TTF会場内、JNTOブースに集まる来場者
2026年は、日本とシンガポールが外交関係を樹立して60周年を迎える節目の年であり、両国の交流が一層盛り上がることが期待される。日本の外務省が「SJ60」記念ロゴマークを一般公募し、約200件の応募の中から優秀賞を選出したことは象徴的な第一歩だ。このロゴは今後、「SJ60認定事業」などで幅広く活用される。公募という形で一般の参加を促したことにより、両国での認知拡大と親近感の醸成が図られた。
また、在シンガポール日本大使館は年内にSJ60を記念したイベントを開催する予定であり、他にも政府・民間が連携して多様な催しが実施される見込みだ。認定ロゴを用いた地方自治体や事業者によるプロモーション、文化交流、ビジネス連携など、多面的な取り組みの加速も想定される。
ここで、2025年のシンガポール市場を振り返りたい。訪日シンガポール人数は72万6200人となり、対前年比で5.1%増を記録した。特筆すべきは消費意欲の高さだ。シンガポールの1人当たり旅行支出(2025年1~12月速報値)は、31万7977円となり、対前年比で9.3%増を記録し、全国籍・地域1人当たり旅行支出22万8809円を大きく上回った。費目別にみると、宿泊費(11万4858円)、買い物代(10万816円)、飲食代(6万3329円)が上位となるが、直近10月から12月の期間の買い物代は、前年同期比195.8%とほぼ倍増し、特に「時計・フィルムカメラ」「宝石・貴金属」等、円安を背景として比較的高価な物が購入された。
航空路線も追い風となっている。2026年2月現在、7社が日本主要都市への直行便を運航しており、供給は安定している。なかでもLCC(格安航空会社)のスクートが2025年12月に沖縄(那覇)線を新規就航させたことは、地方への新たなゲートウェイが拡大した点で注目に値し、沖縄を起点とした地方周遊商品の開発など、新たな需要創出の好機と言える。また、シンガポール航空が2025年10月に開催した消費者向けイベント「Time To Fly Travel Fair 2025」(TTF)には、日本への旅行情報を求める多くの消費者が来場し、航空需要の底堅さと訪日意欲の高さを示す指標となった。
当事務所では、SJ60を契機としたプロモーションを積極的に展開する。主な施策として、(1)インフルエンサー招請によるリアルな体験発信(2)消費者参加型フォトコンテストによる地方の魅力訴求(3)旅行博等への出展―を計画している。
当市場のリピーターは、日本関連の飲食や小売に日常的に親しんでおり、それを超える「未踏の地方」や「深い日本文化体験」への渇望が強い。これらの志向を踏まえ、JNTOシンガポール事務所は自治体や宿泊施設と連携し、ターゲットを絞り込んだ地方誘客プログラムを推進していく。この機会にさらに、関係者とともに消費額拡大および地方誘客を一体的に進めつつ、両国の観光交流の活性化の一助となりたい。

TTF会場内、JNTOブースに集まる来場者




