台湾高速鉄道股份有限公司(台湾高鉄、董事長:史哲)は7月29日、7月28日に熊本県熊本地方で発生したマグニチュード7.1の強い地震を受け、被災地支援のため2,000万円を寄付すると表明した。台湾高鉄は翌30日、山口県にある日立製作所笠戸事業所で次世代車両「N700ST」のロールアウトセレモニーを行う予定で、22年ぶりに日本の新幹線車両が台湾へ渡るという歴史的な節目と、災害支援の表明が重なる形となった。
台湾高鉄が寄付を発表したのは、7月29日に開催された晩餐会の席上だ。この晩餐会は、台湾高鉄と株式会社日立製作所が、30日のロールアウトセレモニーに遠方から出席する各界の来賓に謝意を示すために開催したもの。晩餐会は「被災された皆様へのお見舞いの意と深い気遣いが感じられる雰囲気で進行され」、「参加者一同は地震の影響を受けたすべての人々の安全と健康を願うとともに、一日も早く平穏な生活を取り戻されるよう祈った」という。
台湾側からの寄付が相次ぐ
台湾高鉄の寄付表明にとどまらず、台湾側からの支援の輪は広がりを見せた。
台湾交通部の陳世凱部長は、災害救援のために1ヵ月分の給与を寄付すると発表。台北駐日経済文化代表処の李逸洋駐日代表も250万円の寄付を表明した。さらに、林俊憲、李昆澤、邱志偉、許智傑、徐富癸の各立法委員も寄付を申し出た。
そして台湾高鉄の董事長である史哲が、台湾高鉄として2,000万円を寄付し、被災後の復旧・復興を支援すると発表した。「被災者の皆様が一日も早く通常の生活を取り戻せるよう支援する」との姿勢を明確にしたかたちだ。
陳部長が強調した台日の「深い友情」
晩餐会での陳世凱部長の挨拶では、台湾と日本の友好関係は産業界にとどまらず、人々の間にある深い友情に支えられているという点が強調された。
陳部長は「今回の熊本地震における相互支援は、その絆を余すところなく示すものだ」と述べた。また、地震発生後、台湾の航空業界がただちに救援物資の輸送に協力する意向を表明したことにも言及した。
陳部長自身も、日本が一日も早く困難を乗り越えられるよう1ヵ月分の給与を寄付することを決めたとしている。さらに日本の関係者に対し、8月に台湾を訪れ、次世代車両の台湾到着をともに迎えてほしいと呼びかけた。「台湾高鉄のN700ST車両が工場から出場することで、高速鉄道分野における台湾と日本の協力は重要な節目を迎える」とし、「今後は双方が手を携えて世界へ進んでいくことができる」との期待を示した。
史哲董事長が製造関係者へ謝意
史哲董事長は挨拶の中で、陳部長と複数の立法委員が「被災者の苦しみに寄り添う人道的な姿勢を示したことに、深い敬意を表する」と述べた上で、台湾高鉄としても2,000万円の寄付を行うと説明した。
晩餐会では、史哲董事長がN700ST車両の製造に携わった事業者一社一社に謝意を伝えた。日立・東芝連合、日本車輌製造株式会社をはじめ、試験への協力や部品・技術の提供を行った多くの協力会社の力によってN700STが実現したとし、「台湾高鉄の次世代車両が実現した」と説明。また、台湾と日本双方の議員が式典に快く参加し、台湾高鉄を継続的に支援していることにも感謝を表明した。
22年ぶりに新幹線車両が台湾へ
7月30日のロールアウトセレモニーは、山口県の日立製作所笠戸事業所で行われた。日本の新幹線車両が22年ぶりに再び海を渡って台湾へ向かうという歴史的な節目であり、N700STは台湾高鉄の今後の運行を担う新たな主力車両となる。
台湾高鉄は、N700STの台湾到着を8月に日本の関係者とともに迎える計画としており、高速鉄道分野での台日協力の新たな段階を象徴するイベントとして位置付けている。
地震という悲劇的な出来事が重なる中でも、台湾から日本への支援の意志が相次いで示された今回の晩餐会。被災地の一日も早い復旧・復興への願いと、台日の鉄道産業における協力関係の深化が、同じ場で語られた。




