【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 813】宿を守る財産戦略(4) 青木康弘


青木氏

 前回コラムでは、株の評価額が下がる局面が贈与の好機になると述べた。今回コラムでは、その局面を皆さまが意図的に作る手法として、役員退職金の活用を取り上げたい。

 役員退職金は、長年の労をねぎらうものと考えている人が多い。しかし事業承継、相続税対策の面から見ると、退職金にはそれ以上の意味がある。多額の退職金を支給すれば、会社の利益と純資産を一度に圧縮し、自社株の評価額を下げることができる。

 具体的な数値例に基づき計算してみよう。純資産3億円の会社が退職金1億円を支給すると、法人税の影響を差し引いても、純資産はおよそ7千万円減る。株の評価額は2億3千万円ほどになり、暦年贈与110万円の枠で3割多くの株を動かせる計算になる。利益も大きく減少するため、株式評価の方法によっては下げ幅がさらに広がることもある。支給した決算期の翌期以降が、株を移すタイミングだ。

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