公共交通で中国地方を旅する3モデルコース、国交省中国運輸局が公表 「移動が地域を元気にする」


 国土交通省中国運輸局は3月27日、「公共交通機関で巡る中国地方の観光周遊モデルコース」を3ルート作成し、公表した。鉄道・バス・航路など地域の公共交通機関を組み合わせ、観光客が実際に利用できる具体的なルートを示したものだ。

「旅が人をつなぎ、まちを元気にする」

 中国運輸局は発表の中で、地方の公共交通が置かれた厳しい現状をこう説明している。「人口減少や高齢化等による長期的な需要の減少や運転者不足等に伴い、大変厳しい事業環境となっています」。

 そのうえで同局が目指すのは、「移動することそのものが地域を元気にしていく未来」だとしている。観光客が地元の鉄道やバス、航路などを利用する「流れ」が生まれれば、維持が難しくなった路線に新たなニーズが生まれ、「交通のネットワークが地域にとって再び『持続可能なインフラ』へと生まれ変わる可能性がある」と訴える。

 今回のモデルコースは、そうした好循環を促進するために作成されたものだ。「このモデルコースが新たな地域を訪れるきっかけなり、マイカーでは交わることのない地元の人とのふれ合いにつながり、地域に新しい人の流れと小さな経済を生み出すなど、観光振興につながることを期待しています」と同局は述べている。

 モデルコースは今後も順次追加する予定だという。

コース1 錦川清流線といわくにバスで行く 岩国の酒蔵を巡る旅

 岩国市内に点在する4つの酒蔵を、バスと錦川清流線を乗り継ぎながら一日で回るルートだ。

 コースは岩国駅を午前10時15分に出発する。徒歩20分で最初の目的地・八百新酒造(銘柄:雁木)に到着、10時50分に出発。発酵段階ごとにタンクのサイズを変えるなど、微生物のための最適環境を整える手間を惜しまない酒造りを追求している蔵だ。

 そこから徒歩12分で酒井酒造(銘柄:五橋)へ。代表酒「五橋」は錦帯橋の優美さを願い、「心と心の掛け橋に」との思いを込めて名づけられた。杜氏の研ぎ澄まされた感覚とたゆまぬ努力、技術の研鑽により全国からの支持を得ている。酒井酒造を11時20分に出発し、徒歩4分の大藪バス停から平日のみ運行するバスで岩国駅前バス停へ(11時43分着)。昼食を挟む。

 午後12時45分に岩国駅前バス停を出発し、バスで29分、新岩国駅バス停へ(13時14分着)。徒歩5分で村重酒造(銘柄:金冠黒松)に着く。豊かな自然に囲まれ、寒冷清涼・豊富な水を利用した酒造りには最適な場所とされている。「酒造りは環境づくりから」をモットーに掲げ、食中酒造りにこだわっているのが特徴だ。14時20分に出発し、徒歩10分で清流新岩国駅へ。

 14時42分に錦川清流線に乗り込み、50分で錦町駅に到着(15時32分)。徒歩6分で最後の目的地・堀江酒場(銘柄:金雀)へ。1000メートル級の山々がそびえ、県内最長の清流・錦川が流れる錦町に江戸時代から続く酒蔵だ。「江戸時代から代々伝わるその伝統的な技法と最新の技術で、真髄の一滴を追い求め続けています」とされている。15時50分に出発し、6分歩いて錦町駅へ。16時05分発の錦川清流線で70分、岩国駅に17時15分着でゴールとなる。

 なお、錦川清流線の車窓からは、増水しても破壊を防ぐために欄干等がない構造の沈下橋を眺めることができる。「沿線の見所はゆっくり走ってくれます」と資料には記されている。

 コースには含まれていないが、岩国市内には「獺祭」で知られる蔵もある。今回の4蔵に獺祭を加えることで、岩国市内5つの酒蔵を全制覇できる。

コース2 多島美の箱庭へ ~島の絶景と竹原の町並み美を両手いっぱいに~

 広島県竹原市の歴史的な町並みと、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島を2日間かけて巡る1泊2日のルートだ。以下は平日向けのコースで、土日祝日の大崎上島町内の公共交通移動は「おと姫バス(定時定路型・デマンド型)」が利用できる。

1日目

 竹原駅を10時13分に出発し、芸陽バスで「道の駅たけはら」バス停へ(10時15分着)。徒歩400メートル・約6分で「たけはら町並み保存地区」に到着する。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されたエリアで、ニッカウヰスキー創業者の生家「竹鶴酒造」や、竹原の町を見渡せる「西方寺・普明閣」などがある。事前予約で地元ガイドによる街並み観光ガイドも利用可能だ。散策・昼食・買い物で14時まで滞在する。

 14時15分に「道の駅たけはら」バス停を出発、芸陽バスで「竹原フェリー」バス停(14時20分着)へ。竹原港14時25分発のフェリーで垂水港へ(14時50分着)。「垂水フェリー前」バス停を15時20分発のさんようバス(右回り5便)に乗り、「清風館前」バス停(15時44分着)で下車。きのえ温泉「ホテル清風館」に宿泊・散策する。

 ホテル清風館は「温泉総選挙2025の絶景部門で2年連続で全国1位となった温泉宿」だ。日帰り入浴も可能で、瀬戸内の島々を眺めながら温泉を楽しめる。ホテルにはレンタサイクルやレンタル電動スクーターもある。

2日目

 「清風館前」バス停を8時56分発のさんようバス(右回り2便)で出発し、「興昭寺前」バス停(9時45分着)へ。徒歩110メートル・約2分で岡本醤油醸造場に着く。島で唯一の醤油蔵で、大豆と小麦、天日塩のみを原料に昔ながらの杉の大桶で造る醤油が特徴だ。事前予約で工場見学もできる。9時47分から11時10分まで見学・買い物を楽しむ。

 「興昭寺前」バス停11時12分発のさんようバス(左回り3便)で「矢弓」バス停(11時15分着)へ。徒歩200メートル・約3分で「海と島の歴史資料館 大望月邸」に到着する。廻船問屋を保存・改修した資料館で、魅力ある島の文化と歴史を体感できる。併設されたカフェで邸内の庭園を眺めながらくつろぐこともできる。12時30分まで見学。

 「矢弓」バス停12時36分発のさんようバス(右回り4便)で「垂水フェリー前」バス停(12時45分着)へ。垂水港13時発のフェリーで竹原港(13時25分着)へ戻り、「竹原フェリー」バス停14時発の芸陽バスで竹原駅(14時06分着)に到着してゴールとなる。

 竹原では「たけはらバーガー」(瀬戸内の白身魚など竹原の食材使用)、酒粕を練り込んで焼き上げる「たけはら焼」、鯛やカレイなどの白身魚に海老・椎茸などを添えてだし汁をかける「魚飯(ぎょはん)」といったご当地グルメも楽しめる。

コース3 運行再開記念! 新広益線で行く 棚田百選と柴犬ルーツを巡る旅

 2025年10月1日に運行を再開した高速乗合バス「新広益線(グリーンシャワー号)」を利用して、広島市から棚田と温泉・柴犬ゆかりの地を日帰りで巡るルートだ。新広益線は広島市と益田市を戸河内経由で結ぶバスで、一部高速道路を利用する。

 コースは広島駅新幹線口を10時50分に出発し、新広益線で戸河内ICバスセンターへ(12時06分着)。まず「道の駅 来夢とごうち」に立ち寄り、散策・昼食・買い物を楽しむ。安芸太田町の名産品が豊富に揃い、2階のレストランでは安芸太田町B(ぶちうま)級グルメ「漬物焼きそば」も食べられる。

 次の目的地「井仁の棚田」まではレンタサイクルで約4.1キロメートル・約20分。この棚田は、アメリカのニュース専門放送局CNNのウェブニュース特集「日本の最も美しい場所”36選”」で、広島県からは世界文化遺産の厳島神社とともに選出された。また、広島県から唯一、農林水産省の「棚田百選」に選ばれている場所でもある。

 戸河内ICバスセンターを14時36分発の新広益線に乗り、美都温泉入口へ(15時50分着)。「道の駅 サンエイト美都」と「美都温泉 湯元館」を訪れる。道の駅には、現在の柴犬のルーツともいわれる石州犬「石(いし)」の石像がある。石号が暮らしていたのが、島根県益田市の山間の地域・美都町だ(石像は美都温泉 湯元館にある)。

 美都温泉は「触れた瞬間に違いが分かる」といわれるほど、肌がすべすべになる美人湯として評判だ。地元はもちろん県外からも多くの入浴客が訪れる。趣のある施設で無料休憩スペースも利用できる。

 美都温泉入口を17時30分発の新広益線で広島駅新幹線口へ(19時55分着)。

 新広益線の運賃は、広島〜益田間で片道大人4200円・小人2100円、往復大人7600円・小人3800円。全席自由席でトイレはなく、途中「出合原」でトイレ休憩がある。利用可能ICカードはICOCA、Kitaca、PASMO、Suica、manaca、TOICA、PiTaPa、はやかけん、nimoca、SUGOCA。なお冬季は降雪状況により運休になる場合があるとしており、運行状況の事前確認が必要だ。

 
 
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