第3次交通政策基本計画を閣議決定、2030年までの交通課題に対応


国土交通省と警察庁は1月16日、閣議決定された令和12(2030)年度までを計画期間とする「第3次交通政策基本計画」を同時発表した。同計画は、交通政策基本法に基づき策定される国の交通政策の基本方針で、地域社会の持続可能性、成長型経済の実現、強靱な交通基盤、デジタル・新技術の活用を柱に据えた。特に「交通空白」解消を最優先課題と位置づけ、公共ライドシェアや日本版ライドシェアなど多様な移動手段を確保する方針だ。

人口減少下の交通危機を「好機」に変える

今回の計画では、「人口減少という危機を好機に変え、一人ひとりが豊かさと安心を実感できる持続可能な活力ある経済・社会を実現」するという基本認識を掲げた。交通政策基本計画は社会資本整備重点計画と初めて「車の両輪」として一体的に策定・推進する形をとり、ハード・ソフト両面からの総合的な交通政策を展開する。

計画の目指す社会の姿として、「未曽有の人口減少・少子高齢化に的確かつしなやかに対応した地域の実現」「内外の諸情勢に対応した、豊かさを支える成長型の経済の実現」「防災・減災、安全・安心、環境や多様性等が確保された持続可能な社会の形成」「デジタル・新技術の社会実装による、多様な社会課題への効率的・効果的な対応」の4つを明記した。

「交通空白」解消に向け官民連携を強化

計画は4つの基本的方針と11の目標を掲げている。基本的方針Aの「地域社会を支える、地域課題に適応した交通の実現」では、「交通空白」の解消を最優先課題と位置付けた。

国交省が設置した「交通空白」解消本部が2025年5月に決定した「『交通空白』解消に向けた取組方針2025」に基づき、2025年度から2027年度までを「交通空白解消・集中対策期間」と設定。「地域の足」として交通空白が2,057地区、「観光の足」として交通空白が462地点あるとされる現状を、2027年度までにゼロにする数値目標を掲げた。

解決策として注目されるのが、「事業者、産業、地方公共団体の壁を超えた連携・協働(モビリティ・パートナーシップ・プログラム)」だ。複数の事業者・地方公共団体間での人材確保や設備投資等に関する共同化・協業化を促進し、2027年度までに100件の実現を目指す。また、交通空白解消・官民連携プラットフォームを2024年11月に設置し、官民、民民、官官の交流・マッチングを進める。

地方公共団体における持続可能な体制構築のため、地域公共交通計画の数を現在の1,184件から2030年度には1,600件に増やす方針だ。

観光立国に向けた交通網整備

基本的方針Bの「成長型経済を支える、交通ネットワーク・システムの実現」では、2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人の目標達成に向けた交通網の整備が中心となる。

三大都市圏国際空港の機能強化を推進し、首都圏空港における年間発着容量約100万回を目標とする。成田国際空港では年間発着容量50万回の早期実現を図り、関西3空港全体では年間50万回の容量確保を目指す。また中部国際空港では、代替滑走路事業を推進するとしている。

物流分野では、「2024年問題」を背景に、2030年度までの物流革新の「集中改革期間」として、モーダルシフト等の物流GX、自動化・機械化機器の導入等の物流DX、物流標準化やデータ連携を進める。また、トラック運転手の賃金について、2030年度までに全産業平均と同等以上の水準を目指す具体的数値目標を設定した。

災害に強く環境に配慮した交通へ

基本的方針Cでは「持続可能で安全・安心な社会を支える、強くしなやかな交通基盤の実現」を目指す。令和6年能登半島地震のような災害や気候変動に伴う災害の激甚化に対応するため、交通インフラの耐震対策や老朽化対策を進める。

具体的には、首都直下地震または南海トラフ地震で震度6強以上が想定される地域の主要鉄道路線等の駅、高架橋等(約30,000か所)の耐震化率を2030年度までに33%にすることを目指す。また、滑走路端安全区域(RESA)が確保されている空港の割合を現在の42.3%から2030年度には81.4%に高める計画だ。

また運輸部門の脱炭素化に向けて、次世代自動車の普及や鉄道のエネルギー使用原単位の削減、船舶の低・脱炭素化などを推進する。2030年の政府目標(2013年度比46%削減)達成に向け、運輸部門では同35%削減を目指す。

デジタル技術を活用した交通サービスの進化

基本的方針Dは「デジタル・新技術の力を活かした時代や環境の変化に応じた交通サービスの進化」を掲げる。特に自動運転の社会実装を加速させ、自動運転サービス車両数を現在の11台から2030年度までに1万台に増加させる目標を設定した。

2027年度に見込まれる自動運転タクシーや自動運転トラックの社会実装に向け、一人が複数車両を遠隔監視する「1対N型」の運行形態も見据えた制度整備を進める。

また、サイバーセキュリティ対策として、鉄道や航空等の重要インフラ事業者等に対してインテリジェンスサービスを提供するほか、交通分野のサイバーセキュリティ人材の育成も進める。

交通政策の立案・改善にあたっては、EBPMの考え方に基づき、政策目的と手段の論理的な関係を明示し、事業の進捗等を把握することを目指す。また、交通の動向についての現状把握や分析、情報収集をはじめとして、交通に関する様々な角度での調査・研究を十分に行うとしている。

計画の最後には「交通は今、様々な『危機』に直面している。しかし、これらが『危機』なのか、今後の持続可能な交通の実現に向けた『好機』なのかは、現在の私たちの行動にかかっている」との決意が記されている。

 
 
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