【Jack高橋のユニバーサルフードとインバウンドの未来33】インバウンド4000万人超えから見える2026年の可能性 高橋敏也


記録更新と確実視される4千万人時代

 2025年も終わりに近づく中、観光庁から驚くべき数字が発表されました。2025年1月から11月までの訪日外国人客数は、前年同期比で17%増となる3906万5600人に達しました。これは過去最多だった2024年の年間記録を、わずか11カ月で塗り替える快挙です。記録的な円安による欧米からの需要増加に加え、中国をはじめとするアジア圏からの旺盛な訪日熱がこの数字を押し上げました。この勢いを見るに、2025年が年間初の4千万人突破を達成することは、もはや確実な情勢と言えるでしょう。

浅草の現状=各地で急増する「なんちゃって」対応の危うさ

 このインバウンドの爆発的な増加に伴い、私が食の多様性対応支援アドバイザーを務める浅草でも、飲食店の風景が激変しています。しかし、そこには看過できない問題も潜んでいます。残念なことに、公的な認証(=担保)を持たないまま「ハラール和牛あります」「ハラールラーメン」といった看板を掲げるお店があふれているのが現実です。台東区では「食の多様性に関する認証取得助成制度」を用意しており、各種認証費用の2分の1、最大10万円までの助成金が出るにもかかわらず、これを活用しないケースが目立ちます。

 さらに悲しいことに、きちんと認証を取得して繁盛しているお店のまねをして、実態の伴わない「なんちゃってハラール」や「ヴィーガン」などの表示を出す新規参入店も見受けられます。これからの時代、こうした表面的な対応で生き残れるのか、まさに店舗としての「本気度」が問われる局面に突入しています。

成功事例=全メニューハラール化が生んだ「売り上げ1・5倍」

 あるチキンバーガー店の事例をご紹介しましょう。当初、このお店はチキンのみをハラール対応にしてプロモーションを行い、ムスリム観光客を集めました。

 そして、チキンバーガーだけでなく、パンケーキやティラミスといったスイーツに至るまで、あらゆる食材を見直してハラール化し、4カ月かけて正式な認証を取得しました。その結果、認証取得後の売り上げは従来の1・5倍を達成しました。既存の日本人顧客は離れることなく、そこにムスリム観光客が純増するという、飲食店にとって最も理想的な形での成長を遂げたのです。

おわりに=2026年、5千万人時代への備え

 成功事例でも示したように2026年には、訪日客数が5千万人を突破する未来が見えています。その中で、食の多様性への対応は、観光消費額を獲得するための極めて重要な「戦略商品」となります。宿泊施設の食事、外食、そして食にまつわるお土産品市場は、競争が激化する巨大な「レッドオーシャン」です。だからこそ、小手先の対応ではなく、認証取得や戦略的な価格設定といった本質的な準備をした事業者だけが、この巨大な波に乗ることができるのです。

(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)

インバウンド客でにぎわう観光地

 
 
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