六日町駅東口から徒歩約20分、タクシー約6分。車の場合は関越自動車道六日町ICから約10分(無料駐車場25台)。
#04・#05は南魚沼市または湯沢町(予定)で開催。詳細は後日案内される。#06の振り返り・フォロー会は東京都内会場(場所未定)で、一部オンライン配信を予定している。
詳細・申し込みはsnow-country.jp/yukimuro-laboで受け付けている。




