三菱重工グループの三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社(MHI-TC)は1月21日、自走式の舶用旅客搭乗橋「Mitsubishi Marine Bridge:MMB」を横浜市に納入したと発表した。三菱重工業の三原製作所(広島県三原市)で製造され、横浜港大さん橋国際客船ターミナルで1月13日から供用が開始されている。大型クルーズ船にも対応可能な設備で、MHI-TCが自走式MMBを納入するのは今回が初めてとなる。

自動走行機能付き16輪独立操舵システムを搭載
MMBは、天候や気温の影響を受けにくく、「安全」「安心」「快適」な旅客の移動を実現する設備だ。旅客が岸壁に降りる必要がないため、セキュリティの確保や岸壁のスペースの有効活用が可能となる。
MHI-TCが開発した自走式MMBの自動運転機能は、空港用の旅客搭乗橋PBB(Passenger Boarding Bridge)における完全自動装着システムの技術を応用して開発された。
自走式MMBの最大の特徴は、前方と後方にそれぞれ8輪、合計16輪の独立操舵走行装置を搭載している点だ。この走行装置によって、岸壁の先端を転回できるため、今回は大さん橋ふ頭の「新港ふ頭」側と「山下ふ頭」側、双方の岸壁で運用が可能となっている。

GNSS活用の自動走行と自家発電で環境にも配慮
自走式MMBには、GNSS(全球測位衛星システム)を使った自動走行機能も備わっている。この自動走行機能には、空港用PBBの完全自動装着システムの技術が応用されており、高い安全性と精度を確保している。
また、ターミナル側の異なる装着位置や、船舶側の異なる舷門位置などに、柔軟に装着可能な設計となっている点も大きな特徴だ。様々なタイプのクルーズ船に対応できることで、利便性が大幅に向上する。
自走式MMBの走行装置には、前方と後方それぞれに発電機を搭載しているため、外部からの電源供給が不要となっている。環境への配慮から、架橋時は陸電供給に切り替えることも可能だ。

岸壁の有効活用とバリアフリー対応を両立
岸壁上の走行はレールなどを必要としない無軌道方式を採用。これにより、荷役作業や関係車両の通行などで岸壁の上を有効に活用することができる。使用しない時は邪魔にならない場所に移動できる機能も備えており、港湾設備の運用効率を高めることができる。
さらに、PBBおよびMMBの設計思想を踏襲した設計により、緩やかな勾配のスロープでターミナルと船舶の間を往来できるバリアフリー機能も実現している。
横浜港は1859年に開港し、2002年に現在の「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」が完成した。「飛鳥Ⅱ」および「飛鳥Ⅲ」の船籍港にもなっており、横浜港へのクルーズ船の寄港回数は全国上位を誇る。また、横浜港大さん橋国際客船ターミナルは、年間300万人以上が訪れる観光スポットとなっている。
MHI-TCは、「今後も自走式MMBの製造・納入を通じて、船舶の安全で円滑な運航に貢献していく」としている。





