「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」に誕生した大型スクリーン。臨場感たっぷりの歴史学習が楽しめる
福岡や長崎、熊本など近隣県からも好アクセスの佐賀県では、県内の豊富な産業や観光施設、文化遺産を掛け合わせ、「生きる力を力強く育む」教育旅行を提案している。中学校・高等学校の生徒が社会に出てからも学校で学んだことを生かせるよう、(1)学びに向かう力・人間性(2)知識および技能(3)思考力・判断力・表現力―の三つを「生きる力」と定義し、これらをバランスよく育むプログラムと、事前事後学習素材を豊富に用意。ここでは、「歴史学習」「環境学習」「民泊体験」の分野における同県の魅力的なコンテンツを紹介する。
【歴史学習】技・人・志に学ぶ、時代切り拓く力
江戸時代末期から明治初期に至る激動の幕末維新期、佐賀県は日本の近代化に大きく貢献した。当時国内最先端の科学技術を有し、明治維新の「鍵」を握っていた佐賀。その類まれなる技術力「技」、教育改革が生み出した多くの偉人「人」、そしてそれらの根底に流れる「志」―。佐賀県には、未来を担う生徒たちに深い学びと感動、気づきを与える歴史施設が多数存在する。
■佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館(佐賀市)
“日本赤十字の父”と称される佐野常民や、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つ・三重津海軍所跡について学習できる施設。
江戸時代後期における日本を取り巻く社会的背景や佐賀藩の近代化の取り組みを知り、激動の時代を生きた佐野常民の遺品や関連資料から挑戦と博愛精神の大切さを学ぶ。
2021年にリニューアルオープンした館内では、大型スクリーンによる迫力ある映像で解説を楽しめるようになったほか、専用端末や手持ちのスマートフォン端末などで専用アプリをダウンロードし、事後学習することも可能だ。
教育旅行で訪れた教員からは「タブレットがあって分かりやすく助かる」「アプリもダウンロードでき、後からでも学習できるところがいい」と好評だ。
観覧料は大人500円(20人以上の団体は350円)、小中高生200円(同140円)。受け入れ人数は最大100人程度。滞在時間目安は90分。

「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」に誕生した大型スクリーン。臨場感たっぷりの歴史学習が楽しめる
■佐賀県立名護屋城博物館(唐津市)
名護屋城跡に隣接する名護屋城博物館は唐津市北部に位置し、「日本列島と朝鮮半島との交流史」をテーマに、原始から現代までの数千年の交流を示す資料を常設展示室で展示。今後の交流・友好の推進拠点になることを目指す。
城跡では、壮大な規模で知られた名護屋城を、タブレット端末を通してバーチャルで体験できるコンテンツを用意。また名護屋城とその城下町を復元した模型展示は、教員や生徒から「全国の名だたる大名や武将が集まっていた様子がよく分かり、迫力がある。戦国時代に興味を持つきっかけにもなりそうだ」と評価を集める。
観覧料は無料で、人数制限はなし。滞在時間の目安は60分。
■佐賀県立佐賀城本丸歴史館(佐賀市)
幕末・明治維新の時代を生きた人々の志を学ぶならぜひ佐賀城本丸歴史館をおすすめしたい。建物は、佐賀藩の10代藩主・鍋島直正が日々の生活と政務を行った本丸御殿を復元して作られている。藩の公式行事で使われた320畳の大広間「外御書院」も復元されており、約千人の家臣が集まったとされる広さを体感できるのも魅力。
館内では、ボランティアガイドが小学生から高校生まで、年代に合わせた内容で分かりやすく解説する。観覧料は無料。滞在時間目安は60分。
佐賀県では、幕末維新期の佐賀の歴史を分かりやすくまとめたWEBサイト「佐賀幕末維新ポータル―志―」を開設。江藤新平復権プロジェクトをはじめ、佐賀の偉業や偉人に関する解説やキッズ向けの専用ページも整備。幕末維新期という激動の時代を駆け抜けた佐賀の先人たちの「志」を次世代へとつなぐ情報発信の拠点となっている。
【環境学習】海洋プラスチック問題 行動変容促す新施設開業
佐賀県での環境学習施設では、干潟に生きる生物の生態などを学べる鹿島市の「干潟交流館なな海」、唐津湾沿岸の環境保全活動を学習できる「虹の松原保全活動」などが有名だ。こうした豊富な体験プログラムに加え、今夏には「世界海洋プラスチックプランニングセンター」が唐津市の波戸岬にオープンする。
「PLA PLA(ぷらぷら)」の愛称を持つ同施設は、世界的な環境問題となっている海洋プラスチック問題について気軽に体感できる、海洋プラスチック再生体験施設。九州北部には、海流や地形、冬の季節風の影響で大量の海洋プラスチックが押し寄せる。同施設では、こうした課題の実態に触れ、一人一人の行動変容を促す狙いがある。
施設での環境学習プログラムは、所要時間およそ3時間の半日コース等、複数のプランを用意。「体験ラボ」での展示見学で理解を深めた後、フィールドワークとして、ビーチクリーン活動を体験。その後は、「再生ラボ」で回収したプラスチックを使ったアップサイクルの体験・座学も行う。
施設内には、アップサイクル製品をインテリアに活用したカフェもある。地元の素材にこだわった飲食の提供やアップサイクル製品の販売など、地域活性の場としても機能する。
1回の最大受け入れ人数は70人程度。駐車場は大型バス4台まで収容可能だ。入場料は無料で、体験料は1人当たり2千円から。

「世界海洋プラスチックプランニングセンター」の外観
【民泊体験】協力・達成感、人とのふれあい 海釣りや大漁旗染め体験で学ぶ
唐津・玄海観光交流社が主催する「農村・漁村での民泊体験」は、唐津市や玄海町などの県北部で、豊かな自然と受け入れ家庭のアットホームな環境の中、人とのふれあいや協働の経験を通し、「いま、ここでしかできない経験」を提供。受け入れ可能人数が300人程度と、大規模校にも対応している。
さらに、豊富な体験プログラムを用意。魚釣りや収穫体験といった体験を家庭ごとに行い、その中で仲間との協力による達成感や人を思いやる心を育む。
唐津市では、「ミニ大漁旗染め体験」を提供。祝い事や新たな門出の際に用いられる「福来旗(ふらいき)」の手染めを体験できる。出来上がったものは1カ月ほどで郵送し、仲間との旅の思い出にもなる。受け入れ人数は、10~20人に対応する。

「ミニ福来旗」
玄海町では、「佐賀牛MYハンバーガー体験」「船釣り体験」を提供。船釣りでは、魚を釣るレクチャーを受けられるだけでなく、船長が釣った魚についても優しく教えてくれる。いずれも受け入れ可能人数は10~30人。
各体験プログラムは、民泊体験との組み合わせも可能だ。周辺ホテルに宿泊し、体験プログラムのみ利用するといった形にも柔軟に対応する。




