総務省統計局は1月23日、「サービス産業動態統計調査」の2025年11月分速報を公表した。11月の宿泊業・飲食サービス業の売上高は2兆5904億円で、前年同月比8.8%増。コロナ禍前の水準を回復し、5年ぶりの高い伸びを示した。サービス産業全体の売上高も36.6兆円と前年同月比5.0%増加で、49か月連続のプラス。インバウンド需要やビジネス出張の回復を背景に、特に宿泊業が力強い伸びを見せている。
宿泊業・飲食店ともに好調、特に宿泊業は5.8%増
宿泊業・飲食サービス業の内訳を見ると、宿泊業が6775億円(前年同月比5.8%増)、飲食店が1兆6658億円(同8.9%増)、持ち帰り・配達飲食サービス業が2470億円(同13.2%増)となった。特に持ち帰り・配達飲食サービス業の伸びが顕著だ。
宿泊業の事業従事者数は668万人で前年同月比2.1%増と雇用面でも回復傾向が見られる。飲食店の事業従事者数は3696万人で前年同月比1.6%増となった一方、持ち帰り・配達飲食サービス業は554万人で前年同月比3.5%減となり、人手不足が続いていることがうかがえる。
サービス産業全体も堅調な伸び
サービス産業全体の11月の売上高は36.6兆円で、前年同月比5.0%増。49か月連続の増加となった。これは2021年11月以降、約4年にわたって連続で前年同月を上回っていることを示している。
産業別に見ると、「サービス業(他に分類されないもの)」が4.0兆円(前年同月比9.7%増)と最も高い伸び率を示し、「情報通信業」が6.3兆円(同9.4%増)、「生活関連サービス業,娯楽業」が3.9兆円(同8.1%増)と続いた。
一方、「学術研究,専門・技術サービス業」は2.9兆円で前年同月比2.8%減と唯一マイナスとなった。
デジタル化の進展が情報通信業を押し上げ
情報通信業の好調さは、デジタル化の進展を反映している。情報サービス業は2.8兆円(前年同月比9.1%増)、インターネット附随サービス業は8689億円(同11.1%増)と高い伸びを示した。特にインターネット附随サービス業は2桁成長を記録している。
情報通信業の事業従事者数も217万人(前年同月比1.9%増)と増加しており、デジタル人材の需要の高さがうかがえる。
その他の事業サービス業も大幅増
「サービス業(他に分類されないもの)」の内訳を見ると、「その他の事業サービス業」が2.0兆円(前年同月比15.1%増)と顕著な伸びを示した。また、「職業紹介・労働者派遣業」は8521億円(同10.9%増)となり、人材需要の高まりを示している。
一方、「廃棄物処理業」は4849億円(前年同月比0.0%)と横ばい、「機械等修理業(別掲を除く)」は3880億円(同3.8%減)と減少した。
生活関連サービス業・娯楽業も回復基調
生活関連サービス業・娯楽業も3.9兆円(前年同月比8.1%増)と好調だ。内訳では「その他の生活関連サービス業」が8091億円(同20.7%増)と大きく伸び、「娯楽業」も2.6兆円(同6.2%増)となった。「洗濯・理容・美容・浴場業」は4921億円(同3.1%増)と緩やかな増加にとどまった。
娯楽業の回復は、コロナ禍の行動制限が完全に解除されて以降の外出需要の高まりを反映している。
事業従事者数は緩やかに増加
サービス産業全体の事業従事者数は3009万人で前年同月比0.4%増と緩やかな増加となった。産業別では、「情報通信業」(前年同月比1.9%増)、「教育,学習支援業」(同1.8%増)、「宿泊業,飲食サービス業」(同1.1%増)、「不動産業,物品賃貸業」(同0.9%増)など6産業で増加した。
一方、「生活関連サービス業,娯楽業」(前年同月比0.9%減)、「運輸業,郵便業」(同0.8%減)、「医療,福祉」(同0.1%減)の3産業では減少した。
運輸業・郵便業も堅調な伸び
運輸業・郵便業は5.96兆円(前年同月比4.4%増)と堅調な伸びを示した。内訳では「倉庫業」が4053億円(同15.2%増)と特に高い伸びを示し、「航空運輸業,郵便業(信書便事業を含む)」は4910億円(同8.9%増)、「鉄道業」は6962億円(同5.3%増)と続いた。
物流需要の高まりやインバウンド回復に伴う航空需要の増加を反映した結果と考えられる。
今後の見通し
サービス産業は2024年1月以降も堅調な伸びを示しており、2025年11月においても全体として前年比プラスの傾向が継続している。特に宿泊業・飲食サービス業や情報通信業の好調さが目立つ。
総務省統計局は「2025年1月に一般統計調査であるサービス産業動向調査と特定サービス産業動態統計調査を統合し、サービス産業動態統計調査(基幹統計調査)を創設しました。同時に、母集団情報の変更、標本事業所の交替及びその調整を行っているため、時系列比較には注意を要します」としている。
調査の概要
今回の調査は総務省統計局が毎月実施しているもので、サービス産業の事業活動の動態を把握し、GDPの四半期別速報(QE)をはじめとする各種経済指標の精度向上等に資することを目的としている。
産業大分類別の月間売上高では、サービス産業計36.6兆円に対し、情報通信業が6.3兆円、運輸業・郵便業が6.0兆円、不動産業・物品賃貸業が5.1兆円、医療・福祉が5.5兆円、サービス業(他に分類されないもの)が4.0兆円などとなっている。
産業別の事業従事者数では、サービス産業計3009万人に対し、医療・福祉が891万人と最も多く、宿泊業・飲食サービス業492万人、サービス業(他に分類されないもの)403万人、運輸業・郵便業334万人などとなっている。
今後も、サービス産業の動向は個人消費や企業活動の重要なバロメーターとして注目される。特に宿泊業・飲食サービス業は、人々の生活スタイルや消費行動、さらには雇用情勢を映す鏡として、その動向が経済全体に与える影響は大きい。




