1 Hotel Tokyoは3月3日、東京・赤坂に開業した。オープニングセレモニーでは、同ホテルが入居する「赤坂トラストタワー」を中心とした大規模再開発「東京ワールドゲート赤坂」を進める森トラストの伊達美和子社長、スターウッドホテルズCEOのラウル・レアル氏、1 Hotel Tokyo総支配人の小南正仁氏らが出席。赤坂芸者衆も「をどり」を披露して式典に花を添えた。

世界13番目、アジア初の都市型「1 Hotels」
1 Hotel Tokyoは、米スターウッド・キャピタル・グループ傘下のブランドマネジメント会社「スターウッドホテルズ」が展開する「1 Hotels」ブランドの日本初上陸となる物件だ。
世界で13番目のホテルとして東京に開業。赤坂トラストタワーの38階から43階、そして1階・地下1階に位置し、皇居外苑、東京タワー、都心のスカイラインを一望できる。
総客室数は211室(ペントハウス&スイート24室、ユニバーサルルーム5室を含む)。料飲施設としてレストラン1店舗、カフェ1店舗、バー2店舗のほか、オリジナルグッズショップ、宴会場、フィットネスジム、スパ、インドアプールを備える。
運営会社はMT&SHホテルマネジメント合同会社。

ラウル・レアルCEO「自然を主導として得るというアプローチ」

スターウッドホテルズCEOのラウル・レアル氏は式典でこう語った。
「私たちが掲げる目的は極めてシンプルです。人々が自然と再び繋がる、そして美しいデザインを持って、人と自然を繋いでいくというものです」
「私たちは自らのアプローチを『自然を主導として得る』というふうに表現しています」
日本での開業に関しては、「東京が世界でも有数の活気ある街の一つであるだけではなく、日本が私たちの理念と深く共鳴する価値観を体現しているため」と意義を強調した。
さらに「今回の開業は単なる始まりではなく、我々の日本への長期的なコミットメントの証ともいえます。これからも日本でまた別のブランドを開設することを考えております」と述べ、日本国内での更なる展開に意欲を示した。
パートナーシップについては、「その夢を実現するために、我々のこの新たな船出に森トラスト様がパートナーになってくださったことを心から嬉しく思っております」とも語った。
ラウル・レアル氏はホテル業界で40年以上の経験を持つ。2010年にはVirgin Hotelsの立ち上げに招聘され、10年以上にわたりブランドの基盤構築を主導。インクルージョンの推進やパイプライン開発、サステナビリティを経営戦略の中核に据えてきた人物だ。現在はグレーター・マイアミ・コンベンション&ビジターズ・ビューローの理事も務めている。
小南正仁総支配人「変革のためのプラットフォーム」

1 Hotel Tokyo総支配人の小南正仁氏は式典でこう述べた。
「ワンホテル東京は、世界で13番目のワンホテルでございます。世界の都市やリゾートで展開してきたこのブランドがいよいよ東京にやってまいりました」
東京拠点の特徴として「都市の上空にあるサンクチュアリ」を挙げ、「高層の緑、東京タワー、広がるスカイライン、この景色そのものが、東京の躍動と静けさを同時に感じさせてくれます」と語った。
環境配慮の取り組みについては具体的な事例を多数紹介。
「全客室に浄水システムを導入し、プラスチックボトルは一切使用しておりません。ワインボトルを利用したグラス、再生素材を生かしたデザイン。最後まで環境への配慮を徹底しました」
さらに「DO NOT DOSTURB」サインについては、「通常のドアの表示に加え、『NOW』 と 『NOT NOW』を刻んだ小さな石をご用意しております。自然の素材を生かして、そこに触れながらご自身の時間を選んでいただくためのちょっとした工夫になっています」と紹介した。
バスルームに砂時計を置く理由については、「シャワーの時間を制限するためではございません。水という資源にそっと思いを向けていただくための小さなきっかけです」と説明した。
ホテルの役割については、「私たちは、単なるホテルブランドではなく、変革のためのプラットフォームだというふうに考えています。しかし、それは何かを強制するわけでもないし、犠牲にすることでもなく、我慢することでもなく、押し付けることでもございません。日々の生活に自然に寄り添い、無理なく取り入れられる工夫を重ねること、そしてタルを知るという美しさを心地よく感じていただくこと、それがこのホテルに込めた思いでございます」と述べた。
小南氏は日本の大学卒業後、スイス・ジュネーブでホテリエとしてのキャリアをスタート。米国でも研鑽を積み、2017年に帰国。「ザ・リッツ・カールトン東京」でホテルマネージャーを務めたほか、「モンタージュ・ビバリーヒルズ」「ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ」「コンラッド・マイアミ」など米国の主要ラグジュアリーホテルで上級管理職を歴任。日本語・英語・フランス語を操るトライリンガルだ。
バイオフィリックデザインが息づく空間
館内は「バイオフィリックデザイン」を核に設計されている。人と自然の調和を再構築し、自然の美しさやぬくもりを空間に取り込むデザイン哲学だ。
38階のロビーには植物を用いた垂直型ボタニカルインスタレーションが配置され、苔や再生木材のパネル、栃木県産の大谷石(フランク・ロイド・ライトが日本の建築に用いたことで知られる石材)を組み合わせた彫刻的なエントランスが印象的な空間を演出する。
その先には、鉢植えやビルトインプランターに囲まれた禅の思想に着想を得たラウンジが広がり、石と砂利を配したガーデンが静謐な雰囲気を醸し出す。
砂目調の壁紙や手仕事による漆喰仕上げ、壁際に連なる砂利のラインは日本の渓流を想起させる。日本の「侘び寂び」の美意識を現代的に再解釈した空間だ。
1階エントランスには屋外グリーンウォールを配し、館内の随所にも植物を取り入れている。また、ホテル全体として約5,600㎡の大規模緑地を配した複合開発「東京ワールドゲート赤坂」の中心的存在となる。
「空中庭園」を目指したデザインコンセプト

