【VOICE】文化がつないだ400年 京都府文化生活部副部長兼文化政策室長(寛永行幸四百年祭実行委員長) 梅原和久氏


梅原氏

寛永行幸四百年祭に寄せて

 今から400年前の寛永3年(1626年)、江戸時代を通じて最大級の行事「寛永行幸」が行われました。徳川2代将軍・秀忠と3代将軍・家光親子が、後水尾天皇を二条城に迎え、5日間にわたりもてなしたこの行事は、戦乱の時代を経て、文化を通じた安定と交流の時代が到来したことを象徴するものでした。

 二条城では、天皇を迎えるために大規模な改修が行われ、最高の材料と技術を尽くした御殿や新たな天守が築かれるなど、その準備は2年半にも及びました。行幸当日には、全国各地から集まった大名や公家など、総勢9千人ともいわれる人々が、その日限りの晴れの装束を身にまとい、御所から二条城へ向け行列をなしたと伝えられています。この華やぎは「寛永文化」と呼ばれる洗練された様式へと結実し、日本各地の芸術や人々の暮らしに大きな影響を与えていきました。

 今年、寛永行幸から400年を迎えるに当たり、京都府・京都市をはじめとするオール京都の体制で実行委員会を組織し、「寛永行幸四百年祭」を実施します。本事業の目的は、単に過去を顕彰することにとどまらず、400年前の人々が大切にした文化の力や交流のあり方を、現代の暮らしや観光の姿と重ね合わせて捉え直すことにあります。12月6日に実施する行幸行列の再現をはじめ、複数の博物館・美術館での展覧会、能楽の公演など、学びと体験の場となるさまざまな催しを通じて、訪れる方々が京都の歴史の奥行きに触れることができる機会を創出したいと考えています。

 文化という目に見えにくい価値を丁寧に伝えることは、滞在時間の延長や再訪につながり、ひいては地域経済を支える力にもなります。400年前、文化が人の往来と交流を生み出したように、寛永行幸四百年祭が、再び人の流れと新たなつながりを生み出す契機となることを願っています。

 また、この事業は京都だけで完結するものではありません。寛永行幸に参加した大名たちが、京都で触れた文化を各地へ持ち帰ったように、本事業を通じて全国の地域文化や観光関係者との新たな連携が生まれることを期待しています。併せて、各地で育まれてきたこの時代の文化に改めて光を当て、相互に学び合う機会としたいと考えています。

 文化は観光や経済の基盤となる重要な資源です。文化庁の京都移転も踏まえ、京都府としても、事業者や地域の皆さまと連携しながら文化を生かした観光のあり方を模索しているところです。本事業が、京都の歴史を手がかりにこれからの観光や地域づくりを考える、ひとつのきっかけとなれば幸いです。


梅原氏

 
 
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