JTB、10年先のビジョン策定 2035年度目標は取扱額2.5兆円 グローバルで利益の50%


長期ビジョンを記者発表する山北社長(15日、東京都内のホテルで)

長期ビジョンを記者発表する山北社長(15日、東京都内のホテルで)

 JTBは15日、2035年を見据えたJTBグループの長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」を発表した。目指す姿に「『新』交流時代のフロンティア企業」を掲げ、「交流」を創造する力で、社会課題の解決とツーリズム産業の持続可能な発展に貢献する。AIなどのデジタル基盤の上に人の力を生かす「交流創造インテリジェンス」を強みに、取扱額を24年度の約1・7兆円から35年度に2・5兆円に増やす目標を設定。「グローバル」を変革のポイントの一つに挙げ、訪日インバウンドを含むグローバル分野の事業を拡大、事業利益に占める比率を50%に引き上げる。


AI時代、交流の価値高まる

 「10年後、世の中はどのようになるだろう。その中でツーリズムがどのような形で価値を提供していけるのか」「人がどういうふうに豊かな暮らしを送っていけるのか。ここに行き着く。人々の豊かさ、ウェルビーイングの拠り所は『交流』だ」

 JTBの山北栄二郎社長は、15日、東京都内で開いた長期ビジョンの記者発表会でそう語った。人口構造の変化、生成AIをはじめとする技術革新、地球規模の環境変動などで社会システムの再構築が進む中、「交流」が生み出す価値はさらに高まると強調した。

 「2035年のありたい姿」には、「高い専門性と洞察力で世界をつなぎ、つくり、つなげ、感動と幸せで人々を満たす『新』交流時代のフロンティア企業」を掲げた。

長期ビジョンを記者発表する山北社長(15日、東京都内のホテルで)
長期ビジョンを記者発表する山北社長(15日、東京都内のホテルで)

「交流創造インテリジェンス」強化

 JTBグループの価値の源泉、企業競争力の中核については、AIなどのデジタル基盤の上に人の力を生かす「交流創造インテリジェンス」と位置付けた。市場予測、情報収集、顧客理解などの「洞察力」と、顧客・パートナー基盤、プロデュース力などの「専門性」を組み合わせて高度化する。昨年買収した世界最大級のツーリズム産業BtoBメディア、ノーススター・トラベル・グループの知見やネットワークも活用していく。

 35年度の主な財務目標(カッコ内は24年度実績)には、取扱額2兆5千億円(1兆6838億円)、売上総利益5千億円(2937億円)、営業利益750億円(149億円)を設定した。山北社長は「非常にアンビシャスな計画をつくった」と説明。長期ビジョンを踏まえ、中期経営計画も26~28年度を計画期間とした新たな計画に置き換える。

 長期ビジョン実現への変革のポイントの一つ、「グローバル」では、事業活動を世界へと広げ、創出した地域の魅力をグローカルに展開する。日本国内の市場に向けた事業に引き続き注力しつつも、訪日インバウンドを含むグローバル分野の事業を拡大し、事業利益に占める比率を24年度の14%から50%に引き上げる。

世界発・世界着で着地ビジネス拡大

 事業戦略区分は、個人、法人、地域、ツーリズム産業のマーケットに対応した次の四つの区分を設定した。

 (1)グローバル・ツーリスト・ソリューション=マーケティング力で一人一人に最適な旅行体験を提案
 (2)グローバル・ビジネス・ソリューション=企画力とプロデュース力で、法人(産学)の顧客にとって投資対効果の高いソリューションを共創
 (3)グローバル・エリア・ソリューション=地域(行政、DMO、観光事業者)への投資やソリューションの提供を通じてエリア全体の価値を向上
 (4)グローバル・ツーリズム・インテリジェンス=ツーリズム産業関係者へのメディア、イベントを介したマーケティングソリューションの提供で付加価値向上を支援

 グローバル・ツーリスト・ソリューションでは、着地ビジネスに注力し、「世界発、世界着」の高品質の着地体験をデザインするランドオペレーターの機能を強化する。グループ会社が欧州で展開している「シートインコーチ」(乗合型バスなどによる現地発着の周遊ツアー)を世界で展開し、個人旅行の自由度と団体旅行の効率を掛け合わせた満足度の高い旅行を提供していく。

 グローバル・ビジネス・ソリューションでは、「交流メディア企業」を目指して、企業などのミーティング・イベントやプロモーション活動への支援を世界各地で強化し、特に米国における市場を拡大する。

 グローバル・エリア・ソリューションは、「エリアの価値を高め、未来と世界につなぐ」として、地域課題を解決するソリューションの提供を強化し、地域における体験や交通の開発・経営に加え、アリーナやテーマパークなど不動産領域への投資を拡大する。

 長期ビジョン実現に向け、グローバル、ビジネスモデル、情報・データの変革を進めると同時に、それらを支える企業文化を醸成し、人財戦略を推進する。企業文化では「違いを価値に、世界をつなぐ。」として、DEIB(多様性、公平性、包括性、心理的安全性)の考え方を国内外のグループ社員全体に浸透させる。人財戦略では、「JTBツーリズム・ビジネス・カレッジ」や「旅館経営人財育成アカデミー」などを通じて、学生、社会人を問わず、ツーリズム産業の未来を支える人財の育成に貢献していく。

 
 
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