日本人旅行者の新潮流「ロジタビ」が広がる―データに基づく論理的な旅行計画が主流に


航空アナリスト 鳥海高太朗氏らが登壇

 スカイスキャナーは1月15日、スカイスキャナー×HIS×航空アナリスト 鳥海高太朗氏で語る「日本人が求める旅の”今”と”これから”」を開催した。

「感覚」から「数字」で選ぶ旅へ―2026年、広がる新潮流「ロジタビ」

左から向井氏、岡田氏、鳥海氏

 

 グローバル旅行アプリを提供するSkyscanner Japan株式会社(東京都港区)は2026年1月15日、株式会社エイチ・アイ・エスの向井喜代孝氏と航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏を迎え、メディアラウンドテーブル「日本人が求める旅の”今”と”これから”」を開催した。イベントでは、物価変動や円安が影響する現在の環境下で、旅行者の意思決定が感覚や衝動から、データに基づく論理的判断へと変化していることが明らかになった。

 スカイスキャナー・ジャパン トラベルエキスパートの岡田健太郎氏は、2026年の日本人旅行者の傾向について「旅行者の価値観がさらに多様化し、『自分らしさ』を軸に旅を選ぶ傾向が強まっている」と指摘。「旅は移動や消費ではなく、価値観やライフスタイルを表現する手段へと変わりつつあり、『どこへ行くか』以上に『なぜそこを選ぶのか』が重視されている」と語った。

 一方で最新調査では、旅行予約に心理的負担を感じる人が65%にのぼり、その多くが費用面への不安を挙げている。こうした背景から、旅行者の意思決定は「感覚」から「論理」へとシフトしており、岡田氏は「2人に1人が最安値などの客観的なデータを見て初めて、予約への意欲が高まると回答した」と説明。このようにデータをもとにロジカルに旅を組み立て、納得感を重視する旅行スタイルを「ロジタビ」と表現した。

 鳥海高太朗氏は「円安や物価高の中で、価格に対してしっかり見極めた上で航空券を選ぶ、いわゆるコストパフォーマンスが大事になっている」と指摘。「ハワイに行くのも、検索すると繁忙期などはソウル経由で行った方が安いとか、自分の想定していない乗り継ぎパターンが出てきたりする。コストパフォーマンスが合えばそこで行くという形の部分がすごく大きい」と語り、ロジタビの傾向を裏付けた。

 さらに向井喜代孝氏も「現場でもロジタビの広がりを感じている」とコメント。「自分らしく自由に旅を組み立てたいが、失敗はしたくない」というニーズに応えるサービスが支持を集めていると述べた。特に2026年のFIFAワールドカップ北中米大会では、ダラスでの日本代表の試合が開催されることから検索数が一時期前年の1000倍以上に膨れ上がったという。

2025年を振り返る—日本人の旅行意欲が回復

 2025年の旅行業界を振り返る中で、岡田氏はスカイスキャナーの調査結果から「旅行回数を増やす、または同程度を予定している」と回答した旅行者の割合が80%増加し、旅行への意欲が回復した年だったと説明した。また、2025年の旅行トレンドを象徴するキーワードとして「共有体験」を挙げた。

 向井氏は現場でも旅行ニーズの変化を強く感じているとし、2025年の変化として「予約の早期化」「旅の中身へのこだわり」「移動時間の贅沢化」の3点を挙げた。特にインバウンド需要の拡大を背景に予約の早期化が進み、スペインではサグラダ・ファミリアのメインタワー完成を前に「今しか見れない姿を見る」という駆け込み需要が発生したという。また、「移動を単なる手段ではなく、旅の思い出の一部として快適に過ごしたいというニーズの高まりを感じている」と述べ、ビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスの利用が増加していることを指摘した。

 鳥海氏は2025年を「明確なテーマを持った旅が定着した年」と総括。「いわゆる『推し旅』やスポーツ観戦など、現地でしかできない体験が広がる一方で、円安・物価高の影響を受け、セールや早期予約を賢く活用する動きや、食事などでメリハリをつける工夫も一般化している」と指摘した。「ハワイに1、2回行くが、ハワイでの過ごし方が大きく変わった。今までは『どのレストランに行こう』とかいつもそれを考えながら回っていたが、もちろんステーキ屋さんも行く。でも半分ぐらいは部屋でテイクアウト、どこかで僕はマグロ丼のお店が好きで、そこで12ドルとかで買ったり、フードコートで10ドル前後で買うという形で、メリハリをつけてやろうという」と、自身の体験も交えて語った。

