旅行会社やOTAの投票で選ぶ観光経済新聞社主催の「にっぽんの温泉100選」は、2026年度に40回目の節目を迎える。この企画が始まったのは、バブル景気のただ中である1987(昭和62)年。温泉地の開発、温泉旅館・ホテルの増改築、団体旅行の全盛、温泉ブーム。温泉地が置かれている今の状況は当時とは大きく異なる。「にっぽんの100選」の意義も変わりつつある。
「にっぽんの温泉100選」は、温泉地に対する旅行者の支持や旅行会社の評価を把握する目的でスタート。ランキングを通じて地元関係者の地域づくりへの意識を高揚し、全国の温泉地の活性化を促すことを目的としている。
ある意味では人気投票であり、旅行会社やOTAにとっての販売のしやすさという評価の結果ではあるが、近年の動向を見ると、それだけではなく、温泉地における地域づくりの取り組みを評価しよう、あるいは応援しようという動きが見て取れる。
例えば、23年連続で1位を維持している草津温泉(群馬県)は、首都圏に本社、営業所を置く旅行会社を中心として票を集めているとみられるが、長年支持を集める背景には、観光を基幹産業とする人口約6千人の町の官民を挙げた景観整備などへの評価がある。25年度に2位の下呂温泉(岐阜県)、3位の道後温泉(愛媛県)も、全国からまちづくりを注目される温泉地だ。
投票ランキングと併せて発表している「実行委員会特別賞」も、地域づくりが選考指標の中心となっている。「にっぽんの温泉100選」の第30回(16年度)を記念し、観光関係団体とつくる実行委員会でスタートした賞で、温泉地、団体、宿泊施設を表彰しているが、近年、特に持続可能な地域づくりの観点が重視されるようになっている。
第40回「にっぽんの温泉100選」は、7月1日に投票受け付けを開始する予定だ。これまで以上に多数の旅行・観光関係者に投票を呼び掛けるとともに、単なる人気ランキングにとどまらない、温泉地域づくりの指標、持続可能な地域づくりへの評価と捉えてもらえるよう、新聞紙面などを通じて温泉地の情報発信を強化していきたい。





