【交通トレンド分析346】千葉での豪雨で存在感を示したモノレールとアクアライン 鳥海高太朗


鳥海氏

 8月13日に千葉県を襲った豪雨「令和8年8月千葉豪雨」は、県内の交通網に大きな影響を与えた。ニュースではJR千葉駅や蘇我駅周辺の浸水が大きく報じられ、翌朝にはJR外房線の大網駅周辺でも浸水が確認された。外房線の誉田―茂原間や東金線全線では復旧に時間を要し、鉄道を中心に移動手段が大きく制限された。

 その一方で、今回あらためて存在感を示したのが、千葉都市モノレールと東京湾アクアラインだ。千葉都市モノレールは全線が高架で、懸垂型という構造上、高い位置を走っている。このため、周辺で冠水が相次ぐ中でも運転を継続できた。結果として、一時滞在施設として開放された千葉県庁への移動手段が確保されたほか、JR京葉線の千葉みなと駅や千葉市役所、JR総武本線の都賀駅などを結ぶ役割も果たした。鉄道網が各地で寸断される中、都市内の移動を支えた意味は大きい。

 もう一つ大きかったのが、東京湾アクアラインである。私の実家は木更津市にあるが、木更津では大雨は降ったものの、幸い大きな浸水被害はなかった。千葉市内を中心に鉄道網が乱れる中でも、アクアライン経由で木更津方面へ抜けるルートは機能していた。高速バスもほぼ通常通り運行され、一部高速道路の通行止めはあったが、房総方面への足が確保された。

 このように災害時に重要なのは、一つの交通手段や経路に依存しないことである。鉄道が止まればバスや他の路線などというように、複数のルートが存在することが地域の強さにつながる。交通インフラは、平常時の速さや便利さだけでなく、「どこかが止まった時に代わりになれるか」という視点でも評価すべきであり、東京湾アクアラインは特に大きな役割を果たした。

 これは千葉に限った話ではない。例えば東海道新幹線が運転を見合わせた際、近年では東京駅から北陸新幹線で敦賀へ向かい、そこから特急サンダーバードで京都・大阪方面へ移動する選択肢が生まれた。通常時には遠回りでも、大規模な輸送障害が起きれば有力な代替手段になる。

 今回の豪雨では、モノレールやアクアラインが「止まらない交通」として地域の移動を支えた。災害そのものを防ぐことはできなくても、交通網を多重化し、代替ルートを確保しておくことはできる。利用者側も、鉄道だけでなく高速バスや迂(う)回(かい)ルートなど、複数の移動手段を日頃から知っておくことが重要だ。災害が頻発する時代だからこそ、交通インフラを防災の視点から考える必要性は、今後ますます高まっていくだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
 

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