田中氏
観光経済新聞社は3月26日、観光業界の有識者を招いたオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第54回配信を行った。ツーリストシップ代表理事の田中千恵子氏が、「地域の“暮らし”を守る観光―ツーリストシップ実践と共創の現場から」と題して講演。田中氏が提唱する「ツーリストシップ」の考え方と具体的な取り組みを紹介した。
ツーリストシップはスポーツマンシップから着想を得た言葉で、「旅先に配慮したり、貢献しながら交流を楽しむ姿勢やその行動」を指す。昨年から中学校の公民の教科書にも掲載されるなど認知は広がりつつあり、田中氏は「旅行者の増加に伴い、一人一人の行動が旅先に与える影響は大きくなっている。だからこそ、旅行者の行動を変えていくことが重要」と指摘する。
同社の具体的な取り組みとして、68項目からなる旅行者の行動基準「ツーリストシップ行動集」を日本語版と英語版で作成。これをテキストとし、講義やワークショップ、試験を通じて学ぶ認定制度「ツーリストシップ検定」も展開し、普及啓発を進めている。
観光地に仮設ブースを設け、国内外の旅行者に〇×クイズ形式で地域の歴史やマナーを伝えるイベント「旅先クイズ会」も中核的な取り組みとして展開。京都の八坂神社や広島の宮島など全国で開催し、これまでに延べ約3万人が参加するなど、好評を得ているという。
「旅先はテーマパークではなく人が住んでいる場所だということ、そこにお邪魔することという認識合わせをすることが大切」と田中氏。「『観光』が旅先を消費するものではなくて、旅先を豊かにするものであってほしい。皆さんとツーリストシップを世界の当たり前にしていきたい」と呼び掛けた。

田中氏




