ミャクミャク
2025年の観光業界は、大阪・関西万博の開催や、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産候補への選定など、さまざまな動きがあった。取材で捉えた写真と共に1年間を振り返る。
前半(1~6月)
■営業施設数は5万軒
厚生労働省によると、2023年度末現在の旅館・ホテル営業施設数は5万1038軒で、前年度から717軒増加した。19年度をピークに減少していたが、4年ぶりに増加した。客室数は177万6994室で、同6242室増加した。
■ANTAが恒例のフォーラム
全国旅行業協会(ANTA)は1月28日、東京都の観光振興と国内観光の活性化を図るイベント「第19回国内観光活性化フォーラムin東京」を東京ガーデンシアター(東京都江東区)で開いた。約2500人に東京観光の魅力をアピールした。

会場の様子
■「宿フェス」に3万人来場
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部主催の第3回「宿観光旅博覧会(宿フェス)」が2月5、6日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれ、2日間で延べ3万1千人が来場した。
■議員連盟の新会長に菅氏
「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産への登録を目指す自民、公明両党の国会議員で構成される議員連盟の総会が3月7日、衆議院第二議員会館(東京都千代田区)で開かれ、新会長に現顧問で元首相の菅義偉氏(自民党副総裁)の就任を決めた。
■東武トップ旅ホ連・運観連10年
東武トップツアーズ協定旅館ホテル連盟(旅ホ連)と同社協定運輸観光施設連盟(運観連)は3月17日、東京都内で本部通常総会を開催。会社も含め、10周年の節目を迎えた。

東武トップツアーズの百木田康二社長(一番右)と両連盟会長
■「和倉温泉創造的復興プラン」を発表
能登半島地震で壊滅的被害を受けた 和倉温泉(石川県七尾市)の民間事業者らで組織する「和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会」(多田健太郎代表= 多田屋社長)が、温泉地の復興プラン「和倉温泉創造的復興プラン」を作成し、その公式発表会を3月18日、東京都内で開いた。温泉街とその周辺に「和倉らしさ」を体感できる八つの主要拠点を整備する。

公式発表会の様子
■ホテル協会の新会長に䕃山氏
日本ホテル協会(230会員)は3月27日、東京都千代田区の 帝国ホテルで令和7年度春季通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選でロイヤルホテル会長の䕃山秀一氏を新会長に決めた。副会長は原信造( ホテル、ニューグランド)、成瀬正治( ホテルオークラ東京)の2氏が就いた。

䕃山氏
■万博開催で「大阪DC」開始
大阪府市やJR西日本などでつくる大阪デスティネーションキャンペーン推進協議会は1日、大阪デスティネーションキャンペーン(大阪DC、4~6月)を開始した。テーマは「来てな!オモロイがいっぱい大阪旅」。開幕に先立つ3月30日にはJR大阪駅で、吉村洋文大阪府知事らが参加してのオープニングセレモニーを開催し、DC成功へ気勢をあげた。

オープニングセレモニーの様子
■大阪・関西万博が開幕
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした大阪・関西万博が4月13日、人工島・夢洲(大阪市此花区)で開幕した。日本での開催は05年の愛知万博以来で、20年ぶり。

大阪・関西万博会場(提供・公益財団法人2025年日本国際博覧会協会、大林組、撮影・伸和)
■全旅連JKK会長に山田氏
全旅連女性経営者の会(JKK)は4月17日、25年度総会を東京の全旅連会議室で開き、任期満了に伴う役員改選で新会長に副会長の山田佐知氏(兵庫県・ほてるISAGO神戸)を決めた。

山田氏(右)
■JATF新会長は井上氏
日本観光施設協会(JATF)は5月8日、東京のチサンホテル浜松町で定時総会を開き、新会長に井上喜昭副会長(埼玉県・万寿庵)を選出した。

井上氏 (写真右)
■「ミライのリョカン」を提言
日本旅館協会は5月、冊子「私たちが創るミライのリョカン」を作成した。22年度から2年間活動した協会の「未来ビジョン委員会」による、「宿泊業に携わる全ての人にとって夢のある未来の構築」に向けた提言書。

表紙
■27年秋のDCは滋賀県
JRグループ6社と自治体が協働して実施する大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」について、2027年秋(10~12月)の開催地に滋賀県が選ばれた。5月15日、大津市の大津港BIWAKOモニュメント前で関係者が集まり、決定通知書の伝達式が行われた

決定通知書の伝達式の様子
■北但大震災復興100年でシンポジウム
北但大震災復興100年記念プロジェクト実行委員会(委員長=西村総一郎・西村屋社長)は5月23日、城崎国際アートセンター(兵庫県豊岡市)で、「北但大震災復興100年 城崎温泉まちづくりシンポジウム」を開いた。町内外から460人が参加。「次の100年」に向け「交通」「教育」「医療と福祉」をテーマに構想を発表。さらに県や市の首長を交えたディスカッションを行った。

シンポジウムの様子
■「豊臣兄弟!」協議会が発足
26年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主舞台となる奈良県。奈良観光をアピールする絶好のチャンスと捉え、県と県内の自治体などは観光推進協議会を5月29日に立ち上げた。

協議会のメンバーら
■「JAL OG女将会」が発足
日本航空(JAL)で客室乗務員を務めた経験を持つ旅館と料亭の女将の有志が「JAL OG女将会」をこのほど立ち上げた。同業者同士の情報交換や独自のキャリアを生かしたさまざまな活動を今後行う予定だ。

JAL OG女将会のメンバー
■浅野氏が施設協会会長に
国際観光施設協会は6月16日、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで通常総会を開催。任期満了に伴う役員改選で、会長を10年間務めた鈴木裕会長が退任し、浅野一行副会長(スターツ総合研究所理事)が新会長に就任した。

浅野氏
■全旅連が「全国大会」開く
全旅連は6月17日、東京のホテルニューオータニで第103回全国大会を開いた。「観光立国・安心安全な宿づくりを推進しよう」「宿泊施設が核となり、地方創生を実現させよう」など8項目の決議を採択。井上善博会長(福岡県・ほどあいの宿六峰舘)は「われわれの業界はどんな困難も乗り越える底力がある。力を合わせて明るい未来をつかもう」と来場者に呼び掛けた。組合員旅館・ホテル、関係者1200人以上が参集。菅義偉元首相ら多くの来賓が駆け付け、あいさつした。

1200人超が参集した
■ANTA会長に近藤氏
全国旅行業協会(ANTA)は6月25日、第61回定時総会を東京都千代田区の都市センターホテルで開いた。議事の後には任期満了に伴う役員選任が行われ、30年以上にわたって会長職を務めた二階俊博氏に代わり、近藤幸二副会長が新たな会長として就任することが決定した。

近藤氏(左から2番目)
■「オール山代」に向け総会
山代温泉観光協会は6月24日、同温泉の ゆのくに天祥で2025年度の通常総会を開いた。約30人が参加。開湯1300年にあたって「オール山代」体制で各種事業を推進。「次の100年のスタートの第1歩を踏み出す年にする」などの事業案を承認した。

総会の様子
■日旅の新社長に吉田常務
日本旅行の社長に吉田圭吾代表取締役常務が就任した。6月27日に開催した取締役会で正式決定。小谷野悦光前社長は取締役会長に。

日本旅行の新社長に就いた吉田圭吾氏(右)
後半(7~12月)
■観光庁長官に村田氏
国交省の7月1日付の幹部人事で秡川直也観光庁長官が退任し、後任に国土交通大臣官房長の村田茂樹氏が就任した。

村田長官
■ツアーグランプリ受賞者発表
日本旅行業協会(JATA)は7月2日、「ツアーグランプリ2025」の受賞者・作品を発表した。今回応募のあった147作品から12作品が受賞。うち、最優秀作品に贈られる「国土交通大臣賞」には、風の旅行社(東京都中野区)が受賞した。

風の旅行社
■万博で「西のゴールデンルート」をアピール
大阪・関西万博開幕から約3カ月が経過した7月11日、福岡市をはじめ西日本の自治体や民間事業者らで構成する「西のゴールデンルートアライアンス」は、2025年日本国際博覧会協会と万博会場内で共同記者会見を開き、万博を契機とした西日本・九州への誘客促進策を力強くアピールした。
■万博で福島県が単独出展
福島県は19日、大阪・関西万博で単独出展を行った。「未来への『チャレンジ』と、あなたへの『ありがとう』を福島から」をテーマに、東日本大震災と原発事故からの復興の様子や、県が推進する「ホープツーリズム」を紹介した。

内堀雅雄知事が旬の桃を振る舞う
■「温泉文化」国民会議が発足
「温泉文化」の保護や継承を目的とした「『温泉文化』国民会議」が7月29日、発足した。会長には「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産全国推進協議会会長で元文化庁長官、多摩美術大学理事長の青柳正規氏が就いた。

「温泉文化」国民会議のメンバーら(中央=青柳会長)
■シルバースター部会長に伊藤氏
全旅連シルバースター部会は7月23日、総代会を東京都千代田区の全旅連会議室で開いた。任期満了に伴う役員改選で、新部会長に副部会長の伊藤隆司氏(奈良県・飛鳥荘)の就任を決めた。

伊藤氏(右)
■2大温泉地で「感謝祭」
温泉の恵みに感謝する群馬県・草津温泉の感謝祭(8月1~2日、写真上)、温泉地のさらなる発展などを願う岐阜県・下呂温泉の「温泉感謝祭」(同3日)が開かれた(8月11日付)

草津温泉の感謝祭

温泉感謝祭
■二階氏の功績たたえる
全国旅行業協会は8月21日、今年6月の定時総会をもって名誉会長に就任した二階俊博氏の功績に感謝する「二階名誉会長感謝の集い」を 帝国ホテル(東京都千代田区)で開催した。政界や業界団体の要人が多数出席。二階氏と長い交友関係を持ち、元プロ野球選手で世界少年野球推進財団理事長の王貞治氏や、小池百合子東京都知事も駆け付け、二階氏との思い出を共有した。

二階氏
■西Gが万博会場内に「展示ブース」
兵庫県以西の西日本エリアに、主に欧米豪からの観光誘客を目指す官民組織「西のゴールデンルートアライアンス」(会長、高島宗一郎・福岡市長)は8月27日、大阪・関西万博の「WASSE」に展示ブースを開設、関係自治体のトップらが魅力をアピールした。

展示ブースの前で記念撮影
■KNT-CTが70周年
KNT―CTホールディングスは9月1日、創立70周年を迎えた。これを記念し3月、新たにロゴを作成したほか、同社のホームページ内に創立70周年記念サイトを開設した。

ロゴ
■金沢市で「金融懇談会」
日本旅館協会は9月4日、石川県金沢市で「宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会」を開いた。「宿泊業が地域経済再生の役割を担っていくために、行政・金融機関・地域社会と連携した持続可能な復興モデルの構築に努める」など4項目からなる「能登地方の復興と地方創生に向けた行動宣言」を採択した。

懇談会の様子
■万博会場で「宿フェス」開く
全旅連青年部主催の第4回「宿観光旅博覧会(宿フェス)」が9月20日、大阪・関西万博会場内で開かれた。1万8500人が来場。温泉文化サミットを行い、ユネスコの無形文化遺産登録に向け「万博宣言」などを行った。

塚島英太部長による「万博宣言」
■EXPO初の愛知開催
“世界最大級の旅の祭典”ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸が9月25~28日、愛知県常滑市のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開かれた。同県での開催は初で、北陸地方を含む中部9県の共同ブースが出展。4日間で目標の10万人を超す延べ12万6900人(速報値)が来場した。

閉会式の様子

地元中部9県の共同ブースも
■道後温泉でアートプロジェクト
道後温泉(愛媛県松山市)で10月10日、アートプロジェクト「蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART」が始まった(主催=道後アート実行委員会)。アーティストの蜷川実花さんとクリエイティブチーム「EiM」が手掛けた作品を、道後温泉本館をはじめ温泉街の各地に展示。新たな魅力の発信で同温泉のさらなるファン拡大、にぎわい創出を目指す。

アートプロジェクト
■万博が閉幕
大阪・夢洲で実施されていた大阪・関西万博が13日、閉幕した。開幕からの累計来場者数は、関係者を除く一般来場者が2558万人、関係者を含む入場者数は2900万人。最終日には一部パビリオンでの閉館セレモニーや参加国などによるフラッグパレードが行われた。閉会式では、「大阪・関西万博宣言」を発表。「多様でありながらも、ひとつ」になり、「いのち輝く未来社会のデザイン」について、対話や実践を行っていくことの意義などを示した。

万博最終日のフラッグパレード
■次の万博は「横浜」で
大阪・関西万博が閉幕した10月13日大阪市と横浜市は大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンステージで、「次の万博は横浜!~GREEN×EXPO 2027 From EXPO2025~」と銘打ったイベントを開催した。引き継ぎイベントには、横山英幸・大阪市長と山中竹春・横浜市長、GREEN×EXPO2027の公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」が参加した。

引継ぎイベントの様子
■功労者表彰に30氏
厚生労働省と全国生活衛生同業組合中央会は10月24日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)で今年度の「生活衛生功労者表彰式」を開いた。旅館・ホテルからは大臣表彰14人、理事長表彰16人の計30人が受賞した。

旅館・ホテルの受賞者
■「温泉文化」ユネスコ候補に
国の文化審議会・無形文化遺産部会は11月28日、「温泉文化」を「神楽」とともに国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への新規提案候補に選定した。ユネスコによる審査の優先順位を神楽、温泉文化の順とし、神楽は28年、温泉文化は30年の審査で登録の可否が決まる見込み。

「温泉文化」のロゴ
■カスハラ対策に向けセミナー
日本旅館協会は11月28日、東京の都道府県会館で「カスハラから旅館を守る」と題したセミナーを開いた。宿泊客からの迷惑行為「カスハラ」が近年増加しているとして、その現状と、取るべき対策を専門家が講義した。

セミナーの様子
■「にっぽんの温泉100選」1位に草津温泉
旅行会社やOTAの投票で選ぶ観光経済新聞社主催の第39回「にっぽんの温泉100選」が決定した。1位は23年連続で草津温泉(群馬県)となった。2位、3位は前年度から順位が入れ替わり、2位が下呂温泉(岐阜県)、3位が道後温泉(愛媛県)だった。温泉地などの優れた取り組みを表彰する実行委員会特別賞は3件で、天童温泉(山形県)、城崎温泉(兵庫県)、由布院温泉(大分県)から選出した。併せて、2025年度「人気温泉旅館ホテル250選」も決定した。

草津温泉の湯畑のライティング

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