アイスランド産業大臣 ハンナ・カトリン・フリズリクソン氏
アイスランドのハンナ・カトリン・フリズリクソン産業大臣が、東京都内のアイスランド大使館で観光経済新聞のインタビューに応じた。アイスランドを訪れる日本人観光客が増加傾向にあること、同国の主要な観光資源であるブルーラグーンの成り立ちや魅力、そしてオーバーツーリズム対策などについて語った。
日本からの観光客状況
――日本とアイスランド間の観光交流人口について教えてください。
「アイスランドには年間約230万人の訪問者があり、そのうち日本からの観光客は約1万1千人から1万2千人です。この数字は少しずつ増加しています。日本の観光客はアイスランドにとって貴重な存在です」
――日本人観光客にとってのアイスランドの魅力は何だと思われますか。
「日本とアイスランドは文化的に親和性が高いと感じています。両国とも島国であり、安全性が高く、犯罪率の低さも共通しています。日本人観光客は冬のオーロラ(ノーザンライト)やブルーラグーン(温泉)などを目的に訪れることが多いです。アイスランドの自然を楽しむ方が目的で訪れる方が多いです」
――日本からアイスランドを訪れる観光客に人気の観光スポット、おすすめのアクティビティは何ですか。
「冬はオーロラ観賞が特に人気です。またブルーラグーンはアイスランドで最も有名な観光地の一つになっています。アイスランドの自然を体験できるハイキングやトレッキングなども人気があります。夏は山のハイキングや温かい湖を楽しむことができますし、冬はスノーモービルやスキーなどと温泉体験を組み合わせることができる点が魅力です」
ウェルネスツーリズムとブルーラグーン
――近年、世界的にウェルネスツーリズムが注目されていますが、アイスランドはこの点でも魅力的な国だと思います。
「はい、ウェルネスツーリズムとアドベンチャーツーリズムは、アイスランドを訪れる観光客の主な目的の一つになっています。特に冬に来る方々にとっては、自然の中でのアクティビティと温泉体験の組み合わせは最高の体験となっています」
――ブルーラグーンについて詳しく教えていただけますか。
「ブルーラグーンは1976年に地熱発電所の副産物として形成されました。これはアイスランドの地熱火力発電所から流れ出る温かい水によって作られたものです。この水は地下から汲み上げられ、シリカやミネラルが豊富に含まれています」
「当初、この水に浸かると皮膚病などの治療効果があると信じられていました。特にソリアシスなどの皮膚の問題に効果があるとされていたのです。この評判が広がり、徐々に人々が訪れるようになり、国際的な健康センターへと発展していきました」
「2012年にはナショナルジオグラフィックによって『世界の25の驚異』の一つに選ばれました。この認定によって、ブルーラグーンの人気はさらに高まりました」
――ブルーラグーンは地熱発電の副産物から生まれたとのことですが、具体的にどのようにして観光資源として発展したのでしょうか。
「最初は単なる副産物でしたが、そこに浸かることで皮膚病が治るという噂が広がり、次第に人気が出てきました。その後、オーナーがプールを拡大し、さらにはホテル建設へと発展していきました。これは無価値と思われていたものから価値を生み出した好例です」
「ブルーラグーンの水は非常に特殊で、ミネラルを多く含んでいます。これが人々の健康に良い影響を与えると考えられているのです。今ではブルーラグーンはアイスランドを代表する観光地となり、多くの観光客が訪れています」
サステナビリティとオーバーツーリズム対策
――日本ではオーバーツーリズムが問題となっていますが、アイスランドではどのように対応されていますか。
「アイスランドも日本と同じ課題に直面しています。観光客は同じような場所に集中する傾向があります。我々はこれを管理するために主に3つの理由から取り組んでいます」
「まず第一に、多くの観光客はアイスランドの自然を体験するために訪れるため、その自然を守る必要があります。第二に、観光客自身の体験を確保するために、一か所に集中しないよう分散させることが重要です。そして第三に、適切なインフラ整備を行い、観光客が他の場所も訪れやすくすることです」
「混雑していない場所の方が、美しい景観をより楽しむことができます。我々は観光客の分散を図り、自然保護と観光体験の質の両方を維持するよう努めています」
――観光による地域経済への還元と住民との共生モデルについてお聞かせください。
「観光産業はアイスランドにとって非常に重要な産業です。現在では漁業やアルミニウム輸出に次ぐ重要な産業となっています。観光業の発展により、地方の雇用創出や経済活性化に大きく貢献しています」
「地域住民と観光客の共生のためには、適切なインフラ整備と自然環境の保全が不可欠です。我々は持続可能な観光を目指し、SDGsの目標に沿った取り組みを進めています」
アイスランド観光の現状
――アイスランドを訪れる観光客は、どこの国の人が一番多いですか。
「最も多いのはアメリカ、イギリス、ドイツからの観光客です。アジアからは中国からの観光客が多く、コロナ禍で一時減少しましたが、再び増加しています」
――アイスランドの観光産業は経済の中でどのような位置づけですか。
「現在、観光は漁業を超える重要産業となっています。アイスランドの主要な産業として、アルミニウム輸出に次ぐ位置にあります。今後は水産養殖も盛んになりつつあり、産業構造が変化する可能性もありますが、観光業の重要性は変わらないでしょう」
日本とアイスランドの文化交流
――大臣は日本の料理についてどのように思われますか。
「日本の食べ物は私の大好物です。この訪問でも日本食を楽しんでいます。昨日は寿司としゃぶしゃぶ、広島ではお好み焼きを食べました。とても美味しかったです。食材のシンプルさと彩りが特に気に入っています」
――日本の観光業界へのメッセージをお願いします。
「日本の観光業界の皆様、そして日本の旅行者の皆様にアイスランドにもっと興味を持っていただきたいと思います。日本人観光客はアイスランドで本当に特別な体験ができます」
「私たち北大西洋の島国と日本には多くの共通点があります。アイスランドは安全で、日本人の皆様にとって心地よい環境です。アイスランド人は日本の文化や日本人を深く尊敬しており、日本からの観光客を心から歓迎しています」
「単に何かを見るだけでなく、体験を通じて人とのつながりを感じていただきたいと思います。日本人観光客はアイスランドでそれを感じることができるでしょう。アイスランドの自然の中で、他の人に会わずに自然に抱かれるような体験も可能です。ぜひアイスランドを訪れてください」

ハンナ・カトリン・フリズリクソン産業大臣は2024年12月21日に就任。1964年8月4日にフランスのパリで生まれ、アイスランド大学で哲学と経済学の学士号を取得、カリフォルニア大学デービス校でMBAを取得している。ジャーナリストとしてのキャリアを持ち、レイキャビク大学のマネージングディレクターやIcepharmaの健康部門のマネージングディレクターなどを歴任した。2016年からはViðreisn Liberal Reform Partyの国会議員を務めている。
【kankokeizai.com 編集長 江口英一】