今後の両社の取り組みと旅行業界の展望

 スカイスキャナーは今後の方針として、多様化し続ける旅行ニーズへの対応とサステナビリティの推進を挙げた。岡田氏は「創業から20年分積み上げてきている膨大なデータを基盤に、OpenAIやMicrosoftと協力して、最適なプランを自律的に提案実行するエージェントAIの開発を進めている」と説明。また、ユーザーの5人に1人が航空券プラスホテルのパッケージに関心を示していることから、これに対応する新機能を1月20日に発表する予定だという。

 サステナビリティの面では、CO2排出量の少ないフライトや鉄道といった代替手段、EV対応のレンタカーやホテルなど、環境に配慮した選択肢を分かりやすく提示する取り組みを行っている。こうした機能の利用は前年比で58%伸びており、サステナブルな旅への関心の高まりがうかがえるという。

 一方、HISは岡田氏のプレゼンテーションを受け、AIを活用した店舗とデジタルの融合を強化していると紹介。「最近、多くのお客様がオンラインを検索した後に実店舗に足を運ぶ動きが出ており、ウェブ上のお客様の行動履歴をAIで分析し、その結果をコンサルタントが事前に把握できるシステムを導入した」と説明。「ご来店時にはすでにお客様のニーズを深く理解できており、本当にこだわりたいポイントの提案に時間を集中できるような環境が作れている」と述べ、この結果として成約率が5ポイント上昇したという。
 
 鳥海氏は「ITの発達って本当にすごいと思っていて、鉄道、バスというのも簡単に今乗ることができる。昔だったら絶対乗れなかった乗り物が、この間オーストリアに行ったときも鉄道のチケット全部アプリで買って、QRコードでとかできたりとかもできちゃうし、バスもインターネットで買って、チケットレスで、それで乗れちゃうんだという」と、テクノロジーの進化による旅行の変化を実感していると述べた。

旅行計画で知っておきたいお得なヒント

 最後のセッションでは、旅行をより賢く楽しむための実践的なヒントが紹介された。岡田氏は、スカイスキャナーの検索データをもとに「2026年は月曜日出発の航空券が狙い目になりやすい」と指摘。「コロナによる出張者の減少や週末需要の反動で、週明けの月曜日が価格的に有利になっている」と説明した。さらに、2026年に特にお得になりやすい地域として、沖縄本島、宮古島、セブ島、タムニン(グアム)、バンコクの5箇所を挙げた。

 HISの向井氏は、現場で重視しているポイントとして「早期予約の徹底」「キャンセル保険の活用」「パスポート取得費用の大幅な値下げ」を紹介。特に2026年7月から10年用パスポートが約7000円安くなる見通しについて「これで海外旅行へのハードルが一気に下がるのではないかと期待している」と述べた。

 鳥海氏は「私は最近心がけていることは、スーツケースの中にお水とかお茶とか清涼飲料水を入れてスーツケースに入れて預けるという。やはり少しでも節約というところで、今コーラが3、4ドルで600円、700円とかいろいろしている中で、飲み物を持っていくと数千円節約かな、という感じである」と具体的な節約術を紹介した。また、セキュリティ対策としては「クレジットカード及び海外で使えるキャッシュカード一体型のデビットカードを含めて3枚持っていてほしい」と提案。「iPhoneとAndroidともにウォレット機能が付いており、クレジットカード情報を入れてピッとやるのが一番オーソドックスで今楽である」と述べた。

 また、「事前準備の重要性」として「パスポートの残存期間が6ヶ月以上ないと入国できない国があり、直前に気づいても間に合わないケースがある」と注意喚起。特に「韓国、タイ、台湾、シンガポール、マレーシアなどアジア諸国では電子入国カードの事前申請が必要になってきている」と指摘し、「パスポートだけあれば行けるわけではなくなっている」と強調した。

 「ロジタビ」支援として、スカイスキャナーは2026年1月15日に2つの新コンテンツ・機能をローンチ。「2026年に訪れるべき最もお得な旅行先トップ5」と「最もお得な旅行先ナビ」の提供を開始した。「最もお得な旅行先ナビ」は予算を抑えながら旅行先の選択肢を広げるツールで、ユーザーが指定した月ごとに平均価格が安い旅行先をランキング形式で提示するもの。感覚ではなく数字で比較できるため、費用を懸念する旅行者にとって強力なサポートツールとなるという。

 
 
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