「女性も活躍できる!」と呼びかけるリッツMCの中嶋社長(昨年12月11日、東京・白金)
バス業界の女性比率は低く、近年、2%前後で推移している。最新の統計で、全国のバス運転者11万人のうち、女性は1.6%にとどまることが、国土交通省の2025年版「交通政策白書」で明らかにされた。タクシーは24万人中、4.6%、トラックは86万人中、4.7%で、同じ自動車運送業と比べても著しく低い。
「これから10年をかけ、女性の割合を10%に高めたい。中高年の男性ばかりの職場から、多様性を認め合う職場に変えていく必要がある」
こう意気込むのは、バス専門の人材採用支援を手がけるリッツMC(東京・港区)の中嶋美恵社長(女性バス運転手協会代表理事)。「バス事業者の力だけでは成し遂げられない。行政と一体となって取り組むことが重要」と説く。
女性のバスドライバーは、細やかな気配りが光る。従来、利用者からのニーズは高い。
中嶋社長は日立自動車交通(足立区、佐藤雅一社長)の千代田区コミュニティバス「風ぐるま」を挙げ、「十数人のうち、女性が1人いるが、とにかく評判がいい。アナウンスは優しく、車いすの方やベビーカーを押すママがいれば、降りて支える。バス停で停車するとき、段差が生じないよう、ぎりぎりまで道路際に寄せる。区民から、『全員、女性にしてほしい』と相談が寄せられたほど」と絶賛する。
同社は日立自交と連携し、女性限定の「営業所見学ツアー」などを敢行、2018年に10人超の採用に結びつけた。風ぐるまは一時期、全路線の運行を女性ドライバーが担っていた。
バス会社合同就職説明会の企画・開催が売り。東京、名古屋、大阪などで展開し、実績を上げてきた。24年、タレントの藤本美貴さんを起用した広告を出し、女性の求職者を増加させた。「動画やポスターを作り、京王線や東急などの駅、電車・バスの車内でPRした。6人の現役の女性ドライバーが出演し、『女性も活躍できる』と語りかけた。3カ月間限定だったが、全国の事業者から、『女性の応募が増えた』と言ってもらえた」と成果を振り返る。
女性の採用促進に絡み、外国人ドライバーの雇用にも力を注ぐ。「バスの運転の仕事は女性に人気がある。当社が提携するインドネシアの人材会社でアンケート調査をしたら、日本語を学んでいる人の7~80人がバスを希望し、8割が20歳代の女性だった。日本人女性の採用がなかなか、うまくいかない中で、業界にとっては希望が見える話ではないかと思う」と語る。
一方で、女性採用をめぐる課題も指摘する。「やはり、セクハラ(セクシャルハラスメント、性的嫌がらせ)、パワハラ(パワーハラスメント、職場内の優位性を利用した嫌がらせ)の相談が寄せられている。ハラスメントは、『女性だから、男性だから』という理由ではないと思う。各職場で、隣国の人が出入りする環境にない島国的な価値観が残り、少数派には拒否反応を示してしまうのでは。若者や外国人の採用でも同じことが起こる」と危惧する。
「行政は、トイレの設置など事業者側の環境整備を支えるだけでなく、地域の住民に『女性も外国人も、不安に思わなくて大丈夫』『多様な人材を受け入れなければ、バスは維持できない』などと伝えてほしい」と呼びかける。
(東京交通新聞)

「女性も活躍できる!」と呼びかけるリッツMCの中嶋社長(昨年12月11日、東京・白金)




