【体験型観光が日本を変える434】バリ島で思う、日本の観光の現状 藤澤安良


 米軍がイランを攻撃した。中東ではホルムズ海峡が封鎖されたり、イランによる近隣諸国各都市への攻撃が及んでいる。それらの都市から日本人観光客などを避難帰国させるチャーター機が相次いで日本に到着した。ペルシャ湾近郊には2千隻もの船が足止めをされている。

 そんな中、中国系の航空機を広州で乗り継ぎ、インドネシアのバリ島のデンパサール空港へ飛んだ。詳細は明かされないが、広州からデンパサールの便が欠航となり、振替便で約8時間遅れでの到着となった。羽田から広州までは、500人近い大型機がほぼ満員で、その大半が中国人であった。広州でのトランジットが約150名で、残りは広州がいったんの目的地であるとすれば、日本への渡航規制は効いていないようである。

 バリ島に着き、寒い東京から到着したので28度は猛暑である。ホテルへはタクシーで約30分1500円程度と格安である。ホテルの部屋は、自然の中に埋もれるかのように樹林帯の中にある。緑あふれる景観は、日本の田舎にもある風景である。日本の旅館ホテルは温泉街や街中に多いが、徐々に大自然の中にリゾートホテルができる傾向にある。

 ウブドのレストランからは、名所の棚田ではなく平坦な三枚の田んぼが見える。これは、近くに海はないが、私の田舎の家の周りの風景である。

 バリ島は、15年前に渡航したが、道路事情や街中の環境などずいぶん良くなった。日本からの直行便が少なく航空券代が少し高いが、マリンやリバーなどのスポーツアクティビティが充実しており、飲食代も日本と同等か安いこともあり、物価高のハワイよりわれわれには過ごしやすい。

 しかし、ホテルも街中も観光地も日本人は少ない。ツアー客は1団体も出会わず、ここでも寂しい限りである。日本人は全盛期にはとても多く来てくれたが、今は少なく仕事が少ないと日本語ガイドが嘆いていた。

 2021年~25年までの5年間で、日本に住む外国人は201万人から395万人とほぼ倍増しているが、警察庁の統計によると、摘発された外国人は4割減となった。外国人増加が治安悪化につながっているとするSNSが増えているが、実態とは違っており、冷静な議論が必要になる。インバウンドにも正しい認識が必要である。

 しかし、摘発や犯罪まではいかないマナーやモラルの点では目に余ることが少なくない。外国での接客サービスでは、本当はそうは思っていないと思うが、いやいや仕事をしているかのような投げやりな態度が不快である。

 航空機の中には、携帯電話で大きな声で話し続けている年配の男性がいる。機内持ち込みの荷物も4個、また、その荷物は機内サイズではないでしょうという物、他人への配慮が足りない行状が目に付く。「人のふり見てわが振り直せ」という、戒めにせねばならない。

 ITは進化し続けてきたが、人間力の進化はそれに追いついていない。人間力と所得向上があり、国内外への日本人の旅行が増えてこその観光立国・日本である。

 
 
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