飯田市とJR東海など4者、「二地域居住推進コンソーシアム」を設立 リニア開通見据え「共創人口」創出へ


 飯田市、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)、株式会社SUITEN(SUITEN)、Airbnb Japan株式会社(Airbnb Japan)の4者は6月30日、「二地域居住推進コンソーシアム」を設立した。将来のリニア中央新幹線長野県駅(仮称)の設置によるアクセス向上を見据え、地域住民と二地域居住者が共に地域の価値を創り出す「共創人口」の育成・創出を目指す。本取り組みは、国土交通省の「令和7年度 二地域居住先導的プロジェクト実装事業」に採択されている。コンソーシアムの設立を記念したキックオフイベントが、2026年7月20日(月・祝)に長野県飯田市で開催される。

「関係人口」の先へ、「共創人口」という新たな概念

 飯田市は、将来のリニア中央新幹線長野県駅(仮称)の設置により、首都圏や中京圏との飛躍的なアクセス向上が期待される地域だ。

 本コンソーシアムが中心に据えるのが、「共創人口」という概念だ。国土交通省の「関係人口の実態把握」(2025年6月27日発表)によれば、全国の関係人口は約2,263万人と推計されている。一方、コロナ禍を経て関係人口の総数は約230万人減少しており、外部からの「訪問」や「支援」に頼るだけではない新たなアプローチが求められているとされる。

 本取り組みでは、「共創人口」を「地域の資源や営みを『自分ごと』として共に育んでいく地域内外の人々」と定義する。外部の人材を単なる「お客様」として迎えるのではなく、地域住民と対等な立場で「地域づくりの担い手」となる新しい関係性の構築を目指すものだ。

 4者が連携して人が飯田市に「通う理由」と、地域で「共に活動する場」を創出する。都市部の人材と地域住民が共に「地域資源の再読」を行うアプローチにより、二地域居住の先導的なモデルの構築を目指す。

各者の役割と具体的な取り組み内容

 コンソーシアムにおける4者の役割は次のように整理されている。

 飯田市はプロジェクト全体の統括と二地域居住推進の制度構築を担う。JR東海は「conomichi」での発信を通じた、都市部の人材と地域をつなぐ共創体制の構築を担当する。SUTENは中長期滞在施設「HIGASA」の整備と現地プログラムのコーディネートを行う。Airbnb Japanはホームシェアリングをはじめとする宿泊事業者のネットワーク化を進める。

 「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」として推進される具体的な施策は以下の3つだ。

  • 現地でのフィールドリサーチ:都市部からの参加者と市内からの参加者でチームを組み、天龍峡を中心としたエリアで地域資源のフィールドリサーチを実施する。

  • 地域資源の可視化と資産化:リサーチで収集した情報を、本プロジェクトで連携するクリエイターと共に印刷物などの「PR資産」へと編集し、地域内外へ発信する。

  • 滞在・居住環境の整備:地域の空き家だった場所を、滞在拠点「HIGASA」として整備し、地域内外の人々が自然に交流できる環境を整える。

 実施に関する詳細は今後、conomichiのホームページ(https://market.jr-central.co.jp/conomichi/)で案内される。

関係人口創出拠点「HIGASA」とは

 「HIGASA」は、「旅から仕事、暮らしまで。」をコンセプトに掲げる交流拠点だ。かつて銘菓「檜笠煎餅」の工場跡地を譲り受け、地域の若手や移住者、大工やクリエイターが一緒になって改修を進めている施設だ。

 観光でふらりと立ち寄った人も、仕事で来た人も、これからその地で暮らしたい人も、「同じ笠の下で過ごせる交流拠点」を目指している。観光休憩所、コワーキング、サテライトオフィス、お試し移住住宅といった機能を備える。「旅の延長で仕事が生まれ、滞在の続きに暮らしが芽生える」場所として位置づけられている。

「共創型ローカルメディア」conomichiの役割

 「conomichi」は、地域と訪れる人をつなぐ「共創型ローカルメディア」だ。JR東海グループのリソースを活用して地域の様々なプロジェクトをサポートし、その発信を通じて地域と訪れる人による「共創の循環」を生み出すことを目的としている。

 飯田市においては、本コンソーシアムの設立に先駆け、都市部からの参加者と地域住民が共に地域資源を再読するフィールドワークをすでに実施してきた経緯がある。これまでの活動で培われた地域とのネットワークとノウハウを活かし、さらなる共創プロジェクトの実装につなげていく方針だ。

各代表者のコメント

 長野県飯田市長の佐藤健氏は次のように述べた。

 「人口減少・地域の担い手不足が進み、地域活力の維持・向上が問われる時代において、地域の皆様と地域外の方々が、共に新たな魅力を創り出す『共創』は欠かせない取組です。コンソーシアム設立によって生み出される『場』を通じて、地域の可能性を広げ、新たな活力を生み出していきます。」

 JR東海の常務執行役員 事業推進本部副本部長・与謝野優氏は次のようにコメントした。

 「当社がconomichi事業で培ってきたネットワークとノウハウを活かし、地域外の意欲ある人材と地元の皆様が共に汗を流す『共創の土壌』を育んでいきます。飯田市の未来を拓くパートナーとして、新たな人流の創出に貢献していきます。」

 SUITEN CEOの平野広樹氏は次のように語った。

 「外から支援する立場ではなく、自ら現場に入り、地元の事業者と都市部の人材が対等なパートナーとして向き合える場をつくります。目指すのは、心の豊かさと経済合理性が両立した『グッドバイブス』な地域。関係人口創出拠点HIGASAを起点に、『共に考える』だけでなく『共に創り上げる』関係を、地域とともに育てていきます。」

 Airbnb Japanの事業開発部長・谷口紀泰氏は次のようにコメントした。

 「Airbnbのホームシェアリングネットワークを活かし、訪れる人が地域に根ざすような滞在体験を共に育むことで、関係人口の拡大に貢献していきます。リニア開通という歴史的な転換点に、二地域居住という新しいライフスタイルと地域の持続的な活力をつなげるこの挑戦を、飯田市の魅力的なホストと共に支援してまいります。」

 
 

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