加藤社長
JTBグループの専門商社として、旅館・ホテルに最適なソリューションを提案しているJTB商事。昨年4月、大きな組織改編を行った同社の加藤雄次社長にその狙いと、業界の現状、今後の事業展開などを聞いた。
――旅館ホテル業界の現状は。
加藤 一昨年(2024年)に続きインバウンドが好調で全体的に活況を呈している。ただ、国際情勢や地域間格差の問題など、観光業界に逆風となる懸念や課題も多く存在している。
インバウンドに関して補足すると、都市部だけではなく、地方への宿泊需要のシフトが進んだ1年と言えるのではないか。こんなところにまでインバウンドが来るのかと印象を持っている。
また、外資系ホテルや、チェーンホテルなどは改めて地方に注目し、地域活性化のため(地方への)出店計画を進めている。
――この数年、宿泊施設は積極的な設備投資を行ってきたが、今も継続しているという認識か。
加藤 設備投資、リニューアルの動きは、補助金が落ち着いたことや、審査の厳格化などによりやや緩やかになっている印象だ。
――昨年、大幅な組織改編を行った。
加藤 昨年4月に、新たに営業戦略部と仕入戦略部を新設した。現在の宿泊業のマーケットは激変しており、これに対応することが目的だ。
宿泊施設といっても温泉旅館やリゾートホテル、外資系ホテルなど、その形態や価値観はさまざまだ。これに対応するため組織横断的に戦略を組む必要があると痛感していた。それまでは、営業と仕入れの担当部署が別々に動いている部分もあったが、今はこの二つの部署が連携して戦略を立てている。今年はその成果が現れる年になる。
――今年の販売戦略についてお聞きしたい。
加藤 交流創造において、ツーリズムを起点に進化し続ける商事会社として、お客さまに寄り添い、多様な価値を創り出すことで、サステナブルな社会の発展に貢献する、という当社経営理念のもと、さまざまな課題解決に向けて提案を進めていきたい。
具体的には人手不足対応や省人化、DXなどが不可欠と思っている。
次に、地域活性化だ。その地域独自の商品開発もそうだが、われわれJTB商事が、その地域に入り込んでお手伝いをする試みも始めている。例えば、石川県能登半島地震で甚大な影響を受けた和倉温泉の復興に向けては、全社を挙げて取り組み、支援を続けていきたい。
付加価値の提供も重要だ。最近はウェルビーイングや健康志向が叫ばれているが、当社もそこに着目している。疲労回復を図ることができるリカバリーウェアなどの付加価値のあるものや、身体や美容に良いものなどを提案していく。
全国ネットワークと、ワンストップで多様な商品・サービスをそろえている当社の強みを全面に打ち出し、そのマーケットに対応したコンセプト作りからお手伝いをする。必要に応じて研修からアフターフォローまで提案できる体制を整えたいと考えている。
――サステナブルを意識した取り組みも成果がでている。
加藤 環境に配慮した商材は、大前提となる。当社もアメニティ・リサイクル協会の理念に賛同し活動を行っているが、この取り組みに賛同している宿泊施設も増えており、温泉旅館に加え、チェーンホテルを含めた約30社に参画いただいている。今年はさらに参画施設が増えると思っている。
今後は、歯ブラシやヘアブラシなどのアメニティ商品だけでなく、ユニフォームや、バスローブなどこれまでリサイクルができなかった商材のリサイクルスキームへのチャレンジを進める。
――2月の国際ホテル・レストラン・ショーにも4年連続で出展する。
加藤 今回は出展規模を36小間に拡大する。若手社員中心のプロジェクトが新商品の選定と、展示準備を進めている。
――今年の新しい事業展開はあるか。
加藤 グローバル展開の検討を進めているところだ。台湾など既に実績が出ているエリアもあるが、日本人顧客が多い、例えばハワイ、グアム、タイ、ベトナムなど海外市場への進出計画を具体化する予定だ。
――年頭にあたり業界へのメッセージを。
加藤 毎年恒例であるが繰り返し言いたい。やはり日本のおもてなしは世界に誇れるもので、そこを先導しているのは宿泊施設の皆さまだと思っている。そのお手伝いを当社も精一杯させていただき、共に交流事業、ツーリズムを盛り上げましょう。
■会社概要
【本社】東京都中野区本町2の46の1 中野坂上サンブライトツイン13階
【創立】1971年2月
【事業内容】消耗品、装備品の提案、販売・新築、改装の工事請負・コンサルティング業務、WEB販売、カタログギフト、販促品の企画販売など
【資本金】1億円
【従業員数】538人(2025年4月現在)

加藤社長