館内デザインを手がけたのは、ニューヨークを拠点に建築・インテリア・プロダクトデザインを国際的に展開するデザインスタジオ クレム代表の相崎準氏だ。
相崎氏は式典で、「東京の中心赤坂に、空中庭園のようなオアシスをデザインしたいと考えました」と語った。
「我々はこのタワービルをもともとは小さな種であり、そこから芽が生えて育った巨大な木に見立ててデザインをしました。エレベーターというカゴに乗って吊り上げられ、そしてキノコのキャノピー上層部にたどり着きます」
メインロビーラウンジの天井は「上空の雲の目に見えない気流をイメージして設計」。バーの背面にも雲をモチーフにした造形を取り入れ、「有機的な要素を空間全体に散りばめることで、全てが自然とつながっているデザイン」とした。
レストランでは厨房を主役にするため視界を遮らないよう設計。「上からは照明を垂れ下げ、下からは植栽を生やすような感じで設計したので、夜はまるでキノコが自然発光しているような柔らかい空間」を表現しているという。
日本の職人文化から着想を得た再生素材や手仕事による仕上げを多用し、廃材の再利用も積極的に取り入れた。
客室・スイートの詳細

客室は5カテゴリー・スイートは7カテゴリーで構成される。
スタンダードルームのラインナップは以下の通り。
- アルコーブキング(32平米)
- タワーキング(37平米)
- ガーデン ツーダブル(36平米)
- スカイラインキング(42平米)
- スカイラインラウンジ ツーダブル(42平米)
スイートは以下の通り。
- パノラミックタワー スタジオスイート(52〜53平米)
- パノラミック ガーデン ジュニアスイート(58平米)
- パノラミック パーク 1ベッドルームスイート(66平米)
- パノラミックタワー 1ベッドルームスイート(67平米)
ペントハウスは3種類。
- ミドリ ハウス(112平米)
- コモレビ ハウス キング(113平米)
- ヒナタ ハウス キング(117平米)
ペントハウスの「ミドリ ハウス」および「ヒナタ ハウス」はコネクティングルームとして2ベッドルームスイートでの利用も可能だ。

全客室に浄水システム、プラスチックボトルは廃止
客室には環境配慮型の設備・アメニティが揃う。
全客室に専用の浄水システム(ウォータータップ)を完備し、使い捨てのプラスチックボトルを不要にしている。メモ帳の代わりに小さな黒板(チョークボード)を設置してペーパーレス化を推進。客室で使用するグラスには使用済みのガラス(ワインボトルなど)をアップサイクルした製品を採用する。
ミニバーには地元の職人によるアルティザン(手作り・厳選)プロダクトを取り揃え、CO2排出量削減のためローカル中心の品揃えとしている。
リサイクル素材から作られたハンガーや繰り返し使えるランドリーバッグ、リサイクル木材で作られたルームキー、全客室に設置された分別可能なリサイクル用ゴミ箱など、細部にまで環境配慮が行き届く。
バスアメニティは英国発のオーガニックライフスタイルブランド「bamford(バンフォード)」のプロダクトで、詰め替え可能な大型ボトルで提供する。
モーションセンサーやインバーター技術を導入し、快適性を損なわずにエネルギー消費を抑える工夫も施している。100%オーガニックコットンのリネン、生分解性のトイレットペーパーやフェイシャルティッシュも採用する。
「1 Less Thing(ワン・レス・シング)」プログラムも実施。旅行中に不要になった衣類を客室に置くことで、地域で提携するNPO団体に寄付できる仕組みだ。

南仏×日本の感性が交わるレストラン「NiNi(二二)」

38階に位置するレストラン「NiNi(二二)」は、南仏リヴィエラと日本の感性が融合したコンテンポラリーダイニング。ニース、カンヌ、サントロペといった海岸線のエスプリを起点に、プロヴァンスのハーブやオリーブオイル、新鮮な魚介といった地中海の恵みを日本の感性と職人技で再解釈する。
調理の要となるのは、日本ではまだ導入例の少ないジョスパーグリルオーブン。天然炭による高温調理で「強く焼くためではなく、本質を際立たせるための火入れ」を行う。パスタはすべて自家製だ。
食材には熊本県産みやび鮪や但馬産和牛など、持続可能性に配慮した生産者の素材を積極的に採用。東京NEO-FARMERS!などの東京近郊の若手農家や再生農地を活用する農業を、継続的な仕入れによって支えるという姿勢も示す。
シグネチャーデザートである「NiNiオリジナルチョコレートバー」は、カカオ生産者への栽培技術支援をするプログラム「カカオ・トレース」認証を受けたチョコレートを使用している。
営業時間は朝食7:00〜11:00(L.O. 10:30、宿泊ゲスト限定)、平日ランチ12:00〜15:00(L.O. 14:00)、土日祝ウィークエンドブランチ12:00〜17:00(L.O. 13:30)、ディナー17:30〜22:00(L.O. 21:00)。座席数はダイニング128席、バーエリア37席、個室42席(3室)。

50種類以上のクラフトジンを擁するバー「Spotted Stone」

「Spotted Stone(スポッテッド ストーン)」は、日本各地のクラフトジンを50種類以上揃える「目的地となるバー」だ。「コレクション」「クラフト」「精度」を基盤とするジン主導のアプローチが特徴で、日中はラウンジとして、夜にはマティーニセレモニーや語らいの場として機能する。
座席数は77席(バーエリア30席、ラウンジエリア47席)。営業時間は月〜木曜日14:00〜24:00、金曜日14:00〜25:00、土曜日・祝日12:00〜25:00、日曜日12:00〜24:00(祝前日は25:00まで)。バーエリアは20歳未満入場不可。
テイクアウト専門の「Neighbors Café(ネイバーズカフェ)」も1階で展開。原宿発のオーガニック抹茶ブランド「THE MATCHA TOKYO」や「MARUGRA」のオーガニックグラノーラなども取り扱う。営業時間は7:00〜17:00(フード提供は14:00まで)。
天空のリトリート「bamford WELLNESS SPA」
38階に位置するスパ施設「bamford WELLNESS SPA(バンフォード ウェルネス スパ)」は、英国発のオーガニックライフスタイルブランド「bamford」と「1 Hotels」のグローバルパートナーシップにより日本で初めて展開するスパだ。
西洋と日本の伝統技術を融合したトリートメントを提供。スウェディッシュマッサージに加え、日本古来の指圧、リフレクソロジー、ツボ押し、アシスト付きストレッチ、ヨガの呼吸法なども組み合わせる。
シグネチャートリートメント「1 Hotel Tokyo エクスペリエンス」(120分/57,000円・税サ込)は、フットリチュアル、バンブータッピング、ボディ&パックマッサージ、フェイシャルで構成。その他、バンフォード シグネチャートリートメント(90分・43,000円)、アウェイクニング フェイシャル(60分・33,000円)、ジャパニーズバンブー マッサージ(90分・41,000円)、ディープティシューマッサージ(60分・31,000円/90分・41,000円)なども用意する。
施設にはリラクゼーションラウンジ「ラベンダールーム」、ミストサウナを備えた「ハマムルーム」、長さ18メートルの温水プール、テラススペース、トリートメントルーム5室を備える。営業時間はスパ全体8:00〜20:00、スパトリートメントは11:00〜20:00。

「1 Hotels」のグローバル展開
「1 Hotels」は2015年、米フロリダ州マイアミ・サウスビーチとニューヨーク州マンハッタン・セントラルパークに最初の2施設をオープン。その後、2017年にブルックリン(イーストリバー沿い)、2019年にウエストハリウッド(サンセット大通り沿い)、2021年にトロント(カナダ)、2022年にサンフランシスコとナッシュビル(米テネシー州)に展開した。
2023年にはハワイ州カウアイ島・ハナレイベイにブランドの旗艦ホテルを開業するとともに、ヨーロッパ初進出として英国・メイフェア(ロンドン)にも開業。2025年にはシアトル、メルボルン(オーストラリア、オセアニア初進出)、コペンハーゲン(デンマーク、北欧初進出)にも展開した。
今後はカボ・サン・ルーカス(メキシコ)、パリ(フランス)、エルウンダ・ヒルズ(クレタ島)、オースティン(米テキサス州)、リヤド(サウジアラビア)、サン・ミゲル・デ・アジェンデ(メキシコ)での開業準備も進行中だ。一部施設はミシュラン・キー(MICHELIN Key)の認定も受けている。
1 Hotel Tokyoの所在地は東京都港区赤坂二丁目17番22号。電話番号は03-6441-3040(ホテル代表)。公式サイトは、https://www.1hotels.com/tokyo 。

【kankokeizai.com編集長 江口英一】




