【本だな】地図で訪ねる歴史の舞台 日本  帝国書院編集部 編


地図で訪ねる歴史の舞台 日本  帝国書院編集部 編

 現在の地図に歴史上の出来事を重ね合わせることで、新たな発見をもたらす地図帳が登場した。「歴史番組や歴史小説の舞台がよくわかる!」と銘打たれた本書は、帝国書院の「旅に出たくなる地図シリーズ」の第3弾として、約10年ぶりに全面改訂された一冊である。大迫力の鳥瞰図と詳細な地図を駆使し、合戦の舞台から世界遺産、旧街道の位置関係までを明確に示してくれる。落語家の春風亭昇太師匠が寄せる「歴史と地図のセットで理解が深まる!」「歴史×地図=なるほど!」という推薦コメントが、本書の魅力を端的に物語っている。

世界遺産から合戦まで、歴史の舞台をビジュアルで体感する

 本書を開くと、まず目を引くのが豊富なビジュアル特集だ。巻頭では、新規に掲載された世界遺産を紹介。「軍艦島(端島)」が物語る日本の近代化、「姫路城」が示す建築技術の頂点、空海が開いた宗教都市「高野山」、世界一を誇った「佐渡金山」、そして歴史と自然が織りなす「日光」など、その価値と背景を地図とともに深く理解できる。さらに、「洛中洛外図屏風」を大迫力の見開きで読み解く特集では、千年の都・京都の往時の姿を鮮やかに描き出す。

 歴史ファンにとって見逃せないのが、数々の合戦をテーマにした特集だ。家康が天下獲りへ動いた「関ヶ原の戦い」、信長の奇襲が光る「桶狭間の戦い」、竜虎が激突した「第四次川中島の戦い」、秀吉と光秀が雌雄を決した「山崎の戦い」など、歴史の転換点となった戦いが、地形や軍の配置とともに詳しく解説されている。これにより、なぜその場所が戦いの舞台に選ばれたのか、地理的要因が勝敗にどう影響したのかが一目瞭然となる。

都市の変遷と人々の営みを知る旅へ

 本書の魅力は、大きな歴史的事件だけにとどまらない。日本各地の都市が持つ独自の歴史にも光を当てている。都市特集では、「中世に栄華を極めた東アジアの交易拠点」那覇、「世界に開かれ異国文化を吸収した日本の『窓』」長崎、「商人町の博多と黒田藩の城下町が結びついた」福岡といった九州の都市から、幕末の志士たちを生んだ高知や萩、加賀藩の伝統文化が息づく金沢、そして徳川幕府が築いた水の都・江戸まで、全国10都市の成り立ちと変遷をたどる。

 さらに、「東海道、中山道とその周辺」や松尾芭蕉の足跡を追う「奥の細道」といった街道特集、「真田氏3代の活躍」や「新田義貞の鎌倉攻略」といった人物や事件に焦点を当てたページも充実している。巻末には「縄文時代の土器と土偶」や「近世の城郭」、「明治の殖産興業」といったテーマが日本列島図でまとめられており、時代ごとの特徴を俯瞰できる。

 40代以上の歴史好きや大河ドラマファンをメインターゲットとしつつも、本書はあらゆる世代の知的好奇心を刺激する。大河ドラマや歴史小説の副読本として物語への理解を深めるもよし、次の旅行の計画を立てる際の参考にするもよし。ページをめくるたびに、まだ見ぬ歴史の舞台へと旅に出たくなる、そんな一冊である。

 AB判198ページ、定価2,970円(本体2,700円+税)。

 発行=帝国書院。


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