目標は2030年、日本人クルーズ人口100万人。
次期観光立国推進基本計画において、ようやく「日本人のクルーズ人口拡大」と「販路拡大」が明記された。これまでクルーズ政策は、外国客船の寄港増加に伴う受け入れ港整備など、どちらかといえばインバウンド偏重で議論されてきた。しかし、ディズニークルーズの日本参入により、国内クルーズ人口の本格的な拡大が現実味を帯びてきている。もっとも、旅行会社の視点で見たとき、ディズニークルーズ参入がどれほど売り上げ拡大につながるのかは冷静に捉える必要がある。
オリエンタルランド(OLC)は、ディズニークルーズの予約を自社アプリで完結させる方向で準備を進めている。旅行会社が予約代行や送客を担うモデルにはならないだろう。これは、ディズニーブランド使用に伴うライセンス料、運航を担う日本郵船との協業による人件費、そして2千億円超とされる新造船の減価償却など、相当な固定費を抱えるためである。ここに旅行会社へのコミッションを上乗せすれば、OLCが目標とする利益率25%以上の確保は難しくなる。したがって、旅行会社が販売機会を広げるには、フライ&クルーズで展開される本家米国ディズニークルーズ(カリブ海・アラスカ・地中海)を積極的に扱うことが現実的だ。また、2026年3月にアジア初就航したシンガポール発着「ディズニー・アドベンチャー」は、日本発着のディズニークルーズのリピーター動線として設計する価値がある。ディズニークルーズは家族向けクルーズの象徴的存在であり、幼少期のクルーズ体験は、将来の旅行選択肢に「クルーズ」を組み込む効果がある。これは日本のクルーズ市場の未来に直結する。OLCの挑戦は、業界全体で支えていくべき取り組みだ。
30年の目標である100万人の内訳は、日本籍船で70%、外国籍船で30%を想定している。OLCが掲げる40万人に、その他日本籍船の30万人を加えて70万人。24年の22.4万人から考えると、極めて意欲的な目標である。この目標を達成するには、旅行会社の取り扱い数を増やすことが不可欠だ。JATAクルーズ部会としては、クルーズ販売ウェビナー、B2Bワークショップ、販売セミナーなどを継続的に実施し、販売力の底上げを図っていく必要がある。また、販売スタッフが自信を持って提案できるよう、業界関係者向け優待クルーズの活用など、実体験に基づく人材育成も重要だ。新造船の就航が続き話題に事欠かない今こそ、全国の旅行会社が力を結集し、クルーズ人口100万人の実現に向けて歩みを進めたい。

松浦氏




