国際興業は8月18日、既存の路線バスをベースに最新の教習設備と災害対応設備を架装した、同社初となる「安全運転訓練車」計10台を導入し、順次運用を開始すると発表した。配備先は安全教育センターに1台、乗合営業所に9台。通常時は乗務員の安全運転教育に活用し、大規模災害発生時には「災害対策車」として地域社会の防災を支える、機能を兼用した車両だ。
同社はこれまで、乗務員の訓練に一般の運行車両を流用してきた。専用の訓練車が存在しなかったため、安全教育の専門化や即応性に課題があったとされる。今回の導入は、国土交通省が推進する「運輸安全マネジメント」および「運輸防災マネジメント」の両面を強化する取り組みの一環として位置付けられている。
導入にあたっては「安全運転訓練車導入PT」を社内に組織。防災主管部署である総務、整備、各運輸部門が連携し、機能性と実用性を追求した。

路上からフィードバックまで、車内で完結する独自レイアウト
ベース車両は既存の乗合路線バス(車番5000番台、ノンステップのMT車)を流用している。
最大の特徴は、路上教習から個別面談、座学指導にいたるまで、バス車内だけで一貫した教育指導を完結できる独自のレイアウトを採用した点だ。
運転席の横には「指導者席」と「補助ブレーキ」、そして「模擬危険操作ボタン」を設置。指導者はこの操作ボタンを用いて、中扉に取り付けられた「挟み込み注意看板」や、運転席から死角となる車両前方左下から飛び出す「こども看板」を任意のタイミングで作動させることができる。実際の路上運転で求められる「危険予測と注意力」をリアルかつ実践的に指導する仕組みだ。
死角を最小限に抑える「アラウンドビューモニター」および「補助ミラー」も装備。運転席の後ろには大画面モニターを設置しており、リアルタイムでドライブレコーダー映像と車載カメラの映像を合成し、車両周辺を真上から見下ろしたような「合成映像」を映し出す。複数人での同時教習を可能にする設備だ。
また、急作動指導に活用できる「速度表示機」とデジタル式「Gセンサー」、車内事故防止のための「音量計測器」(車両前方・後方の2箇所に設置)も標準装備とした。
後部座席はサロンタイプ(対面式デスク付き)を採用。路上教習の直後にその場で運転の振り返りや個別指導が行えるよう、録画した映像をモニターに出力して即座にフィードバックできる環境を整えた。さらに、車内中央には急制動認知装置を設置している。

停電時も独立稼働、「現地災害対策本部」として機能
防災・災害対策設備として、車内には大容量の「1500Wインバーター発電機」を2台標準搭載した。停電時であっても外部電源に頼ることなく、運行管理用のパソコンやモニター、通信機器、アルコール検知器などの重要システムを同時かつ安定して車両独自の電力で稼働させることができる。
災害発生時には被災地や営業所・地域への非常用電源としての給電を行うとともに、機動的な「現地災害対策本部」として、代替運行管理や避難支援の拠点としての役割を担う。
車両デザインには、通常の路線バスと容易に区別できるよう「教習車 Drive Training Bus 運転士募集中」の専用ラッピング広告を掲出した。
国際興業は同車両の配備を通じて、運輸グループの安全方針である「安全最優先の厳守」を徹底し、すべての乗客に安心・安全な輸送サービスを提供するとともに、地域社会の防災力向上に貢献するとしている。
安全運転訓練車の主な仕様は以下のとおり。
- 導入台数・配備先:計10台(安全教育センター1台、乗合営業所9台)
- ベース車両:既存の乗合路線バス(車番5000番台、ノンステップのMT車)
- 主な安全・教習設備:指導者席および補助ブレーキ、模擬危険操作ボタン(こども看板・中扉 挟み込み注意看板などを指導者のタイミングで操作可能)、アラウンドビューモニターおよび補助ミラー、運転席背面モニター(合成映像表示・複数人同時教習対応)、サロンタイプ後部座席(録画映像出力・即時フィードバック対応)、速度表示機、デジタル式Gセンサー、音量計測器(前方・後方の2箇所)
- 主な防災・災害対策設備:1500Wインバーター発電機2台搭載、現地災害対策本部としての活用(PC・通信機器の安定稼働、営業所・地域への非常用電源としての給電に対応)
- 車両デザイン:専用ラッピング広告(「教習車 Drive Training Bus 運転士募集中」)を掲出







