【VOICE】株式会社型観光協会による観光地づくり 株式会社ニセコリゾート観光協会 事務局長 中野文彦氏


中野氏

観光協会×住民による「ニセコ町らしさ」の追求と発信

 株式会社ニセコリゾート観光協会は、2003年にニセコ町と町民有志が出資して生まれた、日本で初めてともいわれる株式会社型の観光協会です。一般に、観光協会は観光関連産業を会員とする社団法人がほとんどですが、なぜニセコ町ではこのような観光協会を選択したのでしょうか。

 初代の代表である村上公彦氏は、設立総会で株式会社とした目的を「自ら考え行動すること、そして民間活力と独創性の発揮を信条に、今後さまざまな事業展開を図り、地域経済の振興と活性化に大きく貢献すること」と述べています。ここには、この組織は観光産業のみならず地域全体の活性化のための会社であり、農林業、商業なども含めたニセコ町全体の活性化のための組織であることが語られています。観光とニセコ町らしい地域産業や地域の強みを掛け合わせながら、ニセコ町らしい、あたらしい事業を次々と生み出すことを目指しました。

 実際に、現在の株式会社ニセコリゾート観光協会は年間2億円を売り上げる会社へと成長していますが、成長した主な事業としては物販と旅行・体験事業があります。これらの事業のポイントは、どれも町民の皆さん、町内事業者の存在があるからこそ成り立つものであることです。道の駅での物販事業は町内の生産品を消費者に届けることをコンセプトに、地元産や地元の原材料を用いた菓子類や乳製品などの加工品、クラフトや酒類を中心に販売しています。年間30件・4千人以上の教育旅行・MICEの受け入れプログラムは有機農法、オーガニックワインづくり、6次産業化、地産地消、森を守る林業とクラフトづくり、多文化共生、6次産業など、多くの町民、町の事業者の方が講師となって体験するものです。地元の高校生が大学生の視察やワークショップをガイドするプログラムもあります。観光協会内にあるコミュニティFM「ラジオニセコ」も「聴くだけじゃない。出るラジオ」として多くの町民が出演しています。株式会社であることによって、地域の特徴のある事業者や町民と個別の関係性を築きながら、「ニセコ町らしい」観光を生み出してきたのです。

 現在のニセコ町は、増加する観光開発の圧力の中で、来訪者のみならず住民にとっての観光、地元の学校と連携した教育と観光など、中長期的な視野でニセコ町のまちづくりに貢献することが求められます。事業性と公益性の双方を持つ観光協会として、世界的なリゾートと暮らしたくなるまちの融合。そして子供たちが戻りたくなる町の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。


中野氏

 
 
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