外観
和歌山県南紀白浜の穏やかな温泉町、椿温泉に「湯治のできる宿 しらさぎ」がある。椿温泉は江戸時代から紀州藩の武士や近郷の農家が湯治に訪れ、最盛期には30軒の宿が軒を連ねていたが、廃業などが相次ぎ、湯治宿として残るのはしらさぎのみとなった。

外観
「若い世代に湯治文化を知ってもらうことが大事」と話すのは、しらさぎ女将の熊野幸代さん。常連客の高齢化が進む中、湯治文化の存続に危機感を抱き、15年前から発信を続けてきた。まずは忙しい現代人のライフスタイルに配慮し、1~2泊の短期間で心身をリフレッシュしてもらう滞在を提案している。
泉質はpH10・1を誇る強アルカリ性の単純硫黄泉で、海抜60メートルの高さにある100%掛け流しの展望風呂が自慢。つぼ湯は日替わりで、地元で採れたミカンやヨモギ、大根の葉など自然の素材を浮かべ、飽きさせない女将の工夫が光る。

海抜60㍍の高さにある展望風呂
料理は、湯治に適した体にやさしい会席料理のほか、名物の「海鮮釜飯」、「紀州の茶がゆ」などのオーダーメニューを用意。自炊にも対応し、昨年3月にリニューアルした自炊室はコワーキングスペースとしても利用できるなど、気軽に滞在してもらうための環境づくりにも取り組んでいる。

海鮮釜飯
そんな女将の思いを体現するのが、高校1年生の長男、元貴さんだ。なじみのある「美容」の切り口で椿温泉の魅力を伝えようと、同学年の友人と源泉を使ったフェイスパックを商品化。クラウドファンディングで支援を募り、2月から販売を予定している。
「今年は”風呂(26)の年”。2月には全国から有識者が集い、湯治文化について語る『湯治サミット』を椿温泉で開く予定です。こうした取り組みが、お客さまや他の宿が湯治に関心を寄せてもらうきっかけになれば―」。熊野女将の挑戦は続く。

熊野女将
【20室、1泊2食付き1人1万4300円から(税込み)】




