旅行・観光含む全91件を選定 日本生産性本部が「日本のサービスイノベーション2025」を公表


 公益財団法人日本生産性本部のサービス産業生産性協議会(SPRING)は3月25日、「日本のサービスイノベーション2025」を公表した。

 サービス産業の生産性向上に資することを目的に、優れたサービスイノベーションの最前線事例をまとめたもの。2025年12月9日に発表された「第5回 日本サービス大賞」の受賞事例33件を含め、事例総数は91件に上る。

旅行・観光分野からも多数

 選定事例には、東武トップツアーズ(株)の「AI マサルくん」、アソビュー(株)の「ウラカタ」、(株)おてつたびの「おてつたび」、(株)タイミーの「タイミー」、(株)ナビタイムジャパンの「Japan Travel by NAVITIME」など、旅行・観光に関連するサービスが多数含まれている。

 東日本旅客鉄道(株)などによる「どこかにビューーン!」、西日本高速道路(株)の「旅っチャ」、トラストパーク(株)の「車泊(くるまはく)」、(株)わっかによる「しまなみ海道の魅力を世界へ!12種のサイクリングサポート」なども名を連ねた。

全91件、多様な産業から

 91件の事例は、DXや医療・福祉、食・農業、環境、教育など多岐にわたる。

 主な選定事例は以下の通りだ。

  • アート引越センター(株)「ぐるっとAI見積り」

  • (株)Ashirase「あしらせ」(視覚障がい者向け歩行ナビ)

  • GO(株)「タクシーアプリ『GO』」

  • (株)セブン銀行「ATM窓口」

  • (株)タイミー「タイミー」

  • (株)ミライロ「ミライロID」(障害者手帳のDX)

  • (株)良品計画「店舗の循環拠点化を基軸とした資源循環」

  • (株)ワークマン「作業服の枠を超えた機能性ファッション」

事例は全国各地の企業・団体が対象で、大企業からスタートアップ、協同組合、社会福祉法人まで幅広い組織が選定されている。

「社会的課題を解決する取り組みが増加」

 第5回 日本サービス大賞委員会委員長を務め、本報告書の監修を担当した村上輝康氏(産業戦略研究所代表)は次のようにコメントしている。

 「日本はますます複雑で厄介な社会的課題に向き合いつつありますが、日本のサービスイノベーションにおいては、生活者の満足度や企業活動の効率性向上を追究するだけでなく、子育て、教育、医療、福祉、人手不足や、インバウンド、地方創生から空家対策まで、多様な社会的課題について企業活動を通じて解決する取り組みが年を追うごとに増加しています。また、デジタルプラットフォームの高度な利用に特化したサービスイノベーションも成熟度を高めており、それが、大企業だけでなく、実力を蓄えたベンチャー企業や、次々に生まれてくる若いスタートアップによっても担われていることを頼もしく思います」

選定の基準――「7つの経営革新」

 選定にあたっては、サービス産業生産性協議会が定める「価値共創のサービスモデル(ニコニコ図)」に示される「7つの経営革新」(T1〜T7)の観点が用いられた。

 このフレームワークは、サービスの状態を可視化・構造化し、最適な形を実装するためのもの。右側がサービスの受け手である利用者サイド(顧客接点)、左側がサービスの送り手である提供者サイド(事業組織)、その間の下部に両者が出会う市場サイド(企業経営)が位置付けられている。

 7つの経営革新の内容は以下の通りだ。

  • T1:革新的で優れた価値提案を行う

  • T2:利用価値共創の仕組みを創り込む

  • T3:満足度評価が事前期待形成につながるのを把握する

  • T4:革新につながる価値発信を把握し、伝達する

  • T5:提供価値共創の仕組みを創り込む

  • T6:学習度評価を行い、知識・スキルを蓄積し、共有する

  • T7:付加価値の適正配分で付加価値を共創し拡大する

 これら7つの観点をもとに、各企業の特徴的な取り組みを見出し、広く産業界にとって模範となる事例が選定された。

SPRINGとは

 サービス産業生産性協議会(SPRING)は、「サービス産業のイノベーションと生産性向上」を推進するための産学官のプラットフォームとして、公益財団法人日本生産性本部が2007年に設立。優秀事例の顕彰、知識共有の場づくり、新事業・新ツールの提供、調査研究などの活動を推進している。

 「日本サービス大賞」は2015年に創設し、これまで5回にわたり内閣総理大臣賞をはじめ各大臣賞の表彰を行ってきた。2023年3月には「日本のサービスイノベーション2022」を選定している。

 代表幹事は小林喜光氏((公財)日本生産性本部会長/東京電力ホールディングス(株)取締役会長)が務める。

事例はウェブで公開

 選定された91件の事例は、同協議会が運営するホームページ「サービスイノベーション・サファリ」(https://service-safari.jp/servicei/)で公開される。あわせて、事例を学ぶセミナー等を通じて、サービスイノベーションの全面展開に向け、多くの産業・企業での活用を推進していく方針だ。

 
 
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