加盟地域が登壇したオープン会議
教育旅行などに民泊や体験プログラムを提供する地域でつくる「全国ほんもの体験ネットワーク」「全国教育民泊協会」は22日、総会、オープン会議を埼玉県秩父市の地場産業センターで開いた。教育民泊の受け入れ家庭の拡大などについて意見交換。体験交流の価値を高め、教育旅行の誘致につなげる方針を確認した。続く3月23、24日には、ガイドインストラクター研修、秩父地域の視察研修なども実施した。
両組織の代表を務める藤澤安良会長(体験教育企画代表取締役)は「教育民泊、体験交流のプログラムの中身を充実させ、付加価値を高める必要がある。教育民泊の意義を学校や旅行会社に理解してもらい、自治体にはそれが地域経済に貢献することを理解してもらいたい」とあいさつ。また、沖縄県で起きた高校の研修旅行中の船の事故を踏まえ、受け入れにおける安全確保の徹底を改めて呼び掛けた。
オープン会議の基調提案で藤澤会長は、いじめや不登校といった教育現場の課題解決、人材育成につながる探究学習のニーズなどに対応し、教育民泊や体験交流でコミュニケーションの機会を提供する必要があると指摘。生徒たちの「人間関係構築能力の向上」につなげると同時に、「感動すると人は変わる。感動するには体験だ」と強調した。
ネットワークに加盟する地域は、地方部に立地し、地域の自然や文化、産業、食などに関する体験プログラムを提供。地域の課題である少子高齢化や人口減少、産業や文化の担い手不足、耕作放棄地の管理や里山保全なども、探究学習のテーマとして提案している。
体験交流の柱である教育民泊は、地域の農林漁家や一般家庭が登録して教育旅行生の受け入れに当たっているが、高齢化、約3年に及んだコロナ禍の影響で減少している地域がある。長崎県・北松浦半島のまつうら党交流公社は、かつては約600軒の登録があり、年間約3万5千人泊を受け入れたが、現在は約100軒、約6千人泊ほどの受け入れという。
受け入れ家庭の拡大には、多様な住民の参画が欠かせない。和歌山県の南紀州交流公社は、高齢者が活躍しており、94歳まで現役だった家主がいたほか、現在の最高齢は89歳という。一方で、長崎県の五島市体験交流協議会では、若い世代の移住者が登録して積極的に受け入れ、地域に溶け込んでいる事例もある。各地域とも住民との結びつき、人のつながりを強化し、受け入れ家庭の増加に取り組んでいる。
人の力を生かして オンリーワンの町 秩父市長
「全国ほんもの体験ネットワーク」のイベントは、開催地の「秩父地域おもてなし観光公社」が共催した。同公社は、埼玉県の秩父市、横瀬町、長瀞町、皆野町、小鹿野町を対象エリアとするDMO(観光地域づくり法人)。教育旅行は12年前から教育民泊を中心とした誘致に取り組んでいる。
開会式には、秩父市の清野和彦市長、横瀬町の富田能成町長、長瀞町の鈴木日出男町長、皆野町の黒澤栄則町長、小鹿野町の森真太郎町長が出席した。
秩父市の清野市長は「街づくりには『場所』と『人』の力を生かすことが大事と考えている。それがその街をオンリーワンにする。皆さまの教育民泊の考え方もそこを目指したものと感じる。また、教育民泊を通じて住民が自覚していない地域の価値に気づくことも。来て学んでいただき、私たちも学び直すことによって、持続可能な社会の実現やESD(持続可能な開発のための教育)につながる」と述べた。

加盟地域が登壇したオープン会議




