アパグループや楽天グループなど8社・団体は1月23日、住所の課題を業界の枠を越えて解決することを目的とした共創型コンソーシアム「デジタルアドレス・オープンイノベーション」を発足した。日本郵便が推進する「住所のDX」の一環で、住所を7桁の英数字で表現する「デジタルアドレス」の普及・活用を目指す。総務省、デジタル庁がオブザーバーとして参加。未来の住所の在り方を産学官連携で共創する新たな取り組み。

発足の背景と目的
住所は郵便や物流だけでなく、行政、金融、ECなど社会のさまざまな分野で活用される重要な情報だ。長年にわたり社会インフラとして利用されてきたが、社会構造や生活様式の変化に伴い、住所の変更や確認に関わる作業が増大。利便性や効率性の面で課題が顕在化している。
こうした背景から、業種の枠を超え、多様な関係者と連携しながら、次世代にふさわしい住所のあり方を検討・改善していくことを目的として、本コンソーシアムが組成された。
主な活動内容
コンソーシアムでは、具体的な活用事例の共創と実証、技術・制度の整備、次世代にふさわしい住所のあり方の検討・改善に取り組む。
郵便・物流、小売、金融、医療、観光など、さまざまな分野の代表的な企業や研究機関、行政・自治体などと連携し、社会での「デジタルアドレス」の実用化に向けた実証実験や活用事例の創出を共同で行う。また、「デジタルアドレス」の利活用に関する知見を共有し、技術や制度のあり方について共同で検討・整備を進める。
さらに、住所情報を正確・最新・一元的に利用できる「デジタルアドレス・エコシステム」を次世代の社会インフラとして確立させ、社会全体への浸透を加速させるとしている。
参画企業のコメント
アパグループの元谷一志社長は「『デジタルアドレス』を当社は業界初として、自動チェックイン機と『アパ直』の会員情報登録に採用しました。手入力の手間と誤入力を削減し、チェックイン時間の短縮やお客さまの最新の住所を知ることができる効果があります。当社は『デジタルアドレス・オープンイノベーション』に『Time is Life』の理念のもと、DX戦略の一環として参画します」とコメント。「デジタルアドレス」がインフラとして利用される社会に期待を示した。
楽天グループの松村亮専務執行役員は「弊社は、2020年に日本郵便様と物流領域における戦略的提携を発表し、ECにおける商品受け取りの利便性向上や配送の効率化に向けた様々な取り組みを共に推進してまいりました。このたび、『デジタルアドレス・オープンイノベーション』の共創パートナーとなることで、日本郵便様との協業の幅を広げるとともに、本取り組みを通じた新たな価値創造を目指してまいります」と述べた。
東京大学空間情報科学研究センターの関本義秀センター長は「空間情報を扱う我々にとりましては、住所、地名などをコンピュータで取り扱いやすくする取り組みは、大変長い歴史があり、今回の取り組みはまた歴史を大きく進める第一歩になると確信しております。地理空間情報のベースレジストリという観点からも積極的な連携を深められればと思います」と期待を表明した。
「デジタルアドレス」とは
日本郵便は2025年5月から「デジタルアドレス」のサービス提供を開始。「住所を、もっと便利に。」というコンセプトのもと、「住所のDX」に挑戦している。
「デジタルアドレス」の特徴は次の3点だ。
まず、住所を7桁の英数字で表現できる。長い住所を手書きしたり、Webサイトで入力したりする必要がなく、7桁の英数字の「デジタルアドレス」を入力するだけで、事前に登録した住所と連携する。日常の住所記入の負担を軽減し、よりスムーズな情報入力を実現するという。
次に、同じ「デジタルアドレス」を引越し後もそのまま使える。「デジタルアドレス」は、住所そのものではなく、個人の「ゆうID」に紐づいている。引越しなどで実際の住所が変更になった場合でも、登録している住所を変更するだけで、同じ「デジタルアドレス」を使い続けることができ、家族や友人、各種サービス提供者との情報共有もよりスムーズになる。
最後に、プライバシーに配慮された安心・安全な仕組みである。「デジタルアドレス」は、7桁の英数字という構造上、地理的な場所や同居者の情報などが直接含まれていない。また、「デジタルアドレス」から名前を特定したり、逆に名前や住所から「デジタルアドレス」を検索したりすることはできない設計となっている。
幅広いパートナーが参画
コンソーシアムには、アパグループ、アフラック生命保険、GMOメイクショップ、セールスフォース・ジャパン、Packcity Japan、楽天グループ、東京大学空間情報科学研究センター、日本郵便の8社・団体が共創パートナーとして参画している。
今後も共創パートナーを広く募集し、活動を拡大していく方針だ。産業界・学術機関・行政機関が連携することで、社会全体が抱える「住所にまつわる課題」を解決し、持続可能な社会の実現にも貢献していくとしている。




