あけましておめでとうございます。預言者ではないけれど、今年の日本の観光を占うなら、ずばり「アウトバウンド回復の年」とお伝えしたい。
コロナ禍からの復活は当初、航空座席数が早くて24年下期に、25年には完全にコロナ過前に戻ると予想されてきた。間違いなく昨年は夏ダイヤが対19年を上回り、観光産業の回復力の強さをみせつけた。爽快だった。
しかし実際の利用者割合をみると、円安を背景にした訪日外客が多勢を占め、日本人アウトバウンドは回復が遅れたままだった。だが26年は、間違いなく完全復活へとかじを切るだろう。
動き始めたのは各国政府観光局である。欧米に大洋州、中国を除くアジア各国、さらには南半球の国々も、さまざまなプロモーションを日本で展開する予定だ。
高市政権は、不動産取引をはじめとした外国人規制の強化に乗り出した。中国との関係悪化を受け、これまでインバウンド頼みだった経営軸を少しずつ修正する観光系企業が多くみられる。誰もがクールに粛々と進めることこそ観光立国・日本のあるべき姿と言えよう。
そうしたなか今年は、近場では韓国、遠方では欧州が狙い目とみている。
昨年、筆者は3回、訪韓する機会を得た。それもソウルや釜山を玄関口に統営や公州という地方都市を訪ねた。例えば、忠清北道の清州空港が、日本の成田や茨城と結ばれている。LCCを中心に、日韓の地方都市往来が活発になるだろう。
韓国の観光政策は近年、中国市場に偏りがちだった。だが近ごろは、違う動きが活発化している。若い世代を中心に文化・芸能面で、双方の距離がさらに縮まっていることが背景にある。韓国の政治家は思惑をもって反日を掲げてきた。だがそれが、「単なる扇動でしかない」と気づいた若者たちは日韓の未来を明るく照らす。垣根が低くなっている。
もう一つが欧州である。コロナ禍が明けて以降、海外旅行を我慢してきた人たちが、ハワイや台湾、タイなどの親日国から海外旅行を再開した。それが一歩進み、今年こそ「再び欧州を」と考えている人が少なくない。
こうした動きは、海外渡航自由化からの夜明けの日本に似ている。当時との違いは国民の所得である。バブル期にかけて中流層が爆発的に増えた時代とは異なり、今は二極化が進んでいる。海旅目的地も変容が如実だ。
ターゲットは筆者世代、すなわちバブル期世代だ。定年退職が始まり、退職金を手にし始めた。若きころ訪ねたロン・パリ・ローマなど遠方の地へ、再び訪ねたいと計画を立て始めている。1都市滞在型での旅や、客船クルーズが今年は好調になるだろう。
26年は、かねてより台湾有事の可能性が示唆されてきた「X」の年である。その理由は「知る人ぞ知る」だったが、首相の発言で白日のもとにさらされた。観光は平和産業であり、日本の基幹産業である。産業界の叫びを世界に届けることも重要だ。
私的には、有限会社千葉千枝子事務所設立30周年、NPO法人交流・暮らしネット設立20周年、大学教授就任10周年の節目の年。さらなる飛躍を誓いたい。
(淑徳大学経営学部観光経営学科学部長・教授 千葉千枝子)




