【日本政府観光局インバウンド最新リポート 128】増える家族旅行 安全・清潔・学び、選ばれる日本 JNTOソウル事務所 清水雄一所長


 北欧市場においては家族旅行の需要が増加している。2025年は北欧4カ国で19万人を記録したが、特にこの秋のスウェーデン、デンマークからの20歳未満の訪日客数は顕著に増加しており、現地旅行会社への対面訪問においても、子どもを含めた旅行が拡大している声を多数聞いている。

 人気の季節は他の欧州と同様、春と秋だが、初夏(6~7月)にもピーク時期があり、冬はスキー特化型の需要が見られ、いわばどの季節にも旅行需要があるのだ。

 北欧からの訪日家族層が日本に求めるものは「自然」「食」「独特で魅力的な文化」に加え、「安全」「清潔さ」が挙げられる。

 また「遊び」のほか「学び」要素(例:茶園、寺院滞在)を組み合わせた旅行商品が支持されていると答える旅行会社もある。北欧各国において、2月に学校休みがあり、スキー休暇、スポーツ休暇とも呼ばれる。

 当地では、ノルディックスキー(平地を長距離移動するスタイル)が主流であるものの、アルペンスキー(山の斜面を滑り降りるスタイル)をする場所として、定番のアルプス(スイスなど)以外ではカナダ、日本が選択肢になり、良質な雪とユニークな体験ができる日本はスキーでの家族旅行先として注目が高まりつつある。

 スキー場としてはニセコ、白馬が知られているが、混雑を避け、旅行会社においても富良野、トマム、野沢温泉、志賀高原などの代替地を提案するケースもあるとのことである。

 北欧の旅行者は一般的にマナーが良く、日本人との親和性も高いといわれている。当地では、家の中で靴を脱ぐ習慣があり、家の内外や店舗、公共の場の掃除習慣も徹底され、清潔さが保たれており、窓ガラスや鏡は日本以上にきれいであろう。

 北欧各国には「ヤンテの掟」と呼ばれる言葉が根付いており、「自分を特別視するな」「謙虚であるべき」といった自己主張の抑制と集団内での平等を重んじる社会規範があるとされている。また、「悪い天気なんてない、悪いのは服装だ」ということわざも根付いており、「冬でも外に出かける」「雨でも屋外を楽しむ」精神があることから、冬や梅雨時期での訪日もいとわないことは現地旅行会社からも聞かれるところである。

 家族での旅行手配において、課題はどのような点にあるのか。現地の旅行会社から声が挙がることは航空便や宿泊のリソース不足である。日本行きの直行便は座席の確保が難しいといわれる。また混雑を避けたい国民性もあり、人気の高まる日本に対しては、オーバーツーリズムに対する偏った報道も散見される。北欧においてはまだ日本の地方部の魅力が十分知られていないため、混雑エリアやピーク時期を避ける代替案を提案することも喜ばれるであろう。

 現状では、北欧市場に積極的に取り組む日本の地域は限られており、特に梅雨や冬などに訪日受け入れの余力がある地域にはぜひ北欧市場の家族旅行者にご注目いただきたい。

 
 
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