鳥海氏
2026年2月28日のアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃を受け、日本から欧州への主要ルートであるエミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空の中東三大航空会社の便が利用できない状況にある。
今回、エミレーツ航空の拠点であるドバイ国際空港への攻撃をはじめ、ドーハ、アブダビといった今までは中東の中でも安全といわれていた拠点に攻撃があったことで、その影響は大きく、三つの空港を拠点とする便は大きく乱れており、一部で運航が再開されているものの、依然として正常な運航には戻っていない状況になっている。
日本人の利用も多い、中東経由でのヨーロッパは現状では困難な状況となっている。
中東各地に足止めされた乗客の多くは脱出できたものの、これから中東系航空会社を使って海外へ出かける場合の他社便への振り替えは難しく、自社便内での変更か払い戻しでの対応となっている。
その影響でヨーロッパ直行便の料金が急騰しており、3月下旬の便では往復20万円以下の航空券はほぼ皆無で、エコノミークラスでも30万~40万円に達することも珍しくなくなっている。
このような状況下で、直行便を増やすということも考えられるが、特に日本の航空会社は、飛行機自体が足りず、乗員の確保も困難であり、簡単に増便することができないことに加えて、現在、ウクライナ情勢によりロシアの上空が飛べないため、北回り・南回りルートを余儀なくされ、飛行時間が14時間を超えることも珍しくない。コスト面も含めて、ヨーロッパ系航空会社の増便も期待できない。
今後心配されるのは、飛行機を飛ばすために必要な燃油の価格だ。ホルムズ海峡の封鎖で既に自動車のガソリン代が急騰し、航空燃料(ジェット燃料)も同様に値上がりしているため、数カ月後には燃油サーチャージが大幅に上昇する可能性が極めて高いだろう。
結果、予算オーバーや安全性の懸念からヨーロッパ旅行を断念する人が増え、代替先としてハワイ、ロサンゼルス(大谷選手観戦など)、アジア方面へ旅行先がシフトする動きが出始めるだろう。
また、訪日観光客についても、中東経由が難しくなることでヨーロッパからの観光客が減少することで、当初の予想を下回る可能性が考えられる。
今後の情勢次第ではさらなる航空券の値上がりや供給不足が予想されるため、夏休みなどの旅行日程が決まっている場合は、例年よりも早めに予約を確保することをおすすめする。特に燃油サーチャージが上昇する前に購入しておくことが重要である。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




