亀清旅館。昔ながらの素朴な温泉宿だ
長野県戸倉上山田温泉の亀清旅館は米国シアトル出身のご主人が経営する異色の宿だ。今からおよそ30年前、同県上田市で英会話学校の講師をしていたタイラー・リンチさんが、実家が宿という現在の奥さんと出会い、結婚。3代目として宿を受け継いだ。
創業から約70年続く老舗。だが、一時後継者がなく、廃業も考えられていたところ、「もったいない」と、一時母国に戻っていたタイラーさんが一念発起。再び日本に渡り、跡を継ぐ決心をした。
周囲の大型旅館とは対照的な、12室の小さな昔ながらの素朴な宿。
「料理も施設も手づくり感があります」(タイラーさん)。板長による1品1品手作りの料理は、地元で採れるキノコを使った鍋や、温泉街を流れる千曲川の代表的な魚、アユの煮浸しなど。「皆さん、途中で必ず食べてくるから」と、そばはあえて出さない。
「インパクトがある」と評判なのが茶わん蒸し。主に洋食で使われるバルサミコ酢がかかっているのだ。「ふたを開けた瞬間、『プリンですか』と思わせるような見た目(笑い)。当たり外れが大きいようで、味を嫌って怒る方がいる一方、わざわざこれを食べに来る方もいらっしゃるんですよ」。
もう一つの手づくりが露天風呂。「温泉に入りながら星の光を浴びたい」という顧客の要望に応え、内風呂しかなかった宿にタイラーさんが自身の手で半年かけて造った。木々の青葉に囲まれた石造りの浴槽は温泉街の中心を流れる千曲川を表現。電話での問い合わせに「手造りの露天風呂があります」と答えると、顧客も興味津々だ。温泉街の歴史を表す「百年風呂」と命名されたこの露天風呂は、すっかり宿の名物となった。
近年増えている外国人客向けに近隣の飲食店を紹介する英語のガイドマップを作成したり、周辺を巡ってもらうサイクリングツアーを主催したりと、地域全体の活性化にも力を入れている。
タイラーさんの長男夫妻がこの4月に入社。4代目として期待されている。
【1泊2食1万3500円から】
【公式サイト】亀清旅館

亀清旅館。昔ながらの素朴な温泉宿だ




